- 改正の背景
現在の制度では、船舶所有者が、国土交通大臣の指定する医師による健康検査(これを「健康証明制度」といいます。)の結果により船内における労働に適さないと判定された船員を船舶に乗務させてはならず、この健康検査において、「精神病」にかかっている船員は、その症状の程度にかかわらず不合格となります。他方、健康証明の有効期間中であっても、「精神病」にかかっている船員については、その症状の程度にかかわらず、船舶所有者が船内において労働をさせることができません。
また、疾病や障害に係る用語については、その受け取り方が時代とともに変化していることに伴って、このような疾病や障害を有する者への社会的な偏見を招くおそれがあるものもあります。
このため、障害の程度によっては船員として就労する可能性を開くとともに特定の障害を有する者への社会的偏見をなくすため、精神の機能に着目し、船内における労働を適正に行うことができるか否かという基準によって判断するとともに、船舶乗務のための身体検査基準等を定める船員法において用いられている用語等についての適切化を図る必要があります。
なお、船舶乗務のための身体検査基準等については、「障害者に係る欠格条項の見直しについて」(平成11年8月9日障害者施策推進本部決定)においても障害者に係る欠格条項について見直しを行い、その結果を踏まえて必要な措置を行うこととされております。
- 改正の概要
上記の趣旨を踏まえ、船員法を以下のとおり改正することとします。
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船舶乗務のための身体検査基準等については、精神の機能に着目し、船内における労働を適正に行うことができるか否かを医師が診断することとします。 |
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用語及び表現を適切なものとします。 |
- 改正の効果
本人の能力等(心身の機能を含む)の状況が船内における労働に適するか否かが判断されるべきものとの観点から、精神の機能に着目した船舶乗務のための身体検査基準等に変更することにより、従来、船舶に全く乗務できなかった障害者について、船員として就労する可能性を開きます。
また、船舶乗務のための身体検査基準等における用語及び表現を適切なものにすることにより、船員法における障害や疾病を有する者への社会的偏見をなくします。
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