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第I部 観光の状況

第2章 国際観光振興の回顧、総括と今後の展開

第4節 国際観光振興政策の今後の展開

6 国際的な視点の強化


 国外から人々を呼び込むためには、グローバルな視点が欠かせない。日本の常識が世界の常識とは限らない。世界に目を開いて、先進的な国・地域の経験と取組をよく学び、訴求対象とする国・地域の社会・経済の状況等をしっかり把握すること、そして世界的な観光の動向を観察することは、観光施策を企画する上での出発点とも言える。
 施策が独りよがりなものにならないよう、検討段階から訴求対象とする国・地域をはじめ諸外国の人々の目線を取り入れるなどの工夫も必要である。留学生をはじめとする在日外国人の協力を得ることも有効である。
 国際協力に積極的に取り組むことにより、我が国の観光の国際的なプレゼンスを高めるという観点も重要である。これまでも、我が国として、アジア太平洋地域の開発途上国向けに、セミナー・シンポジウムや研修を開催するなど人材育成に取り組んできている。これらの活動は、国際社会の中での我が国の観光分野における地位の向上や発言力の強化にも繋がるものであることから、今後、国内の官民観光関連組織の連携を強化し、これらの各取組に参画することのできる観光分野OB等の人材をデータベース化するなど、国内における国際協力実施体制を構築し、観光分野における国際協力を促進していく。
 観光に関する国際基準づくりの取組に積極的に参画し、日本として国際的な議論をリードしていく姿勢も重要である。観光サービスに係る国際基準については、2005年(平成17年)からISO(国際標準化機構)における専門部会が立ち上げられ、現在、ヘルスツーリズム、観光案内所等について検討がなされている。我が国は、現時点では、このような国際基準の議論に参画していないが、今後、これらの議論に関する情報収集を行った上で、関連業界と連携してこれらの議論に参画し、我が国の観光サービスを国際標準化していくことが求められる。
 また、UNWTO(世界観光機関)、WTTC(世界旅行ツーリズム)などの国際会議への我が国の官民の参画も見劣りするものであることから、こうした国際機関や国際フォーラムでのプレゼンスを上げていく努力が必要である。

独立行政法人国際協力機構(JICA)の「観光振興とマーケティング研修」の様子


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