7月1日(現地時間同日)、我が国政府は、「二千一年の燃料油による汚染損害についての民事責任に関する国際条約(バンカー条約)」
及び「二千七年の難破物の除去に関するナイロビ国際条約(ナイロビ条約)」への加入書をロンドンの国際海事機関(IMO)本部に寄託しました。
1).背景
船舶から流出等した燃料油による汚染損害や、海難により生じた座礁船舶等の難破物の除去に要した費用に係る損害については、
我が国において一定の船舶に対して保障契約の締結を義務付けることにより、被害者保護を図ってきました。
一方で近年、保障契約が締結されているにもかかわらず、保険金が支払われず、被害者への賠償もなされない事案が発生していることを受け、
これらの被害者保護に資するバンカー条約及びナイロビ条約を国内法制化した「船舶油濁損害賠償保障法の一部を改正する法律(令和元年法律第18号)」が
昨年5月31日に公布され、今般、関係政省令の整備が完了したため、両条約への加入が実現したものです。
2).我が国が加入する意義
バンカー条約は、船舶からの燃料油の流出又は排出による汚染損害に関し適正で迅速かつ効果的な賠償の支払を確保するための措置であり、
ナイロビ条約は、難破物の迅速かつ効果的な除去及びこれに関係する費用の支払いを確保するための措置です。
世界有数の海運国である我が国がこれらの条約に加入することにより、被害者から保険会社に対し直接支払いを請求できるようになるなど、
一層の被害者保護が図られるとともに、航行の安全及び海洋環境の保全に寄与することとなります。
3).今後の予定
これらの条約は既に発効済みであるため、我が国においては、IMOに加入書を寄託した日の3か月後に当たる10月1日から効力が生じることとなります。
改正油賠法については
こちら