前(節)へ   次(節)へ
第II部 平成23年度の観光の状況及び施策

第2章 国際競争力の高い魅力ある観光地の形成

第2節 観光資源の活用による地域の特性を生かした魅力ある観光地の形成

1 文化財等に関する観光資源の保護、育成及び開発



  (1) 文化財等の保存・活用

 貴重な国民の財産である文化財を保護するため、「文化財保護法」に基づき、その適切な保存・活用を図っている。例えば、地域の歴史的・文化的シンボルである史跡等については、城の石垣や古墳石室の修理といった保存のための整備、建物復元・遺構の露出展示やガイダンス施設の設置といった活用のための整備を行い、その魅力を高めることで、地域の観光資源としても活用されている。
 また、募金活動や寄付により歴史的価値を有する文化遺産や良好な自然環境を有する土地等を取得し、その適正な管理、保全及び活用を図るナショナル・トラスト運動を行う法人に対しては、寄付について税制優遇措置を講じている。さらに、「生物多様性基本法」や「生物多様性地域連携促進法」において、地域の多様な主体が進める生物多様性の保全上重要な土地の取得を促進することが規定されており、今後もナショナル・トラスト運動推進に関する支援を行うこととしている。
 そのほか、(社)日本ナショナル・トラスト協会が主催した「第29回ナショナル・トラスト全国大会」には全国各地から関係者約60名が参加し、今後のナショナル・トラスト運動の展開等について、情報交換が行われた。

北海道斜里町(知床100平方メートル運動)



富士山高原トラスト(山梨県富士河口湖町)



  (2) 世界文化遺産の保護

 1972年ユネスコ総会で採択された「世界遺産条約」により、我が国では、国内の文化遺産を世界文化遺産へ登録するとともに、世界遺産の保護に関する国際的な協力の取組を進め、国内外への情報発信に努めている。
 平成23年6月に、パリ(フランス)で開催された第35回世界遺産委員会で、「平泉-仏国土(浄土)を表す建築・庭園及び考古学的遺跡群-」が世界遺産一覧表に登録された。

中尊寺 金色堂(写真提供:中尊寺)



毛越寺庭園(写真提供:川嶋印刷株式会社)



  (3) 文化遺産を活用した観光振興・地域活性化の推進

 我が国の「たから」である地域の多様で豊かな文化遺産を活用し、文化振興とともに観光振興・地域活性化に資する各地域の実情に適した総合的な取組を推進した。具体的には、都道府県・市町村が策定する計画に盛り込まれた、地域に伝わる伝統芸能等の後継者育成、民俗芸能等の発表機会の確保等、地域の美術館・博物館における地域の文化資源・人材を活用した取組や外国人利用者等に対応する取組、重要文化財建造物の公開のための施設・設備の整備、史跡等の復元・公開活用等を支援した。
前(節)へ   次(節)へ
All Rights Reserved, Copyright (C) 2003, Ministry of Land, Infrastructure and Transport