5.2.2 作業上の留意事項

幾何オブジェクトの作成時におけるデータ作成負荷を軽減することを目的とする作業上の留意事項を示す。ただし、幾何オブジェクトの作成においては、附属書Bに示す妥当な幾何オブジェクトの要件を満たさなければならない。

5-3 — 留意事項22: LODによる形状の再現性の違いについて

ID

/att/quality/1

主題

標準作業手順

分類

要件分類4: 3D都市モデル作成手順と品質評価の留意事項

条文

LODにより都市オブジェクトの形状の再現性が異なる。建築物、橋梁、トンネル及び都市設備は、LOD1は、外周に一律の高さを与えて上向きに押し出した立体となり、LOD2はLOD1から上部を詳細化し、LOD3では側方を詳細化することが基本となる。
そのため、LOD1では、一律の高さで立ち上げることで、実際の形状と乖離する場合がある。下記図は、建物正面玄関に存在する階段の両端にあたる部分が建物外形線として取得されていたため、LOD1による一律の押し出しにより、実際の形状と乖離した例である。

実際の建築物の形状と乖離するLOD1建築物(中央)の例

また、LOD1及びLOD2では、他の都市オブジェクトに隠れ、上空から正射影が取得できない場合は作成されない。下記図は複合的な都市設備について、下部に設置された標識がLOD1やLOD2では再現されない例である。

他の都市設備に隠れ、LOD1及びLOD2では取得されない都市設備の例

このようなLODごとの再現性の違いを考慮し、データ作成対象とするLODを決定する必要がある。

5-4 — 留意事項23: 都市オブジェクトの区切り

ID

/att/quality/2

主題

標準作業手順

分類

要件分類4: 3D都市モデル作成手順と品質評価の留意事項

条文

都市オブジェクトは、地物の外形(LOD0、LOD1、LOD2及びLOD3)とこれに加えて地物の内形(LOD手順4.を示す境界により区切ることが基本となる。ただし、道路や地形のように、連続して存在する地物は、外形や内形を示す境界以外の場所で区切る。都市オブジェクトを区切る場所は、地物型ごとに標準製品仕様書に示されている。5-5に、地物型ごとに定義された、都市オブジェクトを区切る場所を一覧で示す。

5-5 — 都市オブジェクトの区切り

地物型

都市オブジェクトの区切り

建築物

交通(道路)

交差部(四差路、多差路及び三差路)、道路構造の変化点、位置正確度や取得方法の変化点で区切る。

交通(鉄道)

路線、軌道の分合流、市区町村界、位置正確度や取得方法の変化点で区切る。

交通(徒歩道)

交差部、道路構造の変化点、位置正確度や取得方法の変化点で区切る。

交通(広場)

位置正確度や取得方法の変化点で区切る。

交通(航路)

航路が交差する部分で区切る。

土地利用

災害リスク

災害リスク(浸水)はメッシュの境界で区切る。

都市計画決定情報

都市計画区域、準都市計画区域及び区域区分は区域の境界に加えて市区町村界により区切る。

橋梁

高架橋のように延長の長い橋梁は、管理区間及び上部工の境界(伸縮装置の設置部)で区切ることができる。

トンネル

高速道路等に存在する延長の長いトンネルは、管理区間及び覆工スパンの境界で区切ることができる。

その他の構造物

堤防のように延長が長く、構造上の切れ目なく続く場合は、管理区間及び市区町村界で区切ることができる。

都市設備

地下埋設物

地下街

植生

地形

メッシュの境界で区切る。

水部

メッシュの境界で区切る。

区域

5-6 — 留意事項24: LOD毎の幾何品質情報の記録

ID

/att/quality/3

主題

標準作業手順

分類

要件分類4: 3D都市モデル作成手順と品質評価の留意事項

条文

幾何オブジェクトに関する品質情報を、LOD毎に記録する。

全ての都市オブジェクトは、データの品質に関する情報を記録するデータ品質属性(uro:DataQualityAttribute)を作成しなければならない。このデータ品質属性は、幾何オブジェクトに関する品質として以下の属性をもつ。

  • LOD別の原典資料の種類

  • LOD別のアピアランスに使用した画像の種類

  • LOD1の立ち上げに使用した高さ(LOD1の幾何オブジェクトを一律の高さで押し出した立体として表現する場合)

  • LODの詳細な区分(LOD2.0やLOD2.1のように、LODを細分する場合)

幾何オブジェクトを作成する場合は、都市オブジェクトごとに、これらの情報を記録すること。