海岸

1. 高潮はどうして起こるの?

1-1 高潮とは

  台風など強い低気圧が来襲すると、波が高くなると同時に海面の水位も上昇します。これを高潮といいます。高潮も波の一種ですが、周期が数時間と非常に長いため、波というよりむしろ海の水位が全体的に上昇する現象となります。海水のボリュームがけた違いに大きいため、一旦浸水が始まると、低地には浸水被害が一気に広がることになります。

図 高潮により浸水した高松市街(平成16年)
高潮により沿岸部一帯が浸水した高松市街(平成16年)

1-2 高潮発生のメカニズム

 高潮の発達には主に二つのメカニズムがあります。一つは大気圧の低下に伴い、海面が吸い上げられるように上昇する「吸い上げ」と呼ばれる現象です。大気圧が1hPa低下すると海面は約1cm上昇します。平常時の大気圧は1,013hPa程度であるため、台風の中心気圧が910hPa程度になると、台風の中心では海面が約1m上昇することになります。

 二つ目のメカニズムは、湾口から湾奥に向けて強風が吹き続けることにより、湾の奥に海水が吹き寄せられて海水面が上昇する「吹き寄せ」です。この「吹き寄せ」による海水面の上昇は、風速が速いほど、湾の長さが長いほど、湾の水深が浅いほど大きくなります。北半球では、台風など熱帯性低気圧の常襲地帯で、南に開いた長い湾、しかも湾内の水深が浅い場合には、高潮の水位上昇量が大きくなります。

 二つのメカニズムに加え、砕波する場所より岸側においては、「ウェーブセットアップ」という砕波による海水面の上昇が加わります。

 

図 気圧低下による吸い上げ効果のイメージ
気圧低下による吸い上げ効果のイメージ

図 風による吹き寄せ効果のイメージ
風による吹き寄せ効果のイメージ

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