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第II部 平成23年度の観光の状況及び施策

第2章 国際競争力の高い魅力ある観光地の形成

第2節 観光資源の活用による地域の特性を生かした魅力ある観光地の形成

2 歴史的風土に関する観光資源の保護、育成及び開発



  (1) 歴史的風土の保存による魅力ある国づくりの推進

 京都市、奈良市、鎌倉市等の古都における歴史的風土を保存するため、「古都における歴史的風土の保存に関する特別措置法」等に基づき、宅地の造成等の行為を規制した。また、「社会資本整備総合交付金」により、歴史的風土特別保存地区等における地方公共団体による土地の買入れ、歴史的風土の保存及び利用のための施設整備、景観阻害物件の除却等の実施を推進した。さらに、国営飛鳥・平城宮跡歴史公園の整備を推進するとともに、平成22年度に策定された「明日香村整備計画」や「明日香村歴史的風土創造的活用事業交付金」等により歴史展示及び歴史的風土を活用した地域活力の向上等を図っていくこととしている。

  (2) 歴史まちづくりの推進

 城、神社等の歴史的な建物や町家、武家屋敷等のまちなみと、祭礼行事等の歴史や伝統を反映した活動があいまって形成される地域の歴史的な風情、情緒を生かしたまちづくりを国が支援する「歴史まちづくり法(正式名:地域における歴史的風致の維持及び向上に関する法律)」が平成20年に成立、施行された。同法に基づき、平成24年3月末現在、金沢市、高山市等の31市町の歴史的風致維持向上計画を申請に基づき認定し、各市町が行う歴史まちづくりに対して支援を行っている。

図II-2-2-1 歴史的風致維持向上計画認定状況



  (3) 地域の観光の拠点となる都市公園の整備の推進

 地域の歴史的・文化的・自然的資源や、景観形成上優れた建造物を生かした観光振興の拠点となる都市公園の整備や、多様な生物の生息生育基盤や身近な自然と触れ合う場を確保し、自然と共生する魅力的な都市づくりを推進した。
 また、我が国固有の優れた文化的資産の保存及び活用等を図るために国が設置する国営公園については、平成23年度末現在、17公園が開園され、平成23年度の年間利用者数は約3,200万人となった。

  (4) 歴史的・文化的価値を持つ道路の保存・活用

 歴史的に重要な幹線道路として利用され、特に重要な歴史的・文化的価値を持つ道路を対象に選定した「歴史国道」について、その保全・復元・活用を図り、併せて地域からの情報発信を行うことにより、歴史文化を軸とした魅力的な地域づくりを実施することとしている。

  (5) 歴史的価値を有する砂防設備の保存・活用

 砂防設備として初めて国の重要文化財指定を受けた白岩砂防堰堤(富山県)を始め、登録有形文化財や登録記念物に登録されている歴史的価値を有する砂防設備について、適切な維持管理、周辺の一体的整備等を実施するとともに、このような施設を地域の観光資源の核として位置付け、新たな交流の場の形成に資する取組を推進していく。

平成21年6月に国の重要文化財に登録された立山カルデラ内の白岩砂防堰堤(富山県常願寺川水系)



登録有形文化財に登録されている牛伏川階段工(長野県牛伏川水系)


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