IV. サービス目標と実現のための考え方
第。章において提示した「政策内容の充実」と「政策の進め方の変革」を、各サービス目標に対して適用した場合の具体的な施策の方向を、基本的考え方、施策の展開及び施策のオプションとして提示した。その際、重点目標は可能な限り利用者側の指標を中心に設定し、個別施策は、既存ストックの有効活用、良質な道路の効率的な整備を念頭において多様な施策を提示した。 (1)各サービス目標における取り組みの視点と施策のポイント |
1)経済構造を改革し、活力ある社会・経済の形成に貢献するため、社会活動の効率性を高める。 |
サービス目標1.(広域交通の確保) | |
地域間の競争条件の整備と国際競争力の向上を図るため、人・モノ・情報の広域的かつ円滑な流れを確保する | |
視 点: | 道路整備中心から人・モノ・情報の移動の効率性向上へ |
重 点: | 高規格幹線道路及び国際空港・港湾と接続する幹線道路の機能強化、都市圏の環状道路及び地域ブロックの自立的発展や国際交流を支える幹線道路について投資効果を重視した整備 |
ポイント: | 規制緩和と連携した複合一貫輸送の推進、車両大型化への対応など物流の効率化、ITS(注17)による既存ストックの有効活用の促進、交通特性等に見合った経済的な道路構造の採用、高規格幹線道路整備は基本的に料金を上げない範囲で推進 |
サービス目標2.(地域自立の支援) | |
地域における公共サービス等の効率的な提供と産業の創出を図るため、地域自立の基礎条件の確保と交流・連携を支援する | |
視 点: | 個別プロジェクト支援から総合的な地域間連携の支援へ |
重 点: | 地域連携に必要な地域高規格道路・市町村連絡道路の重点整備、地域情報化の拠点形成 |
ポイント: | 地域の活性化計画に基づく道路整備への重点支援、交通・地域特性に応じた道路構造の採用、高度情報通信インフラ整備地域の重点整備 |
サービス目標3.(渋滞の緩和) | |
渋滞を緩和し、環境問題への対応と高コスト構造の是正を図るため、都市内交通の効率化を図る | |
視 点: | 需要追随型道路整備から交通需要調整策の導入へ |
重 点: | 都市圏交通円滑化総合計画に基づく総合的な渋滞対策、環状道路の重点整備、渋滞ポイントの解消、公共交通機関の支援強化等マルチモーダル施策(注7)の推進 |
ポイント: | 流入規制やロードプライシング(注14)の検討、路上工事の集中実施、TMA(交通需要マネジメント協会)の支援、渋滞改善に関する評価システムの導入 |
サービス目標4.(都市の再生・再構築) | |
都市内の経済活動の活性化と高度な都市生活の実現を図るため、中心市街地の再生・再構築と都心交通サービスの向上を図る | |
視 点: | 市街地の拡大対応から中心市街地の再生、再構築へ |
重 点: | 地方都市における中心市街地の再生及び大都市や地方中枢都市等における危険市街地の解消、拠点市街地の形成、幹線道路と沿道地域の一体的整備、環状道路、駐車場の重点整備 |
ポイント: | 新市街地から既成市街地へ投資の重点を移行、電線類の地中化や屋外広告物の整序の推進、環状道路に合わせた都心部道路空間の再構築、トランジットモール(注15)の社会実験 |
2)質の高い生活環境を形成するため、地域や都市における社会の共有空間としての機能を高める。 |
サービス目標5.(交通安全の確保) | |
高齢社会において、誰もが安心して暮らせる生活環境を実現するため、安全で良好なバリアフリーの歩行環境・運転環境を確保する | |
視 点: | 車中心から人中心へ、バリアフリーへ |
重 点: | 事故多発箇所対策・多発事故類型対策の集中実施、コミュニティ・ゾーン(注10)の整備推進、バリアフリー歩行環境の整備 |
ポイント: | 住居系地区内ではコミュニティ・ゾーン(注10)を原則化、バリアフリー化を地区を定めて重点整備、歩行空間は住民参加型で計画・整備、事故分析等の科学的手法と評価システムの導入による事故の削減、道路交通システムの高度化 |
サービス目標6.(信頼性の高い道路空間の確保) | |
暮らしの安心を確保するため、日常の生活を支え、災害に対して安全で信頼性の高い道路空間を確保する | |
視 点: | ハード対策から情報化などソフト対策を含めた総合的な防災対策へ |
重 点: | 計画的な維持管理の実施、道路の除雪、防雪事業の充実、広域的な幹線道路網の整備による複数経路の確保、地域の拠点間を結ぶ道路等についての重点的な防災事業、共同溝・電線共同溝等の整備 |
ポイント: | 地域と連携した雪対策及び道路防災管理の推進、防災管理の情報化の推進 |
3)新しいライフスタイル実現の鍵となる、環境保全や情報化等の新しい分野に貢献する。 |
サービス目標7.(環境の保全・向上) | |
持続可能な発展と質の高い社会の実現を図るため、地球・自然環境の保全・回復や沿道環境の保全・向上に努める | |
視 点: | 地域社会や関係機関と連携し、住民参加型で進める総合的な施策へ |
重 点: | 自然環境の保全・回復、沿道環境の向上、環状道路などの道路網整備による交通流の円滑化、低騒音舗装や環境施設帯など道路構造対策の推進 |
ポイント: | 自然環境を保全するための基本的な指針の策定、省エネルギー・低公害車の普及促進、環境負荷を軽減させる視点からの都市マネジメントの考え方の導入、沿道における非住居化促進、建物の防音化措置の充実 |
サービス目標8.(高度情報通信社会の支援) | |
高度情報通信社会の構築に貢献するため、道路交通分野の高度情報化を推進するとともに情報ハイウェイの構築を支援する | |
視 点: | 高度情報通信社会の構築に対する貢献 |
重 点: | 情報ハイウェイの構築支援、ITS(注17)の推進 |
ポイント: | 情報BOX等を道路が標準的に備える施設として整備、高速道路料金所のノンストップ化の推進、国際標準を念頭においた安全走行支援技術などの新技術開発の推進、地域情報と道路交通情報等との連携・提供 |
(2)各サービス目標ごとの実現に向けての考え方 第III章で示した道路政策のサービス目標(目標1〜8)ごとに実現のための考え方を示す。
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1)概要:基本的考え方、施策展開、施策オプション(重点目標、個別施策)を示したもの。 | |
イ)基本的な考え方: | サービス目標を設定した背景、課題及び対応方針の基本的考え方を示す。 |
ロ)施策の展開 : | サービス目標の実現に向けた施策全体について、重点の置き方、展開の手順、関 係者との連携など、計画的、効率的な施策展開の考え方を示す。 |
ハ)施策オプション: | 施策の展開をふまえて重点目標と個別施策のオプションを示す。 |
重点目標: | サービス目標の実現に向けて、重要と思われる目標設定のオプションを示す。この目標 は、地域の実情に応じて選択されるべきものである。 |
個別施策: | 重点目標を達成するために重要と思われる施策例を示す。これも地域の実情に応じて選択されるべきものである。 |
2)詳細説明資料:現状と課題、施策の方向(基本的方向、具体的施策)について詳細に解説したもの。 |
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