平成12年度 河川局関係事業における事業評価について

I. 新規事業採択時評価について



4.評価の考え方及び評価結果
(4)海岸事業



1)海岸事業に関する評価の考え方

新規事業採択に当たっての前提条件(p2参照)を満たす事業について、優先度の評価を行う。

※優先度の評価
 「当該地域に対する影響」などの再評価項目毎に、A(最優先)、a(優先)、b(考 慮)のランク評価を行う。次に、「災害発生時の影響」などの大評価項目の中の細評価項目のうち、一番評価結果が良いものを当該大評価項目の評価結果とする。
 この評価結果を用いて、総合評価は以下の考え方で実施する。

「最優先海岸」: 大評価項目単位でAランクが2つ以上若しくはAランクが1つでaランクが2つ以上の海岸。
「優先海岸」 : 大評価項目単位でAランクが1つ、またはaランクが2つ以上若しくはaランクが1つとbランクが2つ以上の海岸。
「一般海岸」 : 上記に該当しない海岸。

「最優先海岸」「優先海岸」「一般海岸」の順に採択の優先度が高くなっている。


i) 高潮対策事業の優先度に係る評価の考え方

各評価項目毎のランクの考え方は以下による。

[1]災害発生時の影響(想定浸水区域内について)
【当該地域に対する影響】(原則として、市町村の大字、字単位)
 A:地域の存続に関わる影響がある。(当該地域自身への影響)
【1】 浸水戸数が地域全体の戸数の95%以上
【2】 地域にとって生命線となる公共・公益施設(唯一の生活道路、ライフライン、官公署(市町村レベル)等)の存在
【3】 地域の基幹産業施設の存在(例えば、○○企業の城下町となっている工場、○○温泉街等)

 a:地域にとって重大な影響がある。(当該地域自身への影響)

【1】 浸水戸数が全体の戸数の90%以上
【2】 農地浸水面積が地域全体の農地面積の50%以上
【3】 重要な公共・公益施設(官公署等)の存在:代替機能がある
【4】 災害弱者関連施設(病院、老人ホーム、身障者施設等)の存在
【広域的な影響】(広域:国、県レベルでの影響)
 A:広域的な影響がある。(隣接地域、関連地域への影響)
【1】 特に重要かつ広域的な公共・公益施設(高速道路、幹線鉄道、空港等)の存在
 a:広域的な影響がある。(隣接地域、関連地域への影響)
【1】 広域的な公共・公益施設(直轄国道、広域的なライフライン、鉄道、空港、官公署(国(ブロック機関)、県庁)等)の存在

[2]過去の災害実績
【激甚災害の発生の有無】
 A:過去、高潮・津波により、激甚な災害が発生。
【1】 死者・行方不明者が地域の人口の10%以上もしくは浸水戸数が地域全体の戸数の90%以上
【過去10年間の災害実績】(過去10年間の災害被害を対象として)

 A:重大な災害の発生

【1】 死者・行方不明者が発生
【2】 浸水戸数が地域全体の戸数の50%以上
【3】 農地浸水面積が地域全体の農地面積の50%以上
【4】 重要な公共・公益施設(唯一の生活道路、ライフライン、官公署(市町村レベル)等)の被災
【5】 災害弱者関連施設(病院、老人ホーム、身障者施設等)の被災
【6】 地域の基幹産業施設の被災(例えば、○○企業の城下町となっている工場、○○温泉街等)
【7】 施設災害が頻発(5回以上)
 a:災害の発生
【1】 人家ヘの浸水・越波(20回以上)
【2】 農地浸水面積が地域全体の農地面積の10%以上
【3】 公共・公益施設(県道、公民館、市民会館、官公署(市町村レベル)等)の被災
【4】 道路の通行止めが頻発(10回以上)
【5】 地域の産業施設の被災
【6】 施設災害有り(3回以上)

[3]災害発生の危険度
【計画波浪に対する越波高】
 a:計画波浪に対する打上げ高が施設天端高に比べて2.5m以上高い

 b:計画波浪に対する打上げ高が施設天端高に比べて2.5m未満 1.5m以上

【ゼロメートル地帯内の戸数】
 a:ゼロメートル地帯内の戸数が地域全体の戸数に占める割合が大(60%以上)

 b:ゼロメートル地帯内の戸数が地域全体の戸数に占める割合が中(60%未満 30%以上)

【耐震点検による危険箇所延長】

 a:耐震点検による危険箇所延長が大(50%以上)
 b:耐震点検による危険箇所延長が中(50%未満 10%以上)
【災害の危険性の高い自然条件】
 b:災害の危険性の高い自然条件
【1】 急勾配(1/10以上)、外洋に直接面している、もしくは台風の常襲地帯

[4]防護区域における地域開発等の程度
【地域の振興計画への位置付け】
 b:想定浸水区域が地域の振興計画等に位置付けられている。
【災害危険性が地域発展の制約】
 a:災害の危険性が地域発展の制約となっている。

[5]関連事業との整合
【関連計画の整備状況】
 A:テーマ海岸に指定されている。
 a:後背地の関連事業(海洋性リゾート施設、海浜公園等)が実施中である。
 b:後背地の関連事業(海洋性リゾート施設、海浜公園等)が計画策定されている。

[6]地元の協力体制
【海岸愛護・防災等の活動状況】
 a:当該海岸において清掃活動や海岸愛護活動、防災訓練等が毎年実施されている。

[7]自然環境・文化財等
【自然環境への効果】
 A:自然環境への著しい影響を防止する(国、県に指定された貴重種・景観への影響)
 a:自然環境への影響を防止する
【文化財等の地域遺産に対する影響】
 A:特に重要な文化財等の地域遺産の被災を防止する
【1】 特に重要な文化遺産の存在
 a:重要な文化財等の地域遺産の被災を防止する
【1】 重要な文化遺産の存在


ii) 侵食対策事業の優先度に係る評価の考え方
各評価項目毎のランクの考え方は以下による。

[1]災害発生時の影響(想定浸水区域内について)
【当該地域に対する影響】(原則として、市町村の大字、字単位)
 A:地域の存続に関わる影響がある。(当該地域自身への影響)
【1】 50年後の汀線で流失戸数が地域全体の戸数の50%以上
【2】 地域にとって生命線となる公共・公益施設(唯一の生活道路、ライフライン、官公署(市町村レベル)等)の存在
【3】 地域の基幹産業施設の存在(例えば、○○企業の城下町となっている工場、○○温泉街等)

 a:地域にとって重大な影響がある。(当該地域自身への影響)

【1】 50年後の汀線で流出戸数が地域全体の戸数の30%以上
【2】 50年後の農地侵食面積が地域全体の農地面積の50%以上
【3】 重要な公共・公益施設の存在:代替機能がある
【4】 災害弱者関連施設(病院、老人ホーム、身障者施設等)の存在
【広域的な影響】(広域:国、県レベルでの影響)
 A:広域的な影響がある。(隣接地域、関連地域への影響)
【1】 特に重要かつ広域的な公共・公益施設(高速道路、幹線鉄道、空港等)の存在
 a:広域的な影響がある。(隣接地域、関連地域への影響)
【1】 広域的な公共・公益施設(直轄国道、広域的なライフライン、鉄道、空港、官公署(国(ブロック機関)、県庁)等)の存在

[2]過去の災害実績
【激甚災害の発生の有無】
 A:過去、侵食等により、激甚な災害が発生。
【1】 死者・行方不明者が地域の人口の10%以上もしくは侵食戸数が地域全体の戸数の90%以上、又は過去に集落全体が移転した
【過去10年間の災害実績】(過去10年間の災害被害を対象として)

 A:重大な災害の発生

【1】 死者・行方不明者が発生
【2】 侵食戸数が地域全体の戸数の50%以上
【3】 農地侵食面積が地域全体の農地面積の50%以上
【4】 重要な公共・公益施設(直轄国道、鉄道、空港、官公署(国(ブロック機関)、県庁レベル)等)の被災
【5】 災害弱者関連施設(病院、老人ホーム、身障者施設等)の被災
【6】 地域の基幹産業施設の被災(例えば、○○企業の城下町となっている工場、○○温泉街等)
【7】 海岸保全施設が全壊
 a:災害の発生
【1】 農地侵食面積が地域全体の農地面積の10%以上
【3】 公共・公益施設(補助国道、鉄道、空港、官公署(市町村レベル)等)の被災
【4】 道路の通行止めが頻発(10回以上)
【5】 地域の産業施設の被災
【6】 海岸保全施設の損傷(沈下、クラック等)

[3]災害発生の危険度
【年間侵食速度】
 a:年間侵食速度が大(5m/年)又は近年(5年程度)の侵食速度が過去20〜30年程度と比べ5倍以上

 b:年間侵食速度が中(2.5m/年)又は近年(5年程度)の侵食速度が過去20〜30年程度と比べ2.5倍以上

【汀線後退量】
 a:過去、汀線後退量が150m以上(大規模)

 b:過去、汀線後退量が100m以上(中規模)

【災害の危険性の高い自然条件】

 b:災害の危険性の高い自然条件
【1】 急勾配(1/10以上)、外洋に面している
【沿岸漂砂、土砂供給源の現状】
 a:沿岸漂砂を遮断する大規模な構造物(建設中も含む)がある、もしくは河川・崖侵食による土砂の供給が急激に減少
 b:沿岸漂砂を遮断する大規模な構造物が計画中、もしくは河川・崖侵食による土砂の供給が減少

[4]防護区域における地域開発等の程度
【地域の振興計画への位置付け】
 b:想定侵食区域が地域の振興計画等に位置付けられている。
【侵食の進行が地域発展の制約】
 a:侵食の進行・危険性が地域発展の制約となっている。

[5]関連事業との整合
【関連計画の整備状況】
 A:テーマ海岸に指定されている。
 a:後背地の関連事業(海洋性リゾート施設、海浜公園等)が実施中である。
 b:後背地の関連事業(海洋性リゾート施設、海浜公園等)が計画策定されている。

[6]地元の協力体制
【海岸愛護・防災等の活動状況】
 a:当該海岸において清掃活動や海岸愛護活動、防災訓練等が毎年実施されている。

[7]自然環境・文化財等
【自然環境への効果】
 A:自然環境への著しい影響を防止する(国、県に指定された貴重種・景観への影響)
 a:自然環境への影響を防止する
【文化財等の地域遺産に対する影響】
 A:特に重要な文化財等の地域遺産の被災を防止する:特に重要な文化遺産の存在
 a:重要な文化財等の地域遺産の被災を防止する:重要な文化遺産の存在


iii) 海岸環境整備事業の優先度に係る評価の考え方

高潮対策事業及び侵食対策事業の [1]〜[7]に加えて、

[8]浜辺の利用
【年間利用人口】
 a:年間利用人口が地元市町村人口の30倍以上
 b:年間利用人口が地元市町村人口の5倍以上
【浜辺利用の現状】
 b:浜辺の利用度大(イベントの開催等により利用が行われている)
【飛砂による影響】
 a:道路の通行止め等が発生し砂の除去を実施している場合
 b:飛砂により、背後地の生活環境が著しく悪化している。