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平成20年度観光の状況

第II部 平成20年度の観光の状況及び施策

第5章 観光旅行の促進のための環境の整備

第3節 観光旅行者の利便の増進



  1 高齢者、障害者、外国人その他特に配慮を要する観光旅行者が円滑に利用できる旅行関連施設等の整備及びこれらの利便性の向上


  (1) 旅行関連施設等のバリアフリー化

旅行関連施設等のバリアフリー化については、「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(バリアフリー新法)」に基づき、まちづくりにおけるバリアフリー化を総合的かつ一体的に推進するため、市町村による基本構想の作成を促進している。平成21年3月末現在で252の市町村が基本構想を作成(複数作成している市町村があり、総数としては326)している。
1)公共交通機関等のバリアフリー化
公共交通機関等のバリアフリー化については、旅客施設の整備、車両等の導入等に対して補助や税制上の特例措置等を講じている。さらに、公共交通事業者等がバリアフリー化を進める際の望ましい整備内容として、各種のガイドラインを策定し、その普及促進を図っている。
2)歩行空間の整備・バリアフリー化
誰もが安心して歩ける歩行空間を形成するため、バリアフリー新法に基づき、駅、官公庁施設、病院等を相互に連絡する道路について、幅の広い歩道の整備、既設歩道の段差解消及び勾配の改善、バリアフリー対応型信号機や道路標識等の整備を実施しており、今後も引き続き実施していくこととしている。
3)河川空間のバリアフリー化
地域と連携した水辺空間を創るため、水辺にアプローチしやすいスロープ、手摺り、緩傾斜堤防の整備等のバリアフリー化を行い、すべての人々が安心して河川を訪れることが出来るよう水辺を整備しており、今後もこれらの取組を引き続き実施していくこととしている。
4)都市公園のバリアフリー化
都市公園においては、高齢者や障害者を含むすべての人々が快適に利用できるよう、都市公園バリアフリー化緊急支援事業を平成20年度に創設し、バリアフリー新法に基づくバリアフリー化の取組を支援した。
また、国営公園では、障害者福祉に一層寄与するため、20年度より障害者介添者の入園料を免除(対象1名)しており、両施策については、今後も引き続き実施することとしている。
5)宿泊施設・文化施設等
宿泊施設・文化施設等の建築物のバリアフリー化を推進するため、バリアフリー化の誘導的基準を満たす認定特定建築物について、税制上の特例措置等の誘導施策を講じ、一層の整備促進を図った。今後も引き続き実施することとする。

  (2) ユニバーサルデザインの考え方に基づく観光の促進

ユニバーサルデザインの考え方に基づく観光を定着させるため、ユニバーサルデザインに配慮した旅行商品・旅行システムのあり方や観光地のユニバーサルデザイン化のための手引き集「誰もが旅行を楽しめる環境づくりのために」の普及・啓発を行った。

  (3) バスの利便性向上

地方公共団体、道路管理者、警察署、都道府県バス協会、バス事業者等の幅広い関係者の連携によるバス交通を中心としたまちづくりを行うオムニバスタウンについて、14都市を指定している。また、GPS等を利用し、停留所やウェブ上でバスの現在の位置情報が得られる「バスロケーションシステム」については、平成20年3月末現在8,349系統で導入されており、今後も引き続き普及促進を図ることとしている。

  (4) 道路交通の円滑化

環状道路やバイパスの整備、交差点の立体化等の交通容量拡大策に加えて、路上工事の縮減、駐車対策、有料道路の効果的な料金施策を実施するとともに、車利用者の交通行動の変更を促す交通需要マネジメント施策の実施や、カーナビゲーションシステムに道路交通情報をリアルタイムに提供する道路交通情報通信システム(VICS)の情報提供エリアの拡大、情報内容や精度の改善・充実により、道路交通の円滑化を図ることで、観光旅行者の来訪の促進や利便性の向上を図っており、今後も引き続き実施していくこととしている。

  (5) 運賃等の割引等

1)公共交通機関
鉄道等各公共交通機関において、主として身体障害者手帳の交付を受けた身体障害者及び療育手帳の交付を受けた知的障害者に対し、運賃割引を実施しているところであるが、精神障害者保健福祉手帳の交付を受けた精神障害者に対する運賃割引の実施についても、引き続き各公共交通機関の理解と協力を求めていく。
2)駐車禁止規制の適用除外
各都道府県公安委員会が認める一定の身体障害者等については、本人に対して駐車禁止除外指定車標章を交付し、駐車禁止規制の適用が除外されるよう措置している。今後も引き続き実施していくこととしている。

  (6) 道路における案内表示の充実

地理に不案内な観光客等に対し、通り名を活用した目的地への分かりやすい道案内手法の導入や、各種情報提供手段の連携等による情報提供の充実を図った。また、現地の道路事情に詳しくない人でも快適に走行できるよう、道路の幅やカーブの大きさ等、道路構造の情報を反映した「走りやすさマップ」に対応し、九州版のインターネット路線検索システムとして「道路の走りやすさナビ」を実施している。

  2 情報通信技術を活用した観光に関する情報の提供


  (1) インターネットの活用

観光案内や広報に使用される地図は、電子化されたより詳しいものへと需要が変化している。「地理空間情報活用推進基本法」の成立に伴い、各種電子地図の活用に向けて、国、地方公共団体等が作成した大縮尺地図データを集約し、継ぎ目無く接合した基盤地図情報の整備を行い、インターネットにより提供している。
また、観光に関する地理空間情報の発信や閲覧が誰でも容易に行えるように、「電子国土webシステム」を提供するとともに、情報発信者に対してプログラミングガイドの公開やセミナーの実施及びその他の技術支援を実施しており、今後も引き続き実施することとしている(図II-5-3-1、図II-5-3-2)。

図II-5-3-1 基盤地図情報の整備で利用できること



図II-5-3-2 電子国土webシステムを利用しインターネットで情報発信



  (2) 駐車場案内システムの整備

都市中心部において、駐車待ち車両やうろつき交通を排除し道路交通の円滑化を図るとともに、市街地の活性化や観光客等地理不案内な来街者の利便性向上を目指して、駐車場の位置や満空情報を提供する駐車場案内システムの導入を促進しており、今後も引き続き実施することとしている。
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