第II部 平成22年度の観光の状況及び施策
第1章 観光の現状
第2節 外国人の訪日旅行の動向
1 外国人宿泊旅行の動向
「宿泊旅行統計調査」の調査結果によると、平成22年1月から12月における外国人延べ宿泊者数は全体で2,614万人泊(前年比42.9%増)であった。
また、月別外国人延べ宿泊者数を見ると4月が271万人、7月が273万人と多い(図II-1-2-1)。前年同期比を見ると、前年が新型インフルエンザ等の影響により大きく落ち込んだことから、いずれの月も対前年同期比で増となっている。
図II-1-2-1 月別外国人延べ宿泊者数(平成22年)
国・地域別に見ると、1位は中国428万人泊(外国人延べ宿泊者数全体に占める割合17.7%)、2位は韓国392万人泊(同16.2%)、3位は台湾319万人泊(同13.2%)、4位はアメリカ266万人泊(同11.0%)、5位は香港184万人泊(同7.6%)となり、これら5箇国・地域で全体の65.9%を占めた(図II-1-2-2)。
図II-1-2-2 国・地域別外国人延べ宿泊者数(平成22年)
昨年2位であった中国は1位、4位であった韓国は2位となり、それぞれ順位を上げる結果となった。
都道府県別外国人延べ宿泊者数を見ると、1位の東京都が890万人泊(外国人延べ宿泊者数全体に占める割合34.0%)、2位の大阪府が322万人泊(同12.3%)、3位の千葉が212万人泊(同8.1%)で、上位3都道府県で全体の1/2以上を占めている(図II-1-2-3)。
図II-1-2-3 都道府県別外国人延べ宿泊者数(平成22年)
また、都道府県別外国人延べ宿泊者数を国・地域別に構成比で表すと、九州には韓国から、北海道・北陸には台湾からの旅行者が多数宿泊していることがうかがえる(図II-1-2-4)。
図II-1-2-4 都道府県別、国・地域別外国人延べ宿泊者数構成比(平成22年)
都道府県別延べ宿泊者数の構成比を見ると、外国人延べ宿泊者数の構成比の割合が高いのは、1位が東京都の19%、2位が大阪府の14%となった。また、県外からの日本人宿泊者数の構成比の割合が高いのは、1位の香川県・沖縄県がそれぞれ85%であった(図II-1-2-5)。
図II-1-2-5 県内・県外・外国人延べ宿泊者数構成比(平成22年)
国・地域別に都道府県別に外国人の延べ宿泊者数構成比を見ると、それぞれの国からの訪日客は東京都に最も多く宿泊していた(図II-1-2-6)。
図II-1-2-6 国・地域別、都道府県別外国人延べ宿泊者数構成比(上位5都道府県)(平成22年)
平成22年の訪日外国人旅行者数は、861万人(前年比26.8%増)となり、前年が新型インフルエンザ等の影響により大きく落ち込んだことから、前年を大きく上回る数字となった(図II-1-2-7)。
図II-1-2-7 訪日外国人の旅行者数の推移
州別に見ると、アジアが653万人で全体の75.8%を占め、次いで北アメリカが91万人(10.5%)、ヨーロッパが85万人(9.9%)、オセアニアが26万人(3.0%)の順となっている(図II-1-2-8)。
図II-1-2-8 上位12箇国 州別・国・地域別訪日外国人旅行者の割合(平成22年)
国・地域別に経年変化を見ると、韓国が244万人(53.8%増)で首位となった。以下、中国141万人(40.4%増)、台湾127万人(23.8%増)、アメリカ73万人(3.9%増)、香港51万人(13.2%増)の順となっており、中国が台湾を抜き、2位となった。(図II-1-2-9)。
図II-1-2-9 過去10年における上位14箇国・地域からの訪日外国人旅行者数の推移
外国人旅行者受入数の国際ランキングを国際比較できる平成21年で見ると、日本の679万人は世界で33位、アジアの中で8位であり、世界・アジアとも、前年より順位を落とし、アジアでは中国・マレーシア・香港・タイ・マカオに加え韓国・シンガポールよりも下回る結果となった(図II-1-2-10)。
図II-1-2-10 諸外国の外国人旅行者受入れ数の国際ランキング(平成21年)
月別に見ると、平成22年はいずれの月も対前年比で増加に転じ、特に2月・6月は5割以上の増加となった。(図II-1-2-11)。
図II-1-2-11 訪日外国人旅行者の月別推移(平成22年)
(独)国際観光振興機構(JNTO)(通称:日本政府観光局)「JNTO訪日外客訪問地調査2010」から平成22年の訪日外国人旅行の目的比率で見ると、観光目的は、57.8%となり前年(48.8%)から割合が増となった。また、商用目的が22.7%となり前年(30.6%)から減となった(図II-1-2-12)。
図II-1-2-12 目的別訪日外国人旅行者数(平成22年)
また、居住国・地域別で見ると、韓国・台湾・中国・香港等多くの国で観光の比率が高く、ドイツ・アメリカ等では商用の比率が高くなった(図II-1-2-13)。
図II-1-2-13 国籍別訪日目的比率
滞在期間については、平成22年は前年に比べて5日以内の比率が増え、70.9%となった。
一方、10日以内・15日以内の比率については、それぞれ前年に比べて減少し、17.4%・5.5%となった(図II-1-2-14)。
図II-1-2-14 訪日外国人旅行者の滞在期間比率推移
欧米ではガイド付き団体ツアーの割合は非常に小さく、個人で航空券等を個別手配する割合が大きい。アジア諸国ではガイド付き団体ツアーの割合が他地域に比べ高いが、前年と比べると個別手配の割合が高くなってきている傾向にある(図II-1-2-15)。
図II-1-2-15 国籍別旅行形態比率
入国の際の輸送手段を見ると、総数944万人(※)のうち、全体の92.6%に当たる874万人が航空機を利用している。空港別利用状況では、成田国際空港の利用割合が訪日外国人旅行者全体の44.4%となっており、次いで関西国際空港利用が18.5%となっている。
海上輸送は、訪日外国人旅行者全体の7.4%に当たる70.3万人が利用している(図II-1-2-16)。
図II-1-2-16 入国外国人の旅客輸送の状況(平成22年)
我が国における訪日外国人旅行者の消費動向については、平成22年度から一般統計「訪日外国人の消費動向」を実施した。
平成22年における訪日外国人旅行者の1人当たりの旅行消費額は、フランスが23.3万円/人、ロシアが22.3万円/人と、突出して高い結果となった(図II-1-2-17)。一方、訪日外国人旅行者の国籍別旅行消費額については、韓国が1,973億円(構成比17.3%)、台湾が1,318億円(同11.5%)、香港が593億円(同5.2%)、中国が2,498億円(同21.7%)となり、これら4箇国で全体の5割以上を占める結果となった(図II-1-2-18)。また、訪日外国人旅行者の国籍別消費形態比率については、中国の買物代が49.1%となり、他の国に比べ、買物の比率が非常に高い結果となった(図II-1-2-19)。
図II-1-2-17 訪日外国人旅行者の1人当たりの旅行消費額(平成22年)
図II-1-2-18 訪日外国人旅行者の国籍別旅行消費額(平成22年)
図II-1-2-19 訪日外国人旅行者の国籍別消費形態比率(平成22年)
(※)
訪日外国人旅行者数(平成22年:861万人)は、国籍に基づく法務省集計による外国人正規入国者(当該国発行の旅券を所持した入国者)から日本に居住する外国人を除き、これに外国人一時上陸客等を加えた入国外国人旅行者の数であるため、本表の数値とは、一致しない。
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