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第I部 観光の状況

第1章 平成24年度の観光の状況

第1節 世界の観光の状況


 UNWTO(世界観光機関)によると、2012年の世界全体の国際観光客数は、厳しい世界経済にもかかわらず、前年比約4%の増加となり、史上初めて10億人を突破した(図I-1-1-1)。2013年については、引き続き3~4%の堅調な増加となると予測されている。

図I-1-1-1 国際観光客到着数の推移


 地域別に見ると、2012年の国際観光客受入数のシェアは、欧州が51.6%と世界全体の半分以上を占めている。アジア太平洋地域は22.6%で、欧州に次ぐ規模となっている(図I-1-1-2)。2012年の国際観光収入のシェアも、アジア太平洋地域は30.0%で、欧州の42.5%に次ぐ規模となっている(図I-1-1-3)。

図I-1-1-2 国際観光客受入数の地域別シェア(2012年)



図I-1-1-3 国際観光収入の地域別シェア(2012年)


 2012年にアジア太平洋地域を訪れた国際観光客数は、2011年より1,500万人以上の大幅な増加(前年比7%増)となり、他地域と比べ最も伸び率が高かった。特に、東南アジアは前年比9%増と大きな増加を示した。その主な理由としては、LCC(格安航空会社)の就航の拡大が挙げられ、この増加傾向は、今後も続くと見込まれる。
 2012年に欧州を訪れた国際観光客数は、2011年より1,700万人以上の増加(前年比3%増)となった。これは、低迷する経済状況を踏まえると良好な結果と考えられる。2012年に米州を訪れた国際観光客数は、2011年より600万人以上の増加(前年比4%増)となった。中東地域については、不安定な政治情勢が続いていることから、国際観光客数は、2012年は2011年より300万人以上の減少(前年比5%減)となった(図I-1-1-4)。

図I-1-1-4 地域別国際観光客数の前年比増減(2012年)


 2011年の各国・地域の外国人旅行者受入数については、2010年と比べ上位10か国に順位の変動はなく、フランスが7,950万人と引き続き首位となり、米国が6,233万人で2位、中国が5,758万人で3位であった。日本は、東日本大震災の影響を受けて2010年の861万人から622万人まで大きく減少したことにより、世界で39位(アジアで10位)となった。アジアについて見ると、中国が2010年に引き続き2位のマレーシアを大きく引き離して首位を維持し、3位以下は、香港、タイ、マカオが続いた(図I-1-1-5)。

図I-1-1-5 外国人旅行者受入数ランキング(2011年)


 2011年の各国・地域の国際観光収入については、米国が116,279百万米ドルで2010年に引き続き首位、スペインが59,892百万米ドルで2位、フランスが53,845百万米ドルで3位であった。日本は10,966百万米ドルで、世界で28位(アジアで10位)と外国人旅行者受入数と同様に2010年から順位を下げている。アジアについて見ると、中国が2010年に引き続き首位であった(図I-1-1-6)。

図I-1-1-6 国際観光収入ランキング(2011年)


 2011年の各国・地域の国際観光支出については、ドイツが85,900百万米ドルで2010年に引き続き首位、米国が78,700百万米ドルで2位、中国が72,600百万米ドルで3位であった。日本は、27,200百万米ドルで世界で9位(アジアで2位)であった(図I-1-1-7)。また、UNWTOによると、2012年の国際観光支出については、中国が約102,000百万米ドルで、ドイツ(約83,800百万米ドル)、米国(約83.700百万米ドル)を抜き、初めて首位になった。なお、日本は約27,900百万米ドルで第8位であった。

図I-1-1-7 国際観光支出ランキング(2011年)


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