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平成20年度観光の状況

第II部 平成20年度の観光の状況及び施策

第5章 観光旅行の促進のための環境の整備

第5節 新たな観光旅行の分野の開拓



  1 ニューツーリズムの創出・流通


  ニューツーリズム創出・流通の促進

グリーンツーリズム、エコツーリズム等の新しい形態の旅行市場を活性化するため、「ニューツーリズム創出・流通促進事業」を進めている。
各地域の地域密着型の「ニューツーリズム」に係る取組を支援するため、各運輸局ごとに旅行会社や有識者等によるコンサルティングを行うとともにモニターツアーの実施の支援等を行い、旅行商品化を進めるための留意点等をまとめたマニュアルや事例集を作成した。また、観光関係者等に対するセミナーの開催等により「ニューツーリズム」の普及・啓発を図った。

  2 各ニューツーリズムの推進


  (1) エコツーリズムの推進

「エコツーリズム推進法」が平成20年4月に施行されるとともに、政府の基本方針「エコツーリズム推進基本方針」が同年6月に閣議決定された。この基本方針では、各地で組織されるエコツーリズム推進協議会や全体構想の作成、認定に関する基本的事項等を定めている。
エコツーリズム推進法の成立・施行を踏まえ、地域の創意工夫を生かしたエコツーリズムのより一層の普及・定着を図るため、フォーラム開催等によるエコツーリズムの普及啓発や全国セミナー開催等によるノウハウの確立、エコインストラクターの人材育成、世界自然遺産地域や国立公園等でのエコツーリズムの推進や仕組みづくり、エコツーリズム推進法に基づき協議会を設置する先駆的な地域への取組支援等を総合的に実施したほか、全国10箇所でエコツーリズム推進法の説明会を開催した。

「エコツーリズムフォーラム」



  (2) グリーン・ツーリズムの推進

グリーン・ツーリズム(農山漁村で楽しむ余暇活動)の提案・普及を図るため、農山漁村情報の発信、農山漁村における外国人旅行者受入れのモデルとなる地域の育成、都市農村交流等広域的な取組に対する支援及び古民家等の地域資源を活用した交流拠点の整備等を総合的に推進した。
また、森林等の地域資源を生かしたツーリズム等を推進するとともに、都市と山村の交流等山村活性化に資する意欲的で先導的な取組への支援、森林環境教育活動の指導者等の人材育成、子どもたちの森林・林業体験活動の場となる森林・施設の情報提供等を行っており、これらの諸施策を今後とも引き続き実施することとしている。

牛舎にて酪農体験中の子どもたち



  (3) 文化観光の推進

観光による交流を単に異文化、風習との出会いにとどめず、より深い相互理解につなげる文化観光の重要性から、平成20年4月にパリで開催されたOECD観光委員会「文化観光資源の活用による地域の活性化に関する共同調査プロジェクト」において、平成18年度に山形県で精神文化等をテーマに実施したモニターツアー及びシンポジウムの事例を紹介するなど、情報発信を行った。

  (4) 産業観光の推進

各地において、産業や技術の歴史を伝承することや現場の技術に触れ、当該産業等を生んだ文化を学ぶ産業観光への取組が行われ始めており、平成20年9月には、富山市において開催された「全国産業観光フォーラムinとやま2008」について後援を行った。
また、我が国産業の発展に寄与した近代化産業遺産について、地域史・産業史を軸に平成19年度に取りまとめた33のストーリーに加え、新たに33のストーリーを取りまとめ、これらを構成する540件(平成19年度は575件)の近代化産業遺産に対し、地域活性化に役立つものとして認定を行った。
さらに、地域の特色ある産業等を観光・集客資源として活用した地域ぐるみの取組を支援するため、昨年度に引き続き「広域・総合観光集客サービス支援事業」を実施し、計5件の取組を選定した(図II-5-5-1)。

図II-5-5-1 広域・総合観光集客サービス支援事業採択事業分布図及び概要について



  (5) ヘルスツーリズムの推進

地域が有する多様な自然環境、特徴的な風土と景観、伝統的な生業と文化、自然と共生する暮らし等は、都市と地方との新たな連携や交流を通して、健康長寿社会づくりに資する重要な観光資源であり、全国の自治体や産学官においてそれを活用した取組が行われており、平成20年11月に留萌市において開催された、健康をキーワードに新たなツーリズムの創造による地域活性化をテーマにした地域再生シンポジウムについて後援を行った。

  (6) 船旅の魅力向上の推進

国内旅客航路においては、国・旅客船業界・旅行業界・地域の関係者等が連携し、情報発信の強化やニーズに合った商品開発・販売促進の取組等の展開を進めている。
これまで、「船から見る風景100選」を発表し、ホームページ等を通じて、100の国内旅客航路における船上からの景色とその魅力を紹介してきた。
また、旅行業界との連携策として、旅行業者の企画・販売担当者を対象とした「船旅徹底活用セミナー」や「体験航海(ファムトリップ)」を実施し、旅行業界に向けて国内旅客航路のPR活動を行った。
外航クルーズにおいては、(社)日本外航客船協会において、良質のクルーズ商品及びサービスの提供を目的とした「クルーズ・オブ・ザ・イヤー2008」を平成20年度から実施した。外航クルーズの魅力を理解してもらえるような取組を積極的に支援している。

日本最大の豪華客船「飛鳥II」



  (7) 都市と農山漁村の共生・対流の推進

都市と農山漁村を双方向で行き交う新たなライフスタイルの実現に向けて、都市住民の農山漁村に対する関心を高めるための取組の支援、都市と農山漁村の橋渡し、受け皿としての農山漁村の魅力の向上のための対策等を推進した。
具体的には、小学校における農山漁村での1週間程度の長期宿泊体験活動を推進する「子ども農山漁村交流プロジェクト」、ホームページによる情報提供、都市と農山漁村の共生・対流を進めている優良事例を表彰する「オーライ!ニッポン大賞」等を通じて、都市と農山漁村の多様な主体と協調・連携した国民的な運動を推進した。
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