Q. 豪雨のとき、川はどうなりますか?
普段からは想像がつかないようなところまで、水位があがってきます。2007年9月、私は多摩川の管理に関わっていましたが、
台風9号による大雨で水位がものすごくあがり、とても緊張しました。たとえば、二子玉川というところでは、一部に高い堤防がないところがあり、川の水がそこを越えそうになったので、関係機関が共同して川辺の道路沿いに土のうを120mにわたって積みました。ピーク時には、土のうの1段目まで水がきたのです(写真)。
その後、ここには堤防が作られ、現在では安全に暮らすことができます。もし、たくさん雨が降って川の水が増え、堤防を越えるような洪水になると大変なことになります。
どれだけ大変かというと、例えば人口が密集している首都圏(しゅとけん)で、利根川の堤防が埼玉県のとあるところで切れてしまった場合、どんどん下流に洪水が押し寄せて、約530km四方にわたって、約230万人の人が被災し、避難する人がいなければ、約2600人が死亡する大災害になるという想定があります。
※出典:大規模水害対策に関する専門調査会報告(中央防災会議)
台風の大型化やゲリラ豪雨がたくさん発生する傾向もありますが、一方で、緑におおわれていたところに道路や建物ができることで、水が地中にしみこまなくなって、降った雨が川にたくさん流れ込んでくるようにもなっています。鶴見川(つるみがわ)という川では、流域の都市開発(としかいはつ)が進んで、1990年の川の最大流量(ピーク流量)は、1958年と比べると2倍以上にもなっています。雨がふってから川があふれるまでの時間もとても短くなってきているので、注意が必要ですね。