vol.6.....カワボウをカイボウする!

雨の動きを知り、日々を安全に、快適に

  
洪水予報
インタビュー:星野夕陽さん
データを見て、発信して、行動して楽しむ

        
          
小さい人間が巨大な建造物を作る・・・ この感動から出発し、仲間との交流やイベント参加を通じて、ダムの操作や河川防災への興味が高まっていったという星野さん。それらの情報を把握・理解するため、自室は「監視センター」と化しています(上写真)。豪雨が予想されれば即監視モードに突入!
関連ニュースのチェックも欠かさず(タイトルベースで1日1000件!)、ブログやSNSで発信を続けています。今や、マニアとしてテレビにも出演する星野さんに、情報の見方や楽しみ方を教わってきました。



気象・水位・ダム操作など
頭の中で情報を統合


Q.たくさんのモニタで、何を見ているのですか?
特に大雨になりそうな時、気象庁の天気図、XRAINなどレーダ雨量、川の防災情報でダムの放流量や川の水位、それからダムがどれくらい放流しているかとか、そのための操作の情報も見ています。あと、NHKホームページの「社会」のコーナーで災害情報を確認したり、もちろんテレビでもニュースを確認していますし、各都道府県からの防災メールも受信しているので、同時にたくさんの情報が入ってきます。また、川の防災情報の更新は10分単位なので、ちょっとうっかりしていると、どこかの水位があがっています。それらの情報を頭の中で統合していって、次にどう動いていくかを予測しながら見ています。


星野さん
星野夕陽さん(ダム愛好家・写真家)
日本ダム協会認定ダムマイスター。フォトグラファー。防災インフラ、構造物、お酒などなど多様な切り口でダムや河川施設、地域を楽しんでいる。twitterやホームページから活動情報を発信。その模様はこちらから >



なぜそうしたのか?
理由を探り、発信する


Q.はっきり言って、面白いんですか?
ダムはその地域の地形や河川の規模などに応じて形や大きさが異なり、操作の仕方も違います。ただ、ダムの操作には一定のルールがあって、パターンは4つくらいに決まっています。普段と違う操作をしたら、何か必ず理由があるはずです。そこで、雨量やダムへの流入量、放流量や下流側の川の水位をよく見ていくと、その理由が見えてきます。こういった、なぜ?がわかってくるととても面白く感じます。さらにSNSなどで理由を解説していくと、たくさんの反応があってますます面白くなっていくのです。
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累積の雨量に注目し、
水の動きを追う


Q.情報を見る時の注意点を教えてください
精度が高く、アプリもいろいろ出ているので、XバンドMPレーダの雨量情報を良くみています。ただ、本当にその情報が正しいかは分かりません。特にXバンドの場合、集中的に雨が降っている後ろ側(レーダの出ている反対側)まで、 レーダが届いていない可能性もあるので、精度は落ちますが、より広域的に見ることができるCバンドレーダの雨量情報もあわせて見ています。 1つの情報に依存しすぎないようにしています。

Q.具体的に注目している情報は何ですか?
カワボウのダム情報に、「流域平均時間雨量」という欄があります。カワボウに表示される、テレメータ雨量は、 観測所1地点の情報ですが、流域平均時間雨量というのは、そのダムが受け持っている流域に降った1時間の雨量になるので、 面の情報として捉えることができます。流域の面積は公表されているので、実際にどのくらいのボリュームの雨がふったかが分かります。 それが、ダムの流入量となって反映されてくるので、データで水の動きを追っていけるわけです。

Q.雨量の見方に注意が必要なんですね?
私は、流域平均時間雨量が15mmくらいになると、何かあるかもしれないと気にするようになります。 20mmを超えるのであれば、しばらくの監視対象にします。 「雨量×面積×時間」で考えていくと、すごい水の量になるわけです。こういう積算値が重要で、特定地点の雨量情報でも、 雨が降り始めてから合計でどの程度降ったか、「累加雨量」を見ていくことも大切です。 累加雨量が少ないときは、山に雨水がしみ込むので、ダムに流入するまで時間がかかりますが、100-200mm降った後ではそれが短くなります。 梅雨時のように、すでにしみ込む雨が飽和しているようなときも、すぐダムに流入してきます。こういった水の流れを迫るようになると、 ダムが実は水を溜めながら、同時に必要な分を流していることなど、正しい理解が得れるようになると思います。


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地図が使いやすい
アプリがオススメ


Q.天気や防災関係のアプリがいろいろあるようです。おすすめはありますか?
XバンドMPレーダの雨量情報は日々の生活でもとても役に立ちます。XRAINや気象庁のナウキャストのようなウェブサイトもありますが、 アプリもいろいろと出ていて、バージョンアップも早くて便利です。 やはり「地図」がポイントで、「どこ」を認識するには道路が重要だと思うのですが、そういう地理情報が見やすい地図の上にXバンドレーダの 雨量情報が表示されるものが使いやすいですね(例:右写真)。5分単位で雨の動きの予想が見られるものもあります。 あと、プッシュ通知といって、重要な情報をメールのような形でお知らせしてくれるタイプのものはなお便利ですね。

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自分の生活・行動に役立てる
        
Q.情報のみかた・楽しみ方についてアドバイスを!
川あそび、キャンプ、釣りなど、水辺のレジャーを楽しむ人は、こういった観測情報が見られるようになるとすごくいいと思います。 普段よく見ていると、水位があがりやすい場所が分かることもあります。雲(天気図)・雨量・雨の動き(XRAINやアプリ)・累加雨量、 流域平均雨量、川の水位をベースとして、これらの情報を統合的にとらえるクセをつければ、リスク管理、自分の身を守ることができる可能性が 大きく広がります。そのためのデータはたくさんあって、やる気があれば情報は集められます。自分の「観測情報統合レシピ」を作って、 楽しみながらモニタしてみて下さい。
          
          


大雨vs防災インフラの"国土防衛戦"
        
大雨の時は、ダムや堤防といった防災インフラが活躍しているのですけれども、カワボウは、それらが活躍している姿を実際の数字で 見ることができるところです。大雨vs防災インフラを「国土防衛戦」と言っているのですけれども、それを観戦できる所なんですね。 読み方、見方が分かってくると、その国土防衛戦をまじまじと、リアルタイムに見ることができるのでとても面白いと思います。 地域の食べ物やお酒、服やグッズ(写真:ダムクッション)など、楽しめることはたくさんあります。そういうことを良く知っている人と 出会えると、世界が広がりますよ!!

  
ダムクッション
河川監視でお忙しい中、ありがとうございました。

        
        
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