貨物鉄道輸送は、エネルギー効率に優れた輸送手段ですが、一般の消費者がお店で商品を選ぶ際には、その商品がどうやって運ばれたのかを知る手段がないのが普通です。そこで、商品を輸送する時に貨物鉄道を一定割合以上利用している場合に、「エコレールマーク」の認定を受けられる仕組みを設けました。これにより、商品などにその「エコレールマーク」を表示することで、その企業が環境への取り組みを行っていることが消費者のみなさまにも伝わることを目指しています。
1997年の気候変動枠組条約第3回締約国会議(COP3)で採択された京都議定書において、我が国は二酸化炭素(CO2)等の温室効果ガス排出量を、2008年度から2012年度の第一約束期間に基準年(1990年度)から6%削減することが定められました。
我が国は2005年4月に京都議定書目標達成計画を閣議決定(2008年3月全部改定)し、総合的かつ計画的な地球温暖化対策を講じた結果、基準年比6%減を達成しました。
2013年以降の削減目標については、我が国は、京都議定書の第二約束期間(2013年~2020年)には参加しない方針を表明し、自主的な削減努力を実施することとしており(2020年度の排出量を2005年度比で3.8%以上減)、引き続き二酸化炭素排出量の削減は重要な課題となっています。
以下の図では、物流の各輸送モードが1トンの荷物を1km運ぶ際に排出される二酸化炭素量を示しています。これによれば、貨物鉄道輸送の輸送単位あたりの二酸化炭素排出量は営業用トラックの約10分の1となっており、トラックから貨物鉄道輸送への転換(これを「モーダルシフト」といいます。)は、二酸化炭素排出量の削減に効果的であることが分かります。
しかし、消費者にとって、お店で商品を選ぶ際に、その商品がどのような輸送手段で運ばれてきたかについては、通常は知ることはありません。このため、企業が努力して環境にやさしい貨物鉄道輸送に積極的に取り組んでも、一般消費者にはその努力が見えにくいという問題がありました。
そこで、環境にやさしい貨物鉄道輸送によって運ばれているものだということを一般消費者に知ってもらったうえで、そのような商品を積極的に選択する目安を提供するとともに、企業にとっても、環境問題に積極的に取り組んでいるということを一般の消費者にアピールし、さらに、消費者に商品を選択していただけるという、消費者と企業が一体となった取組みを進めることを目指し、「エコレールマーク」が誕生しました。
エコレールマーク事業の運営については、エコレールマーク事務局を公益社団法人鉄道貨物協会に置き、あわせて、エコレールマークの適正な運営のため、諮問機関として学識経験者、行政、物流関係者から構成される「エコレールマーク運営・審査委員会」(委員長:苦瀬博仁( くせひろひと )東京海洋大学名誉教授)を設けています。
申込のあった商品または企業については、「エコレールマーク運営・審査委員会」で審査を行い、その審査・承認に基づいて認定を行います。
貨物鉄道輸送に定期的に取り組んでおり、かつ、原則として、一般消費者向けの商品の製造を行っている企業が対象になります。 ただし、エコレールマークの目的を理解し、積極的な表示を通じて、消費者への理解を促すための使用が予定されている場合など、制度の趣旨に照らし、運営・審査委員会が適当と判断する場合は、この限りではありません。
(1)商品の認定個別商品のイメージを表象する媒体に表示するもの(商品、段ボール、カタログ(商品の告知、説明に係る箇所)、新聞広告など)として認定。
(2)取組企業の認定企業のイメージを表象する媒体に表示するもの(環境報告書、ウェブサイト、ポスター、新聞広告、カタログ(企業の取組みの説明に係る箇所)など)として認定。
エコレールマーク使用例
(1)認定商品
・500km以上の陸上貨物輸送のうち30%以上鉄道を利用している商品
(2)認定企業
・500km以上の陸上貨物輸送のうち15%以上鉄道を利用している企業
・数量で年間1万5千トン以上または、数量×距離で年間1,500万トンキロ以上の輸送に鉄道を利用している企業
(注)上記の%算出基準は、数量比または数量と距離を掛け合わせたものにおける比率
令和6年3月8日現在で、エコレールマーク認定商品は186品目(162件)、認定企業は101社となっています。認定商品・企業の一覧、報道発表資料については、以下のロゴをクリックしてご覧下さい。
エコレールマークの認定のお申し込み・お問い合わせは、公益社団法人鉄道貨物協会 エコレールマーク事務局で承っております。以下のロゴをクリックすると、同事務局のページが別ウインドウで開きます。