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第I部 観光の状況

第3章 観光産業の強化

第2節 観光産業の強化のための方策

4 旅行の安全確保



  (1) 組織的な安全マネジメント等安全への取組


  1) 旅行の安全確保の重要性

 平成24年度は、関越自動車道における高速ツアーバス事故、中国の万里の長城付近における遭難事故、エジプトのルクソールでの熱気球事故など、痛ましい事故・事件が相次いで発生した。旅行の安全を確保することは、観光産業が事業を実施する際の大前提であり、安全性をより一層向上させるため、不断の取組を進めていくことが求められている。

  2) 組織的な安全マネジメントのあり方の検討

 旅行の安全性をできる限り向上させ、事故等を防止する観点から、運輸事業者について導入されている運輸安全マネジメントシステムを参考としつつ、自ら輸送サービスを提供しない旅行業の特性を踏まえた組織的な安全マネジメントのあり方を検討する必要がある。併せて、旅行業者に対する行政の立入検査の充実、事業者による自主チェックの仕組みの導入等も進めていく必要がある。
 さらには、テロ、災害時等における旅行者の動静に関する情報収集やデータとりまとめについて、行政と事業者間の連携強化や効率的な情報収集を進めるとともに、訪日外国人旅行者の安全確保の取組を検討することが求められている。

  (2) IT技術の普及に対応した消費者保護のあり方

 インターネットを利用した旅行商品販売の一般化に伴い、旅行商品の企画・販売・実施に関する契約関係が重層的になっており、旅行の安全に関する責任の所在が分かりにくくなっていることから、これを踏まえた旅行の安全や消費者の信頼を確保するための対応が必要となっている。具体的には、インターネット上で旅行・宿泊予約サイトを運営している企業(インターネットサイト運営企業)が担うべき役割や責任、旅行業者との役割分担、利用者への対応のあり方等について整理し、利用者への周知を図ることが必要となっている。
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