(1)道路行政マネジメントの取組みの導入
道路行政では、ユーザーの視点に立ち、より効果的、効率的かつ透明性の高い道路行
政へと転換するため、平成15年度より、ユーザーにとっての成果を重視する「成果主
義」の考え方を採り入れ、指標を用いた施策の評価システムを核とする新たな「道路
行政マネジメント」のしくみを導入することとした。
マネジメントのあり方の検討にあたり、平成15年3月より「道路行政マネジメント研
究会(委員長:古川俊一筑波大学教授)」を設置し、平成15年6月には研究会提言「『成
果主義』の道路行政マネジメントへの転換−理論から実践へ−」が取りまとめられて
いる(国土交通省HP:http://www.mlit.go.jp/road/ir/management/index.html参照)。
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図1 『成果主義』の道路行政マネジメントへの転換
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(2)平成15年度「道路行政の業績計画書」の作成
平成15年7月、「道路行政の業績計画書」を策定、公表した。この中で、17の指標を設定し、目標を達成するための手段である施策、事業に至るプロセスの妥当性を明らかにし、数値目標の妥当性や、目標達成のための施策や事業の妥当性について記述している。国民の視点からのチェックを可能にするため、都道府県別の指標値などの関連するバックデータも同時に掲載している。
主な指標と目標については、パブリックコメントなどの手続を経て「社会資本整備重点計画」において、平成19年度目標値が平成15年10月10日に閣議決定されている。さらに、「国土交通省政策評価基本計画(平成15年10月)」の中でも位置付けられ、行政評価法の中において評価されることとなる。
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(3)地域における取組み
地域の特性や、地域ごとのニーズに応じた、即地性のある道路行政運営を行うため、
全国レベルの取組みに加え、都道府県ごと等地域レベルでも、数値目標やそのために
実施する施策や事業の内容を明らかにした「業績計画書」を策定し、順次公表してい
る。地域レベルの「業績計画書」については、平成16 年度中に、32 都道府県/1 地域
について公表済みである(パブリック・インボルブメント(PI)手続中含む)。
平成15年度は、マネジメント・サイクルを作ることからスタート
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平成15年3月 | 道路行政マネジメント研究会 設立 |
平成15年6月 | 提言「『成果主義』の道路行政マネジメントへの転換−理論から実践へ− 」 |
平成15年7月 | 「平成15年度道路行政の業績計画書」策定、公表 <成果主義の新たな「道路行政マネジメント」をスタート> |
平成15年7月 | 都道府県ごと等地域レベルでも、「業績計画書」を策定 【32都道府県/1地域において公表済み(PI手続中含む)】 |
平成15年8月 | 平成16年度予算概算要求 |
平成15年10月 | 「社会資本整備重点計画」閣議決定 |
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平成16年4月 | 予算と成果のリンク(平成16年度より成果買取型予算の導入) |
平成16年6月 | 「平成15年度達成度報告書・平成16年度業績計画書」
策定、公表 |
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図2 道路行政マネジメントの取組み
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(4)道路行政マネジメントの実践に向けて
道路行政マネジメントに対しては、内外から成果主義への転換は理解できるものであるが、何を取組んでいるのか分かりにくく、地域のニーズに合った国民が実感できる成果まで見えないとの意見が出されている。
道路行政における「成果主義」に向けた取組みは端緒についたばかりであり、職員への「成果主義」の意識の浸透や、納税者、利用者に対するわかりやすさを確保するための工夫など、未だ多くの課題を残している。
実際の道路行政においても、アウトカム指標や目標の設定にとらわれすぎて、業績計画書と実務とが乖離している「仕事は今まで通り」という実態は否めない。
これらの課題の解決に向けては、内部、外部の多くの関係者の参加と努力による成功事例を積み上げ、日々改善していくことが重要である。その上で、住民の方々や国民から信頼される道路行政となることを目指し、不断の努力をしていく。
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