船舶による大気汚染については、海洋環境保全の見地から、1973年の船舶による汚染の防止のための国際条約に関する1978年の議定書(以下「MARPOL条約」という。)附属書VI(船舶による大気汚染の防止のための規則)において規制がなされており、我が国でも海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律(以下「海防法」という。)及び関係政省令において規制を定めています。
MARPOL条約及び海防法では、船舶からの硫黄酸化物の放出を削減するため、船舶において使用される燃料油の硫黄分濃度が段階的に規制強化されることが定められており、令和2年(2020年)1月1日以後、北海・バルト海等のIMOで指定された海域以外の海域(下図の「一般海域」)で船舶において使用される燃料油の硫黄分濃度は0.5%を超えてはならないとされています。
上記の規制は原則として、海域を航行するすべての船舶に適用されます。一方、以下の場合は規制の適用除外が認められています。
(1)船舶の安全を確保し、または人命を救助するために必要な場合
(2)船舶の損傷その他やむを得ない原因により基準適合燃料油以外の燃料油を使用した場合において、引き続く当該燃料油の使用による硫黄酸化物の放出を防止するための
可能な一切の措置をとったとき
(3)硫黄酸化物の放出による大気の汚染の防止に関する試験、研究又は調査のためにする船舶における燃料油の使用であって、あらかじめ国土交通大臣の承認を受けて行う場合
(4)硫黄酸化物放出低減装置(いわゆるスクラバー)を搭載し、検査に合格し適切に使用している場合
(5)基準適合燃料油を利用するための最善の努力をしたにも関わらず当該燃料油を入手できない場合