津波の被害としては、浸水による溺死や、家屋の破損・流出、船舶の損傷・衝突、津波被災後の火災など、さまざまな被害が発生します。
●考えられる津波被害の例
対象 | 被害形態 | 原因 |
---|---|---|
人的被害 | 溺死、怪我、病気等 | 無防備、避難遅れ |
家屋被害 | 流出、破壊、浸水、家具等 | 波力、漂流物衝突 |
防災構造物被害 | 破壊、倒壊、変位 | 洗掘 |
防災構造物被害 | 鉄道、道路、橋、港湾の機能障害 | 施設破損、漂流、堆積物 |
ライフライン被害 | 水道、電力、通信、下水道機能障害 | 施設破損、浸水 |
水産業被害 | 養殖筏、漁船、漁網流出・破壊 | 波力、漂流物衝突 |
商工業被害 | 製品や商品価値の損失 | 浸水、破損 |
農業被害 | 作物被害、農地・用水路埋没 | 海水浸水、流入堆土砂 |
森林被害 | 幹折れ等の破損、塩害 | 波力、海水 |
火事 | 家屋、漁船、石油タンク等の出火 | 漂流物衝突、漏電 |
石油流出 | 石油タンク等の破損、環境汚染 | 漂流物衝突 |
地形変化 | 河川や港の堆砂、砂浜変形 | 波力、土砂移動 |
発電所 | 建物・施設の破壊、取水・放水の困難 | 波力、水位低下 |
過去の津波記録や津波予測により、日本列島における危険な地域としては、三陸海岸、東海・東南海・南海沿岸、日本海東部沿岸などがあげられます。中央防災会議では今後起こるであろう海底地震の規模とその切迫度について、調査会等で想定を行っています。
【出典】
地震調査研究推進本部 海溝型地震の長期評価を基に国土交通省が作成(2015.2.9時点)
※最新の情報は文部科学省 地震調査研究推進本部HP内 長期評価をご参照ください。
南海トラフ巨大地震の被害想定等の公表を受け、特に人命を守る観点から、その最大の課題である津波避難対策をはじめハード・ソフト両面からの総合的な地震防災対策の推進を図るため、議員立法により平成25年11月、「東南海・南海地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法」の改正がなされ、「南海トラフ地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法」と名称を変えました。平成26年3月に同法第3条基づき、1都2府26県707市町村を南海トラフ及び地震防災対策推進地域として指定されました。同推進地域においては、国・地方公共団体・民間事業者等が各種計画を策定し、それぞれの立場から地震防災対策を推進することとなっています。
「南海トラフ地震防災対策推進地域」及び 「南海トラフ地震津波避難対策特別強化地域」の
指定基準について(出典:内閣府防災HP)
図 海岸の津波高さグラフ(満潮時)(1)ケース
④「四国沖」に「大すべり域+超大すべり域」を設定、堤防条件:津波が堤防等を越流すると破堤する
図 海岸の津波高さグラフ(満潮時)(2)
ケース④「四国沖」に「大すべり域+超大すべり域」を設定、堤防条件:津波が堤防等を越流すると破堤する
「南海トラフ地震防災対策推進地域」及び 「南海トラフ地震津波避難対策特別強化地域」の指定基準について(出典:内閣府防災HP)
図 海岸の津波高さグラフ(満潮時)(3)
ケース④「四国沖」に「大すべり域+超大すべり域」を設定、堤防条件:津波が堤防等を越流すると破堤する
「南海トラフの巨大地震モデル検討会(第二次報告)」より(出典:内閣府防災HP)
津波の集中
また、V字谷・U字谷・湾部などの地形では津波の集中が起こり、波高が大きくなる傾向があります。したがって、上に示した津波の高さ最大値分布図に示す最大値より大きな津波が起こることもあります。