国土交通省ロゴ

国土交通白書 2024

第6章 安全・安心社会の構築

第1節 ユニバーサル社会の実現
■1 ユニバーサルデザインの考え方を踏まえたバリアフリー化の実現

 「どこでも、だれでも、自由に、使いやすく」というユニバーサルデザインの考え方を踏まえた「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(バリアフリー法)」に基づき、旅客施設等(旅客施設、車両等、道路、路外駐車場、都市公園、建築物等)の新設等の際の「移動等円滑化基準」への適合義務、既存の旅客施設等に対する適合努力義務を定めている。

 この「バリアフリー法」に基づき、令和3年度から7年度までを目標期間としたバリアフリー整備目標を策定し、地方部を含めたバリアフリー化、聴覚障害及び知的・精神発達障害に係るバリアフリーや心のバリアフリーの推進等をはじめハード・ソフト両面での一層のバリアフリー化に取り組んでいる。

 また、令和3年に改正された「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」が令和6年4月に施行され、事業者による障害のある人への合理的配慮の提供が義務化されることを踏まえ、「障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針(令和5年3月閣議決定)」に即しつつ、障害当事者及び事業者双方の関係者と意見交換を実施し、「国土交通省所管事業における障害を理由とする差別の解消の推進に関する対応指針」及び「国土交通省における障害を理由とする差別の解消の推進に関する対応要領」の改正を行った(令和5年11月公表、令和6年4月施行)。

(1)公共交通機関のバリアフリー化

 「バリアフリー法」に基づき、公共交通事業者等に対して、旅客施設の新設・大規模な改良及び車両等の新規導入の際に公共交通移動等円滑化基準への適合を義務付け、既存施設については同基準への適合努力義務を課すとともに、その職員に対し、バリアフリー化を図るために必要な教育訓練を行うよう努力義務を定めている。また、一定の要件を満たす公共交通事業者等に対して、施設整備、旅客支援等を盛り込んだハード・ソフト取組計画の毎年度報告・公表を義務付ける制度などにより、ハード・ソフト対策を一体的に推進している。さらに、旅客船ターミナル、鉄道駅等の旅客施設のバリアフリー化やノンステップバス、リフト付きバス、福祉タクシー等の車両の導入等に対する支援措置を実施している。

 また、導入が進みつつある鉄道における精神障害者割引について、更なる導入に向け、鉄道事業者に対して働きかけを行った。

【関連データ】

公共交通機関のバリアフリー化の現状

URL:https://www.mlit.go.jp/statistics/file000010.html

(2)居住・生活環境のバリアフリー化

①住宅・建築物のバリアフリー化

 高齢者、障害者等が地域の中で安全・安心で快適な住生活を営むことができるよう、一定のバリアフリー性を満たした住宅を取得する際の独立行政法人住宅金融支援機構の 【フラット35】Sにおける融資金利の引下げ、バリアフリー改修工事に対する支援等によって住宅のバリアフリー化を促進しているほか、公営住宅や建替え事業によって新たに供給する都市再生機構賃貸住宅については、バリアフリー化を標準仕様とするとともに、民間事業者等によるサービス付き高齢者向け住宅の整備に対する支援等を実施している。

 また、公共施設や店舗等については、「バリアフリー法」に基づく義務付け制度や容積率の特例措置のほか、「高齢者、障害者等の円滑な移動等に配慮した建築設計標準」の周知等を通じてバリアフリー化を促進している。官庁施設については、不特定かつ多数の者が利用する施設について「バリアフリー法」に基づく建築物移動等円滑化誘導基準を満たした整備を推進している。

②歩行空間のバリアフリー化

 駅、官公庁施設、病院等を結ぶ道路や駅前広場等において、高齢者・障害者をはじめとする誰もが安心して通行できるよう、幅の広い歩道の整備や歩道の段差・傾斜・勾配の改善、踏切道におけるバリアフリー対策、無電柱化、視覚障害者誘導用ブロックの整備等による歩行空間のユニバーサルデザイン化を推進している。

③都市公園等におけるバリアフリー化

 都市公園等において、出入口や園路の段差解消、高齢者や障害者等が利用しやすいトイレの設置等のバリアフリー化を推進するため、「バリアフリー法」に基づく基準やガイドラインを定めるとともに、それに基づく公園施設の整備を支援している。