
国土交通白書 2024
特集 令和6年能登半島地震への対応
国土交通省では発災直後から、現地対策本部に職員を派遣するとともに、海上保安庁の巡視船艇や各地方整備局から集結したTEC-FORCE等、陸・海・空すべての力を結集し、総力を挙げて対応にあたった。
(1)道路関係
半島内の主要な幹線道路である能越自動車道等、7路線で最大75区間、国道や県道では最大191区間で通行止めが発生するなど、支援物資等の物流、ライフラインの復旧にとり、大きな打撃となった。発災直後から、重要な輸送ルートである陸路の確保に向け、道路の緊急復旧を実施した。
能越自動車道や、多数の孤立集落を生じさせていた国道249号沿岸部、そのほかの国道等の道路には甚大な被害が生じており、24時間体制を構築し、自衛隊等とも連携しながら、内陸・海側両方から、くしの歯状の緊急復旧を進めた。

発災後3日で縦軸・横軸ラインを確保
1月9日に主要な幹線道路の約8割、1月15 日に約9割の緊急復旧が完了
○緊急復旧(道路啓開の様子)

県道1号 輪島市三井町での啓開作業(1月3日)

深見海岸 海側からの重機運搬(1月14 日)


建設業者と連携した道路の緊急復旧(石川県輪島市)
(2)港湾関係
能登地域の港湾では、港湾全体に被害が及んでおり、石川県からの要請により、七尾港、輪島港、飯田港、小木港、宇出津港、穴水港の計6港について、1月2日より、港湾法に基づき、港湾施設の一部管理を国土交通省にて実施している。
また、石川県、富山県、七尾市からの要請により、上記6港に伏木富山港、和倉港を加えた計8港2海岸について、大規模災害復興法に基づく代行復旧により、「海上支援物資輸送拠点」「生業再開支援拠点」「建設資材供給拠点」「再度災害防止」の各方針に沿って、2月1日より本格的な復旧作業を進めている。
(3)空港関係
能登空港は、ターミナルビルや、亀裂被害が生じた滑走路等の空港施設が閉鎖されたが、TEC-FORCEの派遣により、固定翼機受入れのための、応急復旧や空港運用時間拡大等を支援し、災害救援活動の拠点として、発災翌日の1月2日から救援ヘリコプターの受け入れを開始し、1月12日には自衛隊固定翼機の離着陸、1月27日から民間航空機の運航が再開された。
2月1日からは、大規模災害復興法の適用による権限代行により、国土交通省が本格的な復旧工事を実施している。
(4)鉄道関係
鉄道は、JR西日本七尾線の津幡駅~和倉温泉駅間(59.5km)、のと鉄道(33.1km)の全線で、レール損傷等により運行休止となった。TEC-FORCEの派遣による現地調査を行ったほか、復旧作業の支援に当たり、運休区間は代行バス等の対応を行った。
JR西日本七尾線は2月15日から、のと鉄道七尾線は4月6日から全線で運転を再開した。
(5)砂防、河川、ダム、海岸関係
土砂災害は、3県で455件発生した(新潟県18件、富山県13件、石川県424件)。石川県では、6河川(14箇所)で河道閉塞等(土砂ダム)が確認され、国土交通省は、県と連携し、TEC-FORCEの派遣による調査や、監視カメラを設置するなど、監視体制を構築した。
河道閉塞が確認された6河川等に対し、対策工事を実施した。そのうち、不安定な状態で斜面や渓流内に土砂・流木が堆積し、今後の降雨等により二次災害が発生するおそれが高い、河原田川や町野川では、緊急的な対策工事を、国土交通省が権限代行等により実施した。特に、河原田川では、河川砂防一体となって、土砂崩落及びそれに伴う河川の埋塞への緊急的な対策工事を実施した。また、国道249号沿岸部の地すべり崩壊が発生した箇所では、緊急的な地すべり対策工事を国土交通省が権限代行等により実施した。
石川県管理の2ダム(小屋ダム、北河内ダム)で一部損壊等が確認され、応急対策が実施された。国土交通省は、応急対策の実施・検討に当たって、専門家(国土技術政策総合研究所)の派遣による調査や技術支援を実施した。
国管理河川では、4河川で施設の損傷等が確認され、応急対策を実施した。また、県管理河川では、113河川で施設の損傷等が確認され、応急対策が順次進められている。
海岸については、石川県の12海岸において堤防護岸損壊等の施設の被災を確認した。宝立正院海岸では、復旧工事を権限代行により国土交通省が実施することとし、地域の復興まちづくり計画と整合を図りながら、本復旧を進めることとしている。
(6)上下水道関係
地震により、水道等のライフラインも被害を受け、石川県では大規模な断水が発生し、水道の復旧が進められた。また、下水道は、石川県内の1ポンプ場において機能停止するなどし、下水管の流下機能に支障が発生した。
国土交通省は、石川県内の上下水道の復旧に向け、自治体の相互支援の枠組みに加え、厚生労働省とともに、職員を現地に派遣し、上下水道関連団体とも連携し、関係者一丸となって、上下水道一体の早期復旧に向けて支援を行った。
○国土交通省・厚生労働省職員が現地で連携し支援

熊谷汚水中継ポンプ場から珠洲市浄化センターまでの仮設圧送管の布設(石川県珠洲市))

七尾市長へ支援方針について説明(石川県七尾市)