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第I部 平成23年度の観光の状況

第2章 新たな観光立国推進基本計画

第2節 基本計画の策定の方向性

1 観光の裾野の拡大



  (1) 国際観光の拡大

 訪日外国人旅行者数の増加を図るため、平成15年のビジット・ジャパン・キャンペーンの開始以降、海外プロモーション事業に取り組んできた。しかし、外国人旅行者の誘致については国際的な競争が激しくなっていることや、外的要因による訪日外国人旅行者数の伸びの鈍化に直面することもあることから、今後、一層戦略的なプロモーション活動が求められている。
 また、国際会議や展示会などのMICE(Meeting, Incentive, Convention, Exhibition/Event)は、その経済波及効果が大きく、ビジネス機会を創出する効果もあるなど、幅広い経済的意義を有している。このため、国は、地方公共団体やコンベンションビューロー、さらには民間企業等によるMICEの誘致・開催に関する活動や競争力強化に向けた取組を支援する必要がある。
 一方、日本人の海外旅行の促進は、国際感覚の向上のみならず、諸外国との双方向の交流拡大(ツーウェイツーリズムの推進)を通じたインバウンドの拡大にも貢献し得るなど、高い意義を有していることから、国民が海外旅行に出かける環境を整える必要がある。
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  (2) 国内観光の拡大

 団塊の世代の旅行需要は想定ほど伸びず、現役世代の年次有給休暇取得率は微増にとどまっている。また、近年、旅行実施率が減少する傾向にあり、一年に一度も旅行にいかない、いわゆるゼロ回層は、現在、既に国民の半分を超えている。特に、将来の旅行需要を支える若者の旅行回数が減少すると、将来にわたって観光市場を縮小させる要因になりかねない。このような状態を打開するため、ゼロ回層や若者をはじめ各層に対して、旅行の促進を図る必要がある。
 一方、旅行の魅力は、趣味・レジャーの多様化により相対的に低下していることから、旅行の魅力自体を高めることが重要である。しかしながら、所得や時間による制約、高齢者等が安全に安心して旅行する環境が十分整備されていないことなど諸課題も存在するため、これらの課題に対応しなければならない。
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東京タワー ©Y.Shimizu/日本政府観光局
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三保海岸 ©日本政府観光局

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