平成20年度観光の状況
第I部 観光政策の新たな展開
第2章 観光立国の実現に向けた重点課題と戦略的取組
第2節 2020年2,000万人へ向けて
2003年から、訪日外国人数を2010年に1,000万人とする目標を掲げ、官民一体となってビジット・ジャパン・キャンペーンを開始し、我が国の観光魅力をプロモーションしてきた。その結果、訪日外国人数は、2008年には約835万人となり、ビジット・ジャパン・キャンペーン開始当初の約521万人と比較して大きく増加した。
このような状況の中、2008年6月に開催された第12回観光立国推進戦略会議(座長:牛尾治朗 ウシオ電機(株)代表取締役会長)において、「観光庁は、関係省庁と連携して、観光立国に係る中長期的な戦略、特にインバウンドに係る中長期的戦略(2020年に2,000万人を目標)を策定するべき」との意見が提出された。そして、2009年3月に開催された第13回観光立国推進戦略会議において、2020年訪日外国人2,000万人の実現に向け、「海外プロモーション(日本ブランドの確立)」、「受入体制の整備」、「国際会議等の誘致」の3つを施策の柱とする提言「訪日外国人2,000万人時代の実現へ─もてなしの心によるあこがれの国づくり─」がとりまとめられた。
この2,000万人戦略の意義としては、グローバリゼーションを通じた相互依存が進展する国際社会の中で、文化力や知力に根ざした日本のソフトパワーを活用して、双方向の観光交流の発展を実現し、国際相互理解を増進することが挙げられている。また、日本経済、特に地域の活性化の切り札という点もあり、2,000万人を達成した場合の訪日外国人の旅行消費額は4.3兆円との試算がある。
この提言を踏まえ、2020年に訪日外国人2,000万人を実現するためには、政府内部はもとより、地方自治体、民間企業等のあらゆる関係者と連携しながら、一丸となって次のような取組を進めていくことが必要である。
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世界に誇るべき高質な生活環境、洗練された文化芸術、食等我が国の魅力の「多様性」を「日本ブランド」の核として位置付け、非日常的な旅の想い出、期待以上の満足感を得ることができる憧れの地「プレミアム・デスティネーション」として中国、韓国、台湾等、12の国・地域に対しプロモーションを強化するとともに、訪日旅行需要の増加が見込まれるインド、ロシア、マレーシア等の新興市場に対象を拡大する。
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旅行目的地として世界から愛される国になるためには、我が国の国情に照らしつつ、訪 日外国人の受入体制の水準向上をたゆまず図っていく姿勢が重要である。
十分な経済力を有する中国人を対象とする添乗員なしの「個人観光ビザ」の実現等観光客へのビザ発給要件の緩和、入国審査待ち時間の短縮、公共交通機関等における外国語表示の充実、宿泊施設における外国人受入体制の充実など、訪日外国人の受入体制を整備することにより、「もてなし」の国を実現する。
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施策の対象を狭義の国際会議(Convention)から、文化・スポーツイベント、展示会、見本市等を含む広義の国際会議(MICE)全般に拡大する。MICEは、それぞれの類型に応じて有する特性が異なるため、その特性を踏まえた施策を検討する。
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