令和4年11月18日
国連の自動車基準調和世界フォーラム(WP.29*1)は、令和4年11月14日から16日にかけて、スイス・ジュネーブにおいて本会議を開催し、次期(令和5年)の議長及び副議長の選挙を行いました。 その結果、猶野 喬(なおの たかし)自動車局車両基準・国際課安全基準室長を副議長に選出しました。欧州以外の国からの副議長就任は、自動車基準調和世界フォーラムの設立*2後、初となります。 また、今次会合においては、日本が提案し議論をリードした「車両直前直左右確認装置にかかる国際基準」が合意されました。 |
*1 WP.29は、自動車安全・環境基準の国際調和と認証の相互承認を多国間で審議する唯一の場であり、日本も積極的に参画
*2 1952年に国連の会議体(国連欧州経済委員会(UNECE)車両構造作業部会)が設立され、その後UNECEメンバー国以外も参加可能となり、自動車基準調和世界フォーラム(WP.29)として設立。
[1] WP.29副議長に日本が選出
我が国は、1998年に欧州以外の国として初めて1958年協定
*3に加入し、国連WP.29における国際基準の策定・改正作業に積極的に参画しており、WP.29傘下の分科会や専門家会議において、議長や副議長を務めるとともに、自動運転車や電動車にかかる国際基準案を提案し国際基準策定等の議論をリードしてきました。今後、これまで以上に国際的な議論をリードしていくため、今般、WP.29の次期副議長として日本が立候補をし、米国、EU諸国、韓国等のサポートを得て副議長として選出されました。
国土交通省としては、積極的にプレゼンスを発揮しながら、自動車基準の国際調和をさらに推進して参ります。
*3 1958 年に締結された自動車基準・認証の国際調和・相互承認を目的とした多国間協定

WP.29副議長に選出された猶野安全基準室長 WP.29本会議の様子
[2] 車両直前直左右確認装置の国際基準が合意
近年、SUV車のような車高の高い乗用車が世界的にも人気となるなか、いわゆるセダンタイプのような乗用車よりも車高の高い車両においては、車両の直前等の近傍の死角に幼児等がいることに気づかず発進してしまうといった悲惨な事故のリスクが高まることが懸念されます。我が国は、こういった悲惨な事故を防止するため、歩行者等の交通弱者に対する車両安全対策を講じてきており、今般、車両発進時の車両近傍の安全確保を目的として、日本が議論をリードした「車両直前直左右確認装置」にかかる国際基準が合意されました。本国際基準の策定にあたっては、交通安全環境研究所 松井靖浩 主席研究員が国連WP.29の専門家会議の議長を務めました。
本国際基準は、近年技術革新著しいカメラやソナーの先進検知技術の活用も念頭に置いており、本国際基準の導入により、駐車場等での発進時に運転者が車両周辺の幼児等の存在をより認識しやすくなることが期待されます。
【参考資料】
(別添1)自動車基準調和世界フォーラム(WP.29)、1958年協定及び1998年協定の概要
(別添2)直前直左右確認装置の国際基準概要