国土交通省 国土交通研究政策所 Policy Research Institute for Land, Infrastructure, Transport and Tourism

サイト内検索 English
 国土交通政策研究所は、国土交通省におけるシンクタンクとして、内部部局による企画・立案機能を支援するとともに、 政策研究の場の提供や研究成果の発信を通じ、国土交通分野における政策形成に幅広く寄与することを使命としています。
  

TOP研究成果調査研究成果報告書(年度別) > 報告書概要

 ● 報告書概要


 事業目的別歳入債券(レベニュー債)の有効活用に関する研究II

 〜我が国への導入に向けた可能性の調査・考察〜

◆要旨

 はじめに、米国と我が国における地方債制度及び市場環境等の違いを明らかにし、我が国へのRB導入の可能性について検討した。我が国では今年度から地方債制度が協議制に移行し、不同意債の発行が可能となるなどの変化が見られるが、地方債導入当初から自治体が自主的に独自の信用力のもと地方債を発行してきた米国とは、発行環境等が大きく異なっている。このため、現状のままでは我が国の地方公共団体におけるレベニューボンド発行のインセンティブは低く、RB導入の可能性は小さいものと考えられる。しかしながら、最近の地方債の市場化・多様化に向けた関係機関の動きや、総務大臣の私的懇談会である「地方分権21世紀ビジョン懇談会」の報告書におけるレベニューボンドに関する記述を勘案すると、発行のインセンティブが今後一気に高まっていく可能性は高いと考えられる。【 → 第2章、第3章】
 次に、上記のような米国との発行環境等の違いを踏まえつつ、米国におけるRBの発行手続の詳細を調査することで、我が国へのレベニューボンド導入に当たっての制度的、人的・能力的な問題等、手続上の問題点を明らかにした。米国では、レベニューボンド保有者への元利償還を確実にするために不可欠な法制度や発行後の詳細かつ継続的な情報開示、発行手続に関するガイドライン等が整備されており、市場関係者間における役割・リスク分担の明確化や各者による債券の評価ノウハウの構築等が図られている。この結果、そうした仕組みが債券の元利保証の有無に関わらず地方債の市場化及び流通市場の活性化に寄与しているとともに、レベニューボンド発行プロセスの中で市場メカニズムの機能が十分に発揮されている。さらに、それらの結果が個人投資家等の売買インセンティブを向上させるといった好循環を生んでいる。これに対し、我が国の地方債市場では、米国ほど地方債商品が多様ではなく流通市場も発達しておらず、また、投資家に対し元利保証のあるものしか取り扱われてこなかった等の背景から、レベニューボンド発行に当たって不可欠な法制度やガイドラインが未整備であり、発行手続上求められる評価や情報開示等に係る経験やノウハウ等が米国と比べ極端に不足している状況である。【 → 第4章、第5章】

 今後、我が国へレベニューボンドを導入していく際には以上のような問題点に留意しつつ、国及び地方公共団体、関係機関等が一体となった法制度及び市場環境等の整備又は改善、特に、投資家(特に個人投資家)の視点に立った情報開示の徹底や流通市場のさらなる整備が重要になるものと考える。




◆キーワード

レベニューボンド、社会資本整備、地方債制度、債券格付、金融保証

◆発行

国土交通政策研究第73号/平成18年10月

◆在庫

在庫有(重量:900g 厚さ:18mm) 報告書を郵送希望の方はこちら

◆詳細

本文及び補論(PDF:36MB)
参考資料1(PDF:20MB)
参考資料2(PDF:11MB)

◆事後評価

内部評価シート(PDF:12KB)
有識者評価シート(PDF:28KB)