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第II部 平成23年度の観光の状況及び施策

第5章 観光旅行の促進のための環境の整備

第4節 観光旅行の安全の確保

2 観光旅行における事故の発生等の防止



  (1) 公共交通機関の安全対策の推進

 鉄道・自動車・海運・航空の公共交通機関での一層の安全確保を図るため、運輸事業者が経営トップから現場まで一丸となり安全管理体制を構築・改善し、国がその実施状況を確認する運輸安全マネジメント制度を、保安監査と「車の両輪」で実施している。
 制度導入から平成23年12月末までに、延べ4,704社(鉄道814社、自動車578社、海運3,225社、航空87社)に対して運輸安全マネジメント評価を実施した。
 今後も、運輸安全マネジメント制度の充実や保安監査の強化を行うなど公共交通機関の安全性の一層の向上を図る。

  (2) 道路交通の安全対策の推進

 行楽地を中心に必要に応じた交通規制、交通整理及び交通指導取締りの強化に努めた。また、行楽期には、事前広報や臨時交通規制を実施するとともに、交通量の変動に対応した信号制御を行ったほか、交通渋滞情報等の提供により迂回を促すなどして、行楽車両の適切な配分誘導に努めた。
 高速自動車国道等においても、交通安全施設の整備等事故防止に向けた交通安全対策を推進するとともに、道路交通情報提供装置の整備等利用者サービスの向上を推進しており、引き続きこれらの施策を推進していくこととしている。

  (3) 道路の防災対策

 自然災害に対して安全で信頼性の高い道路ネットワークを確保するため、道路の斜面対策や災害のおそれのある区間を回避する道路の整備を行うとともに、緊急輸送道路の橋梁の耐震補強等を推進した。さらに、雪崩予防柵の設置等の防雪事業や除雪事業等の雪寒対策により、安定した冬期の道路交通の確保を推進しており、引き続き実施することとしている。

  (4) 海上交通の安全対策の推進

 ライフジャケットの着用、発航前点検の実施等の小型船舶に係る遵守事項については、周知啓発・パトロール活動を行うなど航行の安全確保の着実な推進を図った。
 マリンレジャーにおける安全推進のため、自己救命策についての広報活動等を実施した。

  (5) 宿泊施設の防火・防災安全対策の推進

 建築物を点検した際の適合マーク(防火・防災基準点検済証、防火・防災優良認定証等)について、利用者である国民及び旅館・ホテル等の事業者に対し積極的に制度の周知・広報を図るとともに、消防法令違反により適合マークが表示できない建築物に対しては、違反是正の徹底を図っている。

防火・防災優良認定証


 また、事業所の防火・防災管理者に対する講習や資格者による防火・防災管理点検の実施により、火災や地震災害時の旅館・ホテル等の実質的な防火・防災安全体制の維持及び充実を図った。
 さらに、旅館、ホテル等で、特に既存不適格建築物について、建築物防災週間の機会をとらえて防災査察を実施するなど、改善指導に努めるとともに、一定規模以上の旅館、ホテル等に対しては「建築基準法」に基づき定期的にその状況について報告を求め、必要な改善指導を行い、防火・避難上の安全の確保を図っている。

  (6) 海外における事故・事件への対応と安全対策

 旅行者に向けて、関係機関と連携しつつ、渡航先の治安・安全情報や、海外における危機及び安全対策に関する情報を周知した。旅行業者に対しては、海外での情勢に関する注意喚起等を実施し、事故等発生時には関係省庁が緊密な連絡を取りつつ情報収集を実施した。
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