第I部 平成23年度の観光の状況
第3章 東日本大震災の影響と復興
第2節 観光分野における東日本大震災への対応
2 その後の対策
震災直後から、正確な情報発信に努めるとともに、主要国政府への働きかけやメディア、旅行会社招へい、一般消費者への働きかけを段階的に実施し、日本に対する渡航情報の是正、日本に関する正確な報道や訪日旅行商品の造成と販売を促した。
日本各地及び世界主要都市の放射線のモニタリング調査結果を客観的なデータとして随時公表するなど放射線等に関する情報を日本政府観光局のホームページにて発信するとともに、訪日した各界の海外著名人によるメッセージを発信するなど、世界に正確な日本の“いま"を伝えるための取組を実施している。
また、海外現地メディア、旅行会社、政府関係者向け海外現地説明会を延べ100回以上実施するとともに、海外メディア、海外の旅行会社約800社、約1,000名を日本に招へいした。
表I-3-2-1 放射線のモニタリング調査結果の情報発信
海外各国が発出した渡航禁止、制限、自粛、注意などの渡航情報について最新の科学的情報に基づき見直すよう、主要国政府へ要請した。このことにより、震災直後は広域にわたり厳しい渡航制限等が順次緩和されている。
国際会議等の開催については、復興を海外に向けてアピールし、また、地域に大きな経済波及効果をもたらすことが期待されるが、震災後、被災地以外においても、主催者が開催を見直す動きがあった。そのため、主催者に対し正確な情報を迅速に提供するとともに、日本での開催を依頼し、キャンセル拡大の防止に努めた。
また、体操(世界体操2011in東京)、バレーボール(ワールドカップバレー)、ラグビー(パシフィックネイションズカップ、ゴールデンオールディーズ・ワールドラグビーフェスティバル)、トライアスロン(ITUトライアスロンワールドチャンピオンシップシリーズ横浜)の国際競技大会を日本で開催するよう、世界のスポーツ界に働きかけ、日本開催の維持に努めた。
「世界体操2011in東京」開催維持を訴える様子(アメリカ・サンノゼにおける評議会)
日本全国で外国人旅行者をお迎えする気運を高める取組を中心としたおもてなしキャンペーンを実施した(平成23年9月から平成24年3月まで)。
同キャンペーンでは訪日外国人旅行者に対し、空港や在外公館などで約33万枚のクーポン券を配布し、国内の賛同・協力施設(小売、飲食、観光関連、宿泊施設など)で割引などの特典が受けられる体制を整えた。
また、平成23年11月からは、“Japan Big Welcome Campaign"を実施した。同キャンペーンでは、訪日外国人旅行者に人気のある百貨店での特別割引、宿泊施設での宿泊料の特別割引の実施など、冬から春にかけての特別プラン等を多数用意した。
キャンペーンポータルサイトhttp://www.visitjapan.jp
Visit Japan Cardや、専用スマートフォンアプリによる特典の提供
キャンペーンポスター
5) 「Japan.Thank You.」キャンペーン |
平成24年2月から、日本と世界の絆を強め、訪日需要の回復につなげるため、改めて世界へ感謝(Thank You)を伝える取組を行った。具体的には、特別ロゴ及びポスターの作成や、東京、横浜、京都、大阪、仙台、ニューヨーク等の主要都市において街頭バナーへのロゴの掲示等を行う「Japan.Thank You.」キャンペーンを実施した。
特別ロゴ
特別ポスター
ワン・タイムズスクエア・ビルでの掲示
成田国際空港到着ターミナルでの掲示
平成24年4月16日~19日にかけて、世界の観光産業トップが集まる「第12回WTTCグローバルサミット」が東京及び仙台で開催された。
世界53の国から仙台会合に約700名、東京会合に約1,200名が参加し、日本政府からは野田総理大臣、前田国土交通大臣(当時)等が参加した。セッションでの議論及び被災地等の現地視察を通じて、世界の観光産業トップ及び海外メディアに対し、被災地を中心とした我が国の復興状況や安全な現状を発信し、我が国の安全に対する懸念等を払拭するとともに、我が国の観光立国実現に向けた決意を表明し、訪日旅客の拡大への協力を働きかけた。また、観光産業のより一層の振興のため、観光促進に向けたビザ等の各種阻害要因の改善に向け、観光産業トップが協力していくことで一致した。
野田総理大臣
前田国土交通大臣(当時)
西田日本組織委員会委員長
フレンツェルWTTC会長
その他、野田総理大臣が訪米時に東日本大震災で犠牲になられた米国人のご家族に対し追悼の意を伝え、被災地において救命活動等を行った捜索救助隊の隊員に対し、感謝を伝えることなども行っている。
震災後に見られた観光に関する取組の自粛等を解消するため、都道府県や観光・交通関係業界等に対して、継続的な取組が復興に資すること等を呼びかけた。
また、平成23年4月より、観光・交通関係業界と連携し、官民合同による「国内旅行振興キャンペーン」を実施した。本キャンペーンは、風評被害や自粛風潮を払拭して国内観光需要を喚起すること、被災地をはじめ日本全国への旅行を促進することを目的としている。具体的には、共通ロゴ「がんばろう!日本」を掲げ、ポスターや新聞、雑誌等の様々な媒体を用いて情報発信し、(社)日本観光振興協会が運営する「キャンペーンポータルサイト(ホームページ:http://kokunai.nihon-kankou.or.jp/)」への誘引を図り、国内旅行へ出かける機運を醸成するとともに、魅力的な旅行商品等の造成を促進している。
「がんばろう!日本」ロゴ
キャンペーンポスター
震災後、大きく落ち込んだ東北地方への観光需要を喚起するため、平成24年3月から、東北地方全体を一種の博覧会会場と見立てた「東北観光博」を本格実施している。東北地方の主要な28の観光地域を核となる「ゾーン」とし、官民一体となって東北地方への誘客等を図っている。本観光博では、地域が主体となって、その歴史、文化、くらしなどを観光資源としていかし、地域の日常生活に観光客が回遊する仕組みの定着を図り、地域と観光客の交流がより促進される新しい観光スタイルの実現を目指している(東北観光博ホームページ:http://www.visitjapan-tohoku.org/)。
東北観光博オープニングイベントの様子
図I-3-2-2 東北観光博の概要
震災から1年が経過することを契機に、官民が一体となって、東北・北関東において各種会議を開催すること等により東北・北関東の復興を応援する国民運動を平成24年3月末より本格展開している(ホームページ:http://www.mlit.go.jp/kankocho/fukkou-shien/about.html)。
復興のために開催された東北地方関連の各種イベントに対して支援を行った。
表I-3-2-3 支援を行った主なイベント一覧
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