環境

令和7年度全国多自然川づくり会議 開催記録

  • 日時:令和8年2月3日(火)
  • 会場:オンライン開催
  • 参加者:約180名(国、都道府県、政令市の河川担当者)
  • プログラム:PDF

全国多自然川づくり会議は、多自然川づくりに対する知見の蓄や意識の向上を目的とし、国土交通省主催で、平成15年頃から国・都道府県・政令市の河川担当者を対象として毎年開催しています。
令和7年度の全国多自然川づくり会議は、当初、令和7年12月9日(火)、10日(水)に開催予定でしたが、12月8日(月)に発生した地震を受け延期となりました。
その後、発表予定だった28事例の中から、有識者が「全国で共有すべき優良事例」として各分科会1事例(計4事例)を選出し、令和8年2月3日(火)にオンライン方式にて発表頂きました。

目次

1.地方ブロック会議概要
2.分科会選出事例
第1分科会:河川改修等(河道掘削等)における工夫事例
第2分科会:環境整備事業等を活用した工夫事例 (魅力あるにぎわい空間の創出を含む)
第3分科会:河川改修等(災害復旧等)における 工夫事例
第4分科会:河川の維持管理・更新、人材育成等における工夫事例(外来種対策を含む)
3.基調講演
定量的環境目標と多自然川づくり:北海道大学 名誉教授 中村 太士
4.代表事例発表

1.地方ブロック会議概要

【令和7年度】 計112事例
【令和6年度】 計100事例
【令和5年度】 計101事例
【令和4年度】 計97事例
【令和3年度】 計96事例
【令和2年度】 計83事例
【令和元年度】 計105事例
【平成30年度】 計109事例

2.分科会選出事例

9つの地方ブロック会議(計112事例)を経て、28事例が選出されました。



第1分科会:河川改修等(河道掘削等)における工夫事例

第1分科会 選出事例一覧 選出事例一覧  各コメンテータからのコメント
 コメンテータ:岐阜大学 教授 原田 守啓
国土技術政策総合研究所 河川研究室 主任研究官 松井 大生
水管理・国土保全局 治水課課長補佐 中村 洋祐
水管理・国土保全局 河川環境課河川環境調整官 藤本 雄介
(1)網走川における川の営力を活かした川づくり
北海道 オホーツク総合振興局 網走建設管理部事業課  阿戸 理樹
事例概要  発表資料
主な関係者:
(地域の関係団体)網⾛川流域多⾃然川づくりに関する検討会
(2)江戸川 玉葉橋付近の河道掘削について~江戸川内の自然遷移と人為的改変~
関東地方整備局 江戸川河川事務所  松本 在
事例概要  発表資料
主な関係者:
 国⼟交通省江⼾川河川事務所
 地域)江⼾川河川 環境保全モニター ⽥中⽒
 埼⽟県⽣態系保護協会
 調査関係者(株)建設環境研究所
(3)希少魚類ミミズハゼ類の保全を目的とした工事施工時における工夫事例
中部地方整備局 静岡河川事務所  熊切 恭子
事例概要  発表資料
主な関係者:
(関係団体)安倍川⼤井川希少⿂類保全対策連絡会
(調査設計関係者)㈱環境アセスメントセンタ-
(⼯事関係者)静岡建設業協会の受注業者
(4)千曲川中流域における自然再生事業とモニタリング計画の検討
北陸地方整備局 千曲川河川事務所  木村 将海
事例概要  発表資料
主な関係者:
(学識者・有識者)千曲川中流域砂礫河原保全再⽣検討会
(調査設計関係者)パシフィックコンサルタンツ株式会社
(5)豊川流域におけるネコギギ保全のための環境改善および地域保全の取り組み:代表事例
中部地方整備局 設楽ダム工事事務所  磯部 真悟
事例概要  発表資料
主な関係者:
(調査設計関係者)⼀般財団法⼈⽔源地環境センター、株式会社建設環境研究所、いであ株式会社
(⼯事関係者)有限会社芦沢建設
(6)一級河川日野川水系野上川での河川整備における工夫
鳥取県 西部総合事務所 米子県土整備局  杉本 紗季
事例概要  発表資料
主な関係者:
(有識者) 国⽴⼤学法⼈島根⼤学 元教授 松野⽒
(地域の関係団体) ⿃取県教育委員会、伯耆町教育委員会
(調査設計関係者) サンイン技術コンサルタント株式会社(現 株式会社エスジーズ)
(⼯事関係者) 有限会社やまね、有限会社中島⼯業、株式会社⾚松産業、他
(7)物部川における段階的な高水敷整備について
四国地方整備局 高知河川国道事務所  森本 敬光
事例概要  発表資料
主な関係者:
(地域の関係団体) 物部川漁協
(アドバイサー・コンサルタント)近⾃然河川研究所
(⼯事関係者)ミタニ建設⼯業株式会社

第2分科会:環境整備事業等を活用した工夫事例(魅力あるにぎわい空間の創出を含む)

第2分科会 選出事例一覧 選出事例一覧  各コメンテータからのコメント
 コメンテータ:金沢大学 講師 坂本 貴啓
土木研究所 流域生態チーム 上席研究員 田中 孝幸
土木研究所 自然共生研究センター 主任研究員 宮川 幸雄
水管理・国土保全局 河川環境課 企画専門官 鶴田 舞
(1)水辺環境と地域の共生に向けて~美々川・ウトナイ湖~
北海道 室蘭建設管理部苫小牧出張所  木内 笙
事例概要 発表資料
主な関係者:
(地域の関係団体)美々川自然再生技術検討懇談会
(2)岩木川魚のすみかの再生と保全:代表事例
東北地方整備局 青森河川国道事務所  外崎 真
事例概要 発表資料
主な関係者:
(助言、指導)岩木川魚がすみやすい川づくり検討委員会
(3)神通川自然再生事業における環境DNA調査について
北陸地方整備局 富山河川国道事務所  石﨑 直
事例概要 発表資料
主な関係者:
(地域の関係団体)富山漁業協同組合
         NPO法人神通川を楽しむ会
         富山県水産研究所
(調査設計関係者)株式会社 建設環境研究所
         株式会社 建設技術研究所
(4)淀川汽水域における干潟再生の取組について
近畿地方整備局 淀川河川事務所  外濱 鮎美
事例概要 発表資料
主な関係者:
(調査設計関係者)八千代エンジニヤリング株式会社
(5)神代川河川再生事業について
宮崎県 西臼杵支庁  永吉 紫花
事例概要 発表資料
主な関係者:
(共同研究者)宮崎大学名誉教授 杉尾 哲教授
       NPO法人大淀川流域ネットワーク
(設計関係者)株式会社東京建設コンサルタント
(工事関係者)株式会社竹尾組
(調査関係者)株式会社東京建設コンサルタント
(6)藤塚地区かわまちづくりにおける新たな河川環境の創出について
東北地方整備局 仙台河川国道事務所  遠藤 汐梨
事例概要 発表資料
主な関係者:
(関係団体)    藤塚地区かわまちづくり協議会
(調査設計関係者) 株式会社東京建設コンサルタント
(工事関係者)   千田建設株式会社
(6)肱川かわまちづくりについて
四国地方整備局 大洲河川国道事務所  秋田 祥太郎
事例概要 発表資料
主な関係者:
(アドバイザー) 愛媛大学 羽鳥剛史教授
         愛媛大学 白柳洋俊准教授
(調査設計関係者)株式会社四電技術コンサルタント
         株式会社上條・福島都市設計事務所
(工事関係者)  石岡建設株式会社

第3分科会:河川改修等(災害復旧等)における 工夫事例

第3分科会 選出事例一覧 選出事例一覧  各コメンテータからのコメント
 コメンテータ:土木研究所 流域水環境研究グループ グループ長 中村 圭吾
土木研究所 自然共生研究センター センター長 森 照貴
水管理・国土保全局 防災課 災害査定官 牧之内 洋一
水管理・国土保全局 河川環境課 河川環境評価分析官 吉田 邦伸
(1)荒瀬川の改良復旧における工夫について
山形県 県土整備部  井上 大志
事例概要 発表資料
主な関係者:
(調査設計関係者)株式会社建設技術研究所 東北支社
(2)自然環境に配慮した改良復旧事業の取組について
山口県 土木建築部河川課  山崎 雅文
事例概要 発表資料
主な関係者:
なし
(3)桂川の環境復元に向けた取り組み~タナゴ類・二枚貝類に配慮した川づくり~:代表事例
福岡県 朝倉県土整備事務所  松延 康貴
事例概要 発表資料
主な関係者:
(協力学識者) 九州大学大学院農学研究院 鬼倉徳雄教授
        九州大学大学院工学研究院 林博徳准教授
        福岡県保健環境研究所   中島淳専門研究院
(調査設計関係者) 一般財団法人 九州環境管理協会
(工事関係者) 南筑土建(株)他  
(4)高崎川における多自然川づくりの工夫について
宮崎県 都城土木事務所  満木 寿成
事例概要 発表資料
主な関係者:
(設計関係者)株式会社共同技術コンサルタント
(工事関係者)株式会社福永建設
(調査関係者)宮崎県都城保健所
       宮崎県水産試験所内水面支場
       都城市環境政策課
(5)鳥屋野潟の豊かな自然環境を保全した湖岸堤整備の実施
新潟県 新潟地域振興局地域整備部  太田 睦基
事例概要 発表資料
主な関係者:
(地域の関係団体)澄み切った豊かな鳥屋野潟への整備促進協議会
(調査設計関係者)パシフィックコンサルタンツ株式会社
         エヌシーイー株式会社
         株式会社開発技術コンサルタント
(工事関係者)株式会社本間組 
(6)オジロワシに配慮した人工代替巣設置の取組とその効果に関する検証
北海道開発局 岩見沢河川事務所  武田 千花
事例概要 発表資料
主な関係者:
(調査関係者)株式会社構研エンジニアリング
(地域の関係団体等)道央鳥類調査グループとりさーち
(工事関係者)北村遊水地事業連絡協議会・岩見沢河川
       事務所運搬協議会のうち25 社
(7)正法寺川流域水管理行動計画について
徳島県 県土整備部 河川政策課  石田 達憲
事例概要 発表資料
主な関係者:
(共同研究者) 徳島大学環境防災研究センター 上月教授
(地域の関係団体) 正法寺を考える会
(調査設計関係者) 株式会社フジタ建設コンサルタント

第4分科会:河川の維持管理・更新、人材育成等における工夫事例(外来種対策を含む)

第4分科会 選出事例一覧 選出事例一覧  各コメンテータからのコメント
 コメンテータ:熊本大学 教授 皆川 朋子
土木研究所 流域生態チーム 研究員 槐 ちがや
水管理・国土保全局 河川環境課 保全企画室 課長補佐 高橋 伸次
水管理・国土保全局 治水課 課長補佐 椎木 貴敏
水管理・国土保全局 河川環境課 企画専門官 前田 裕太
(1)荒川知水資料館(amoa)を活用した学習支援の取組について
関東地方整備局 荒川下流河川事務所  澤村 実佳
事例概要 発表資料
主な関係者:
(荒川知水資料館 共同運営者) 東京都北区
(学習支援 関係者) 公益財団法人 日本生態系協会
(地域の関係団体) 北区水辺の会、北区水辺クラブ
(2)持続可能な多自然川づくりに向けた人づくりの取組み:代表事例
岐阜県 県土整備部河川課  河村 一輝
事例概要 発表資料
主な関係者:
(研究者)岐阜大学 環境社会共生体研究センター 原田 守啓 教授
(調査設計関係者)株式会社テイコク
(工事関係者)岐阜北建設株式会社
(石田川ベストリバー推進グループメンバー)石田川地域住民、岐阜市
(3)紫川水系における豊かな川づくり~誰でもできる多自然川づくりを目指して~
福岡県 北九州県土整備事務所  河野 玄貴
事例概要 発表資料
主な関係者:
(協力学識者) 九州大学大学院農学研究院 鬼倉徳雄教授
        九州大学大学院工学研究院 林博徳准教授
        福岡県保健環境研究所   中島淳専門研究院
(調査設計関係者) 一般財団法人 九州環境管理協会
(工事関係者) 和田建設(株)、ビルテクノ(株)他  
(4)鳥獣被害対策のための河川内伐木について
群馬県 県土整備部 河川課  長澤 くるみ
事例概要 発表資料
主な関係者:
(関係部局)群馬県農政部、群馬県鳥獣被害対策センター
(5)貯留機能保全区域における環境整備
近畿地方整備局 大和川河川事務所  後藤 彦幸
事例概要 発表資料
主な関係者:
(地域の関係団体)
  田原本町 西代支部(農家組合)
  奈良県 県土マネジメント部 河川整備課
  田原本町 産業建設部 まちづくり建設課
(調査設計関係者) 
  株式会社 建設環境研究所
(6)気候変動に伴う琵琶湖水位等への影響に関する一考察
独立行政法人水資源機構 琵琶湖総合管理所  山下 祥平
事例概要 発表資料
主な関係者:なし
(7)宍道湖西岸におけるナガエツルノゲイトウの対策状況報告
中国地方整備局 出雲河川事務所  田邊 笙
事例概要 発表資料
主な関係者:なし

3.基調講演

定量的環境目標と多自然川づくり

北海道大学 名誉教授 中村 太士 講演資料


「定量的環境目標と多自然川づくり」と題して北海道大学の中村名誉教授よりご講演いただきました。

ご講演では、ネイチャーポジティブの実現に向け、これまで定性的になりがちだった環境目標を、生物の生息・生育・繁殖の場の量として定量的に設定し、生物種や個体数と結びつけて説明することの重要性が示されました。その際、河川水辺の国勢調査や河川環境管理シート等の蓄積データを統計的に解析することで、合意形成に資する客観的な予測・評価が可能になることが解説されました。また、流域治水の中で期待される「生態系ネットワーク」については、単なる生物の移動経路の確保に留まらず、水・土砂・流木といった物質の循環を動的に維持する「連結性」の視点が不可欠であることが強調されました。あわせて、自然環境の多様な機能を活かす「グリーンインフラ」の考え方を普及させ、機能に応じた適切な流域の配置等を通じて、生態系ネットワーク形成や流域治水へ貢献すべきとの方向性が示されました 。さらに、災害後の流木や地形を「攪乱遺産(レガシー)」として捉え、過度な改変や除去を避けて現場に残すことが、生態系の迅速な回復に大きく寄与することを、国内外の事例とともにご紹介いただきました。

4.代表事例発表

選出された代表事例

第1分科会

『豊川流域におけるネコギギ保全のための環境改善および地域保全の取り組み』
 中部地方整備局 設楽ダム工事事務所  磯部 真悟

主な関係者:(調査・計画業務関係者)一般財団法人水源地環境センター
株式会社建設環境研究所
いであ株式会社
(工事関係者)有限会社芦沢建設

事例概要  発表資料

選出理由

  • 希少種ネコギギの生態を丁寧に把握し、基礎研究の知見を瀬淵・河床環境スケールでの生息場形成技術へと昇華させた、息の長い総合的な取り組みが評価できる。ダムアセス関係者と自然共生研究センターが総力戦で挑んでいる点や地域への普及啓発活動も素晴らしい。

第2分科会

『岩木川魚のすみかの再生と保全』
 東北地方整備局 青森河川国道事務所  外崎 真

主な関係者:(助⾔、指導)岩⽊川⿂がすみやすい川づくり検討委員会

事例概要  発表資料

選出理由

  • セグメント別に水系全体の物理環境を把握し、その希少性に基づいて再生箇所を決定したプロセスが極めて高く評価できる。河川全体の自然の営みを視野に入れた具体的な実践例であり、物理環境の経年変化と魚類の個体数変化を丁寧に分析した成果は、全国の河川再生における標準的なフローとなり得る好例である 。

第3分科会

『桂川の環境復元に向けた取り組み~タナゴ類・二枚貝類に配慮した川づくり~』
 福岡県 朝倉県土整備事務所  松延 康貴

主な関係者:(協⼒学識者)九州⼤学⼤学院農学研究院 ⻤倉 徳雄教授
九州⼤学⼤学院⼯学研究院 林 博徳准教授
福岡県保健環境研究所 中島 淳専⾨研究院
(調査設計関係者)⼀般財団法⼈ 九州環境管理協会 他
(⼯事関係者)南筑⼟建(株)他

事例概要  発表資料

選出理由

  • タナゴ類の保全を軸に、地元大学やアドバイザーと密に連携し、災害復旧という制約の中で以前より環境を改善させた「ネイチャーポジティブ」の好事例である。ワンド等の生息場づくりにおける細やかな施工の工夫に加え、大学との連携により効果を科学的に示したプロセスは、全国の模範となる「ザ・多自然川づくり」として高く評価できる。

第4分科会

『持続可能な多自然川づくりに向けた人づくりの取組み』
 岐阜県 県土整備部 河川課  河村 一輝

主な関係者:(研究者)岐⾩⼤学 環境社会共⽣体研究センター 原⽥ 守啓 教授
(調査設計関係者)株式会社テイコク
(⼯事関係者)岐⾩北建設株式会社
(⽯⽥川ベストリバー推進グループメンバー)⽯⽥川地域住⺠
岐⾩市

事例概要  発表資料

選出理由

  • 「自然の水辺復活プロジェクト」として、自然共生工法の開発・評価、人づくり等を一体的に進める先駆的な仕組みが高く評価できる。河川課のみならず、道路課の職員、学生、住民など多種多様な方々が参加する川づくり勉強会の取り組みは、新たな共創と連携を生むモデルとして全国への波及が期待される。

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