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国土交通白書 2024

特集 令和6年能登半島地震への対応

■4 国土交通省における物流・物資支援

(1)陸上輸送

 令和6年能登半島地震における物資支援では、物流事業者と連携した支援物資輸送を実施した。

 1次輸送(全国から県の物資拠点(金沢市郊外の石川県産業展示館)まで)については、国が、被災地方公共団体からの具体的な要請を待たずに、避難所避難者へ食料、飲料水、衛生用品等、必要不可欠と見込まれる物資を調達し、民間の物資供給事業者の協力を得て、被災地に物資を緊急輸送する「プッシュ型支援」を実施した。物資供給事業者が輸送手段を確保できない場合、全日本トラック協会に協力を要請し、トラックの手配を実施した。

 2次輸送(県の物資拠点から市町の物資拠点まで)については、自衛隊による輸送や、県からの要請に応じた県トラック協会による輸送で対応した。

 県の物資拠点や市町の物資拠点での荷捌きや物資管理の効率化、各避難所までのラストマイル(3次輸送)の着実な配送のため、県や市町と、トラック事業者及び自衛隊との協力に向けた調整も実施した。

(2)海上輸送

 海上輸送においても、船舶を利用した飲料水の提供や支援物資の輸送を実施した。

 支援物資輸送・給水支援のため、1月3日に北九州港を出港した大型浚渫(しゅんせつ)兼油回収船(九州地方整備局所有)「海翔丸」が、1月5日に七尾港に到着し、輪島市内の避難所に支援物資を輸送した。

 海上保安庁では、1月2日から、簡易トイレ、食料品、飲料水、ブルーシート等の支援物資を回転翼機や巡視船により、輪島市、七尾市及び珠洲市へ輸送するとともに、輪島港及び七尾港において、自衛隊給水車等に対して給水支援を実施した。

 また、被災地をはじめとした関係者のニーズの摺り合わせ等も行いながら、民間船舶による物資等の海上輸送支援を実施した。具体的には、RORO船「フェリー粟国(あぐに)」による灯油や軽油、シャワールーム等の支援物資輸送、液体苛性ソーダ運搬船「東駿丸(とうしゅんまる)」による水や保存食等の支援物資輸送等が行われた。加えて、民間の長距離フェリー等による緊急車両や物資等の広域輸送が実施された。

図表-特-9 飲料水、物資等の支援活動
九州地方整備局所有の作業船「海翔丸」により、飲料水や食料等の支援物資を輸送

九州地方整備局所有の作業船「海翔丸」により、飲料水や食料等の支援物資を輸送

民間企業所有のRORO船「フェリー粟国」により、発電機等の支援物資を輸送

民間企業所有のRORO船「フェリー粟国」により、発電機等の支援物資を輸送