C.3.1.4 LOD3

建築物モデル(LOD3)では、建築物の形状を立体として表現する。このとき、建築物オブジェクトは、建築物モデル(LOD3)の定義に従ったものでなければならない。

表 C-17 — 要件 C-12:建築物のLOD3形状定義

ID

/req/bldg/12

主題

妥当な建築物データセットの要件

分類

要件分類 C-1:妥当な建築物オブジェクト作成

条文

建築物のLOD3の形状は、建築物モデル(LOD3)の定義に従う。

図 C-10 — 建築物モデル(LOD3)

建築物モデル(LOD3)は、含むべき地物により、LOD3.0、LOD3.1、LOD3.2及びLOD3.3に分かれる。これらは、MMS(Mobile Mapping System)による点群や画像等、側面から取得したデータの利用を前提とした区分であり、外壁面や開口部を含む建築物の側面を詳細化する。標準製品仕様書では原則としてLOD3.0を採用する。ただし、ユースケースの必要に応じてLOD3.1、LOD3.2又はLOD3.3を採用できる。

表 C-18 — 建築物モデル(LOD3)の取得イメージ

取得イメージ

説明

LOD3.0

屋根のうち短辺3m以上の屋根面が表現される。
付属物のうち、短辺3m以上の規模の大きな付属物が再現される。
LOD3では外壁面が詳細化されるため、LOD2では表現されない付属物の下部の形状も表現される。
また、外壁面に設けられた短辺1m以上の開口部(窓、扉)が再現される。
なお、上図の場合、軒裏は3m以内であったため、表現されなかった。
下図に3m以上の軒を表現した例を示す。LOD3.0において軒を表現する建築物として、寺社や城といった特殊な建築物あるいは倉庫等の規模が大きな建築物が該当する。

LOD3.1

短辺の実長1m以上かつ上方からの正射影の面積3m2以上の屋根面が表現される。
この結果、左図の例では、LOD3.0では切妻屋根として表現されたが、LOD3.1の条件を満たしたため、入母屋屋根として表現された。
また、この例図では、軒裏の距離が1m以上あったため、表現された。
開口部及び屋外付属物の表現は、LOD3.0と同様の表現となる。

LOD3.2

LOD3.2ではさらに詳細な表現が可能となり、短辺の実長1m以上又は上方からの正射影の1m2以上屋根が再現される。
左図の例では、屋根に設けられた小屋根がこの条件に該当し、再現されている。
また、LOD3.2では、短辺が実長1m以上又は上方又は側方からの正射影の面積1m2以上の屋外付属物が表現される。
左図の例では、屋根上の煙突と外壁面に設けられた庇がこの条件を満たしたため屋外付属物として表現された。
LOD3.2では、面積1m2以上の窓や扉も表現されるため、この条件に該当する窓が追加された。

LOD3.3

LOD3.3では、短辺の実長が1m未満の細かな屋根の形状が表現される。
左図の例では、LOD3.1及びLOD3.2では1枚の屋根面として表現されていたが、LOD3.3では傾斜の異なる2枚の屋根面として区分された。
また、軒裏のうち、屋根の外周との距離が1m未満の狭い軒裏も表現された。
さらに、LOD3.3の条件を満たす1m未満の小さな開口部や付属物が追加された。

表 C-19 — LOD3.0, LOD3.1, LOD3.2及びLOD3.3の区分

建築物モデル(LOD3)に含むべき地物

対応するCityGMLの地物型

LOD3.0

LOD3.1

LOD3.2

LOD3.3

建築物

Building

●

●

●

●

屋根面

RoofSurface

●
短辺の実長3m以上

●
短辺の実長1m以上かつ上方からの正射影の面積3m2以上

●
短辺の実長1m以上
又は上方からの正射影の1m2以上

●
全てを対象とする

底面

GroundSurface

●

●

●

●

外壁面

WallSurface

●
短辺の実長3m以上

●
短辺の実長1m以上かつ側方からの正射影の面積3m2以上

●
短辺が実長1m以上
又は
側方からの正射影の面積1m2以上

●
全てを対象とする

軒裏

WallSurface

屋根の外周と外壁面との距離3m以上

屋根の外周と外壁面との距離1m以上

屋根の外周と外壁面との距離1m以上

全てを対象とする

建築物部分

BuildingPart

■
一棟の建築物を主題属性の異なる複数の部分に分ける場合に必須とする。

■
一棟の建築物を主題属性の異なる複数の部分に分ける場合に必須とする。

■
一棟の建築物を主題属性の異なる複数の部分に分ける場合に必須とする。

■
一棟の建築物を主題属性の異なる複数の部分に分ける場合に必須とする。

閉鎖面

ClosureSurface

■
BuildingPartを使用する場合

■
BuildingPartを使用する場合

■
BuildingPartを使用する場合

■
BuildingPartを使用する場合

屋外床面

OuterFloorSurface

〇

〇

〇

〇

屋外天井面

OuterCeilingSurface

〇

〇

〇

〇

屋外付属物

バルコニー、屋外階段、スロープ、手すり、エレベータ、エスカレータ、庇、アンテナ、煙突、看板等

BuildingInstallation

●
短辺が実長3m以上
又は短辺が実長1m以上かつ上方又は側方からの正射影の面積3m2以上

●
短辺が実長3m以上
又は短辺が実長1m以上かつ上方又は側方からの正射影の面積3m2以上

●
短辺が実長1m以上
又は上方又は側方からの正射影の面積1m2以上

●
全てを対象とする

扉

Door

●
短辺が実長1m以上

●
短辺が実長1m以上

●
上方又は側方からの正射影の面積1m2以上

●
全てを対象とする

窓

Window

●
短辺が実長1m以上

●
短辺が実長1m以上

●
上方又は側方からの正射影の面積1m2以上

●
全てを対象とする

●

:必須

■

:条件付必須

〇

:任意(ユースケースに応じて要否を決定してよい)

LOD3の建築物も、LOD2と同様に、建築物は、屋根、外壁等を境界として区切られた空間(立体)となる。そのため、建築物の立体を構成する境界面は、屋根、外壁等の境界面となる地物型の空間属性(面)から構成される。また、LOD3では屋根や外壁等の境界面に開口部(窓、扉)を設けることができる。この開口部を境界面の内空として作成する場合、建築物の立体を構成する境界面には、開口部の空間属性(面)も含まれる(図 C-11)。

表 C-20 — 要件 C-13: LOD3立体の境界面参照

ID

/req/bldg/13

主題

妥当な建築物データセットの要件

分類

要件分類 C-1:妥当な建築物オブジェクト作成

条文

bldg:lod3Solidで示される立体は、その境界面として、建築物の境界となる地物型(bldg:_BoundarySurface)の空間属性を外部参照しなければならない。

図 C-11 — LOD3における建築物の空間属性の記述

なお、LOD3では、建築物の軒を表現することができる。軒とは、屋根の一部であり、外壁の線から外に突き出した部分である。通常は建物の外周に沿って連続した形となっている。この軒は、開口部の上部など部分的に取り付けられる庇(ひさし)とは区別する。軒を表現した例を図 C-12に示す。LOD2では屋根の形状は建築物の立体を構成する面であり、軒の表現は行わない。LOD3において屋根の軒を表現する場合には、屋根は厚みをもった面となり、軒を含む全ての境界面が建築物の立体を構成する面となる。

図 C-12 — LOD3における建築物の軒の表現

建築物モデル(LOD0)から建築物モデル(LOD3)の作成手法を図 C-13に示す。LOD2は、航空写真等上空から取得したデータの利用を前提とした区分であり、屋根形状を含む建築物の上面を詳細化する。LOD3は、MMSによる点群や画像等、側面から取得したデータの利用を前提とした区分であり、外壁面や開口部を含む建築物の側面を詳細化する。なお、最も細かいLOD3.3では地上レーザ点群又はBIMデータの活用も想定される。

図 C-13 — 各LODで想定する作成手法