3.国民に開かれた公共事業を目指した改革の強化


 近年、厳しい財政状況やコスト意識の高まり、国民の参加意識の向上などを背景として、公共事業は、その必要性、効率性、透明性などについて、厳しい批判にさらされている。
 いうまでもなく、公共事業は、国民の幅広い理解と支持なしにはその遂行は不可能である。建設省は、国の公共事業の約7割を実施する省庁として、公共事業全体の的確な遂行について、中心的な役割を果たしていく責務がある。
 このため、これまでも、入札・契約制度の改革、公共工事のコスト縮減など、さまざまな改革を進めてきたところであるが、今後は、以下の観点から公共事業の改革を強化・徹底し、国民に開かれた公共事業を目指すとともに、公共事業を発注する特殊法人や他省庁、さらには地方公共団体に対しても、改革の実行を求めていく。

@ 真に必要で優先度の高い事業への投資の重点化
 今、公共事業に求められているのは、国民にとって真に必要な事業のみを優先度の高いものから実施することである。そのためには、省庁・部局の枠にとらわれずに、公共事業全体を見渡して、投資分野の思い切った重点化を図る必要がある。
 このため、経済構造改革関連や生活関連、安全な地域づくりなどの社会資本整備に投資を重点化するとともに、公共事業として実施する必要性の薄れた分野については速やかに見直しを行うなど、社会のニーズに的確に対応する。
 また、個々の事業の実施に当たっては、費用効果分析などできる限り客観的な基準を用いて優先順位を付けるとともに、施策の効果等について評価を行う。

A コスト縮減のための事業執行改革の推進
 公共事業の入札・契約制度については、市場競争の促進などを図るため、大規模工事についての一般競争入札制度の導入など抜本的な改革を進めてきたところであるが、今後、民間技術を一層活用する多様な入札・契約制度の導入等により、技術力による競争を促進し、品質を確保しながら、コストの低減を図る。
 また、発注者側としても、工事の計画・設計の見直し、発注の効率化、研究・技術開発の推進等により、コスト縮減に努める。
 さらに、厳しさを増す建設市場環境に対応し、一層の市場競争に耐えられるよう、公共事業の担い手である建設業の構造改革を図る。

B 事業の計画・実施過程の透明化
 公共事業は、国民の付託を受けて実施されるものであるから、その計画・実施過程を透明にすることは当然であり、また、透明化は、事業実施者側にも緊張感を与え、よりよい公共事業につながっていく。このような基本認識に立ち、計画段階から、一層の情報公開を進め、住民参加を促進する。
 また、計画から長期間が経過し、完成に至っていない事業について、その必要性、事業規模等について積極的に見直しを行う。
 さらに、新たな施策の実施に当たって、国民参加のもとに事業を試行し、評価する社会実験の積極的な実施を図る。

C 民間活力の活用、特殊法人の改革及び地方分権の推進
 公共事業においても、業務の外部委託化など民間活力の活用による事業の効率化、サービスの向上等を進めるとともに、民間の資金・技術等を活用した整備を検討する。
 また、特殊法人についても、官民の役割分担の適正化及び業務の効率性、採算性、透明性の向上等の観点から、業務の見直し等の改革を行う。
 さらに、地方分権推進委員会の勧告を踏まえ、建設行政における地方分権を推進する。

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