2.市場の整備・誘導に主軸を移した住宅・宅地政策の推進


 住宅・建築物や宅地については、従来から、民間による供給が主体であり、公的主体はその補完的役割を担ってきたが、民間企業の技術力、生産力、資金力はかつてよりも格段に強化され、また、市場、消費者も成熟してきている。
 このため、従来の官民の役割分担を見直し、市場原理を有効に機能させ活用するための条件整備を行うとともに、民間に任せられる分野は任せ、市場では供給が困難な住宅・社会資本のマネジメントに公的主体はシフトしていくものとする。

@ 新たな市場分野の開拓等を目的とした市場の枠組みづくりや民間活動の誘導
 民間による供給が基本である住宅・建築物や宅地については、自己責任原則の下、国際競争・整合化の視点も踏まえつつ、新たな市場分野の開拓、高コスト構造の是正、市場への公的介入の適正化等を図るため、規制の弾力化等のルールについての大胆な見直しを進めるとともに、民間による都市開発等を支える新たな資金調達手法である不動産の証券化を推進する。
 これと併せて、生産、請負、取引等の各場面における市場原理に基づく公正な競争や適切な選択を保証するための市場の枠組みづくりが従来にも増して重要となるため情報偏在の是正、市場の監視、紛争処理など、市場の失敗を防止し、消費者等を保護・救済するための仕組みの充実・強化を行っていく。
 また、市場原理に基づく民間活動を適切に誘導し、その積み重ねが良質な都市づくりに結びついていくよう、都市のビジョンの明確化や土地利用誘導策等の一層の充実を図る。
 なお、民間住宅の質の向上を誘導するための施策については、市場の充実の度合いに応じ、適切に講じていく。

A 市場では供給が困難な分野への公的取組みの強化
 公的主体は、民間市場が十分に成熟してきた分野からは撤退し、民間供給に委ねることを原則とする一方で、低所得高齢者・障害者向け住宅など市場原理や自己責任によると真に適切な供給がなされない分野に限り、公的責任において、公平・公正の原則の下、的確に対応できるよう施策の充実を図る。
 また、市場原理に基づく民間事業のみでは、必ずしも適切な規模・内容での実施が期待できない市街地の面的な再整備などのまちづくり分野については、公的主体の担うべき今後の重要な役割として、取組みの一層の強化を図っていく。
 なお、住宅・都市整備公団については、地方公共団体との連携や適切な役割分担を行い、上記の考え方を踏まえ、業務の見直し等の改革を行う。

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