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第II部 平成24年度に講じた施策(平成24年度施策)

第8章 観光旅行の促進のための環境の整備

第6節 観光地域における環境及び良好な景観の保全

1 観光地域における環境の保全



  (1) エコツーリズムの推進

 【再掲】第8章第5節2(1)

  (2) 国立・国定公園の保護と利用の推進


  1) 東日本大震災からの復興

 東日本大震災により被災した三陸地域において、自然の恵みを生かし自然環境に配慮しつつ復興する「国立公園の創設を核としたグリーン復興」に取り組み、沿岸の自然公園を三陸復興国立公園として再編するための調査及び地元との調整を行った。

  2) 長距離自然歩道の整備

 自然公園や文化財を有機的に結ぶ長距離自然歩道について、平成24年度には東北、首都圏、東海、中部北陸、近畿、中国、四国、九州の長距離自然歩道において、四季を通じて安全で快適に利用できるように整備を進めた。長距離自然歩道の計画総延長は約26,000kmに及んでおり、平成23年には約6,922万人が長距離自然歩道を利用した。

  3) 利用者への指導等の推進、情報発信

 国立・国定公園の保護と適正な利用のため、自然公園指導員約2,800名を委嘱しており、利用者に自然保護思想や利用マナーの普及啓発、安全利用等に関する指導等の推進を図った。また、全国25国立公園等37地区の地方環境事務所等において約1,600名のパークボランティアの養成及びその活動に対する支援を実施した。

  (3) 世界自然遺産地域の適正な保全管理

 我が国では、世界遺産条約に基づき、平成25年2月現在で、4件の世界自然遺産が登録されている(図II-8-6-1)。各世界自然遺産地域では、世界遺産地域管理計画等に基づき、関係機関が連携して適切な保全管理を行った。「屋久島」については、観光利用と適正な保全管理の調和など新たな課題等に対応するため、新しい管理計画を策定した。「白神山地」については、新しい管理計画の策定を進めている。
 また、政府は、平成25年1月、「奄美・琉球」を世界自然遺産として我が国の世界遺産暫定一覧表に記載することを決定した。さらに、世界遺産に対する意識の醸成等を目的として、世界遺産条約採択40周年記念行事を開催した。

図II-8-6-1 日本の世界自然遺産



  (4) 環境対応車の普及促進による観光地域の環境の保全及びその魅力の向上

 三大都市圏、環境未来都市の観光地等において、電気自動車(EVバス、EVタクシー等)の環境との親和性(ゼロエミッション性等)を生かした地域・事業者間連携等による先駆的事業を行う自動車運送事業者等を重点支援することにより、魅力的で利便性の高い移動手段を提供し、観光振興を促進した。

観光地における電気自動車導入の例(岩手県宮古市)



  (5) 自然と調和した港湾・河川環境の保全・創出

 汚濁が著しい河川の底泥浚渫や浄化用水の導入による水質改善、多自然川づくりの推進等により、良好な河川空間を保全・創出した。

  1) 沿岸域の環境改善

 「海の再生」の実現に向けて、東京湾、大阪湾、伊勢湾及び広島湾において、それぞれの「再生行動計画」に基づき、関係機関と連携の下、陸域から流入する汚濁負荷の下水道等による削減対策、干潟・浅場等の整備、環境モニタリング等の各種施策を総合的に推進した。

  2) 港湾の整備

 港湾において、親水性を高めるとともに良好な環境・景観を創造するため、汚泥浚渫、覆砂、深掘跡の埋め戻し、干潟等の積極的な保全・再生・創出のほか、緑地の整備を推進した。

  3) 生活排水対策の推進

 下水道、農業集落排水施設及び浄化槽等の整備により、観光地の河川や湖沼等公共用水域の水環境の保全を図っており、引き続き実施する。
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