平成20年度観光の状況
第II部 平成20年度の観光の状況及び施策
第4章 国際観光の振興
第2節 国際相互交流の促進
平成20年6月、韓国の釜山において、第3回日中韓観光大臣会合が開催され、冬柴鐵三国土交通大臣(当時)、中国の邵偉(しょう・きい)国家旅遊局長、韓国の柳仁村(ユ・インチョン)文化体育観光部長官との間で、日中韓3国間の観光交流の促進と協力の強化を内容とする「日中韓の観光交流・協力の促進に関する釜山宣言」を発出した。
1)日韓両国の観光交流の促進
平成20年を「日韓観光交流年」とし、同年4月にソウルにて行われた「日韓観光交流の夕べ」におけるオープニングセレモニーを始め、青少年交流事業、自治体交流事業及び国際観光博覧会への出展を通じて観光交流の促進を図った。
また、日韓両国の観光振興における協力体制の強化を目的とし、両国政府の観光当局や観光関係団体・企業と共同で日韓観光振興協議会を毎年定期的に開催しており、平成20年も12月17日に23回目の協議会が福岡で開催され、日韓の観光交流促進と拡大に関する諸課題について、活発な意見交換を行った。
日韓観光交流年「日韓観光交流の夕べ」オープニングセレモニー
2)中国における家族観光査証制度の開始
訪日団体査証制度を利用した中国人観光客数は順調に増加している(表II-4-2-1)。
一方で、発給対象が4名以上50名以下の団体に限った対応であったことから、平成20年3月、2名以上4名以下を対象にした訪日家族観光査証の発給を開始した。
6ヵ月の試行期間が経過し、本制度の利用者が少ないことから、試行期間の延長を行った。
3)日越観光協力委員会
平成20年9月に、日本とベトナムの観光当局間による「第2回日越観光協力委員会」が東京において開催され、「JATA世界旅行博2008」を活用したPR事業等、両国間の観光交流拡大に向けた協力内容について行動計画がまとめられた。
4)日仏観光交流年記念事業
日仏修好通商条約締結150周年に当たる平成20年を「日仏観光交流年」とし、平成20年5月にパリにおいて開催された「日仏観光交流年オープニングセミナー」を始め、ミシュランガイドシリーズの日本ガイドブックの著者を招請し日本国内での取材支援を行ったほか、10月には「日仏観光交流年観光地域振興セミナー」をパリにおいて開催し、金沢、宮島、熊野古道・高野山をはじめとする日仏観光交流年の重点プロモーション地域を中心に日本の観光魅力のPRを行った。また、パリ市内観光バスおよびパリ市内地下鉄駅構内への大型広告を実施するとともに、日本国内の鉄道の中吊り広告をフランス側が実施するなど、日仏の関係機関の連携のもと両国内において積極的に交流事業が展開され、日仏間の観光交流の促進が図られた。
パリ市内観光バスのラッピング広告
表II-4-2-1 中国人の訪日団体観光旅行の実績(帰国報告ベース)
世界観光機関(UNWTO)、経済協力開発機構(OECD)、アジア太平洋経済協力(APEC)、東南アジア諸国連合(ASEAN)等が国際観光振興等を目的として開催する国際会議における他国政府等との議論や意見交換を通じて、国際観光振興に向けた取組を行っている。
また、世界観光機関(UNWTO)、東南アジア諸国連合貿易投資観光促進センター(日本アセアンセンター)等の国際機関は、我が国が拠出した資金を活用して、日本との旅行者の拡大を目的としたプロモーション、観光分野の人材育成等の諸活動を実施している。
なお、平成20年6月には国際機関に対する協力の一環として、世界観光機関(UNWTO)との共催により、世界観光機関(UNWTO)東アジア太平洋地域委員会及び大都市観光国際会議を開催した。
平成20年度より、日本人海外旅行促進のための「戦略的なデスティネーション開発」の一環として、開発途上国に観光プロモーション技術等の提供による協力を開始した。平成20年度はベトナムとウズベキスタンに対し、マーケティング調査を踏まえた日本人旅行者受入れ体制強化に向けたアドバイスの提供、日本人旅行者の増加につながるプロモーション手法の提供等を実施した。
また、(独)国際協力機構(JICA)を通じ、世界各地の発展途上国において観光振興業務に従事している職員を我が国に招いて、観光振興マーケティングとプロモーション手法の技術供与を目的とした集団研修を2コース実施したほか、中東地域やマレーシア等において観光振興業務に従事している職員を我が国に招き、ビジット・ジャパン・キャンペーンの内容や実績の講義等、観光振興に係わる技術供与を目的とした地域特設研修を実施した。
国際航空チャーター便(包括旅行チャーター)ルールの更なる規制緩和に伴い、地方空港における国際チャーター便の利用拡大や国際チャーター便を利用した個人旅行等、多様な旅行者ニーズに応えやすい環境を整備した。
姉妹・友好都市を活用した交流事業について、「ビジット・ジャパン・キャンペーン地方連携事業」により、地域と連携した取組を実施している。
現在、地方公共団体においては、世界61か国の都市と1,574件の姉妹・友好都市提携をしている。国別では、アメリカ(435件)、中国(331件)等が多い(平成20年12月31日現在)。
海外の学校とのコーディネート機能を有する官民一体の組織である「訪日教育旅行促進全国協議会」は、ビジット・ジャパン・キャンペーンの一環として、海外の学校関係者や訪日教育旅行を扱う旅行会社等を招請し、受入れ側の我が国の学校等への視察等を行うなど、訪日教育旅行誘致のための取組を積極的に推進した。
ワーキング・ホリデーとは、外国の青少年に対して自国の文化や一般的な生活様式を理解する機会を提供するため、自国において一定期間の休暇を過ごす活動とその間の滞在費を補うための一定の就労を認める制度である。我が国は、各々の国との取り決めに基づき、9か国(オーストラリア、ニュージーランド、カナダ、韓国、フランス、ドイツ、イギリス、アイルランド、デンマーク)との間でワーキング・ホリデーを実施しており、双方の18歳から30歳までの青少年は、各々、相手国において1年間まで滞在し休暇を過ごすことができる。
今後とも、「ワーキング・ホリデー」制度の広報や利便性の向上に取り組むとともに、現在実施していない国との間では、青少年交流促進の観点も踏まえ、実施について検討していく。
諸外国の将来を担う青少年を我が国に招き、さまざまな交流事業を実施している。
東アジア地域については、「21世紀東アジア青少年大交流計画」に基づき、平成20年度には、東アジア各国を対象に、合計で約8,300名を招へいした。本事業においては、主に地方において、ホームステイ等の交流事業を実施するなど我が国への理解を深めるよう努めている。
また、アメリカ等で日本語を専攻している高校生を6週間程度日本に招致し、日本の高等学校への体験入学等を行う「外国人高校生(日本語専攻)短期招致事業」を実施している。平成20年度には155人の外国人高校生を招致し、今後も引き続き実施することとしている。
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