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第II部 平成23年度の観光の状況及び施策

第2章 国際競争力の高い魅力ある観光地の形成

第1節 国際競争力の高い魅力ある観光地の形成

2 宿泊施設、食事施設、案内施設その他の旅行に関連する施設及び公共施設の整備



  (1) ホテル・旅館の整備

 旅館業を営む者は、「生活衛生関係営業の運営の適正化及び振興に関する法律」に基づき、都道府県ごとに生活衛生同業組合を組織し、衛生施設の改善や経営健全化のための自主的活動を行っている。国においては、全国及び都道府県の生活衛生営業指導センターの行う経営指導事業等について助成を行っている。
 また、ホテル・旅館に対しては、(株)日本政策金融公庫及び沖縄振興開発金融公庫が、それぞれ一定の条件を満たすものに対して長期かつ低利の融資を行っている。
 さらに、訪日外国人に対する接遇の向上の観点から、「国際観光ホテル整備法」に基づき訪日外国人の宿泊に適するものとして一定の基準を満たした登録ホテル・旅館については、地方税の不均一課税 (平成22年3月末現在で登録ホテル・旅館が存在する496市町村中259市町村が軽減規定を設けている)が適用されている。
 また、「観光圏の整備による観光旅客の来訪及び滞在の促進に関する法律」において、滞在促進地区内の一定の条件を満たしたホテル・旅館における旅行業者代理業の特例を定めている。

  (2) 地域の自立・活性化の総合的支援

 広域観光振興等による地域の自立と活性化を図るため、都道府県が民間と連携して作成する「広域的地域活性化基盤整備計画」に対する支援等を実施している。
 平成23年度は、広域観光の活性化を目的とした計画を策定している31府県68地域に対して、「広域的地域活性化のための基盤整備に関する法律」に基づき交付金を交付した。

図II-2-1-3 複数県が連携した広域観光活性化の取組事例



  (3) 地域のまちづくりへの支援

 地域の創意工夫を活かしたまちづくりを推進するため、市町村が作成した都市再生整備計画に基づき実施される観光振興や観光交流促進等の地域のまちづくりの目標に沿ったハード事業からソフト事業まで幅広い事業を支援しており、引き続き実施していくこととしている。

  (4) 個性あるまちづくりの推進

 地域独自の個性ある観光都市の形成を図るため、土地区画整理事業の施行者と住民等が協力したまちづくり委員会等の設置・運営、地域の特性に応じた公共施設のグレードアップ等を支援しており、引き続き実施していくこととしている。

  (5) 街なみ環境の整備

 「街なみ環境整備事業」により、住宅等の外観の修景、電線の地中化、道路・公園等の地区施設の整備、景観重要建造物の整備等を行っており、引き続き実施することとしている。

街なみ環境整備事業による住宅等の外観の修景、電柱の地中化等の実施事例[今井町地区(奈良県橿原市)]



  (6) 都市再生・地域再生に資する市街地再開発事業の推進

 駅周辺を始めとした中心市街地等において、地域の観光の拠点となる商業施設等の建築物や、道路、広場等の公共施設の整備を行うことにより、観光地にふさわしい魅力ある都市空間の形成を促進しており、引き続き実施していくこととしている。

  (7) 景観に配慮した道路整備の推進

 住民と連携しつつ、周辺の環境と調和した防護柵の設置や道路緑化、歩道緑化等の景観に配慮した道路整備を推進しており、引き続き実施することとしている。

  (8) 道を舞台にした美しい国土景観の形成

 多様な主体による協働の下、道を舞台に、地域資源を生かした美しい国土景観の形成を図り、観光の振興や地域の活性化に寄与することを目的とする「日本風景街道」を推進した。
 平成24年3月末現在127ルートが風景街道として登録されており、地域の方々による沿道の植樹・植栽、ビューポイントの整備や清掃活動など、道路を活用した美しい景観形成や地域の魅力向上に資する活動を実施しており、引き続き推進することとしている。

飛騨高山風景街道(岐阜県) 植樹活動の様子 植樹後の状況




  (9) 観光振興に資する道路空間の有効活用

 観光を活かした地域づくりを推進するため、道路空間の有効活用等、先進的または斬新な施策の効果や影響を把握するための社会実験を実施するとともに、まちのにぎわい・交流の場の創出など道路空間をより幅広く、有効に使う「道路空間のオープン化」を推進している。

  (10) 河川空間等の活用のための取組

 河川や水辺をまちづくり・観光の核として活用促進を図るため、平成21年度に「かわまちづくり支援制度」を創設し、地域の魅力向上を目指す市区町村の計画に対し、フットパス、サイクリングロードとしても活用できる管理用通路の整備、憩いのスペース等として活用できる傾斜の緩い堤防整備、整備事例や整備箇所の活用事例等の情報提供、地域のニーズに対応した河川敷地利用の支援等の支援・推進を行っている。
 さらに、ダムを生かした水源地域の自立的、継続的な活性化を図るため、「ダムの水源地域ビジョン」の策定・推進を図っている。また、ダム湖及びダム湖周辺の環境整備や美しく迫力のある放水を間近で見ることができる観光放水等を引き続き実施していくこととしている。

長井地区かわまちづくり(山形県)



  (11) 都市内の水路等の保全・再生

 都市の中の水辺は観光資源としても大きな可能性を有している。水辺の保全・再生に向けては、全国7箇所のモデル地域(船橋市、横浜市、厚木市、大津市、堺市、神戸市、北九州市)の取組を基に、下水処理水、雨水、地下水等の活用による平常時の流量の回復、維持管理及び活用方策に関する計画策定、具体的な設計、施工等についてまとめた「都市の水辺整備ガイドブック」を公表している。これを活用した魅力的な都市の水辺空間の再生、創出の取組が進展した。
 また、都市の中の水路も観光資源として大きな可能性を有しているため、せせらぎ水路の整備等に対して引き続き支援を実施していくこととしている。

  (12) 無電柱化の推進

 良好な街並み景観の形成、歴史的街並みの保全、観光地の魅力向上、伝統的祭り等の地域文化の復興、安全で快適な通行空間の確保等を図るため、幹線道路に加え、主要な非幹線道路も含めた面的な無電柱化を推進しており、引き続き推進することとしている。

観光地における無電柱化の例(埼玉県川越市) 整備前 整備後



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