(エクイティ型証券とその市場)
|
○ |
エクイティ型証券に対しては、機関投資家も関心は高いものの、なお慎重であるように思われ、デット型証券に比べて、総じて需要はそれほど強くないのではないかと見られている。それは何よりも、エクイティ型証券は、不動産の価格変動リスクを被りやすいものであることに由来するものとされている。しかしながら、これらはいずれにしろ、配当、利回りの設定水準等のマーケットメカニズムを通じて、商品設計の段階で何らかの工夫を加え得る余地があるという見方もあり得よう。
|
○ |
諸外国の例を見ると、例えば、年金基金の場合であっても、例えその割合が低くとも不動産そのものが運用対象とされていることから見ても、エクイティ型証券なるがゆえに需要が少ないという説明には説得力がなく、むしろ、運用資産全体のパフォーマンスを各種資産への合理的なポートフォリオを組むことによって、極限まで上げようとする努力の欠如にもよるものではないかとも思われる。
|
○ |
いずれにしても、例えば、会社型投信の投資証券(*2)の証券取引所への上場等といった最近の努力は、ベンチマークの確立や情報開示にも資する動きであり、エクイティ型及びデット型双方の証券の需要の増大につながるものと思われる。
|
(社債、CP、国債と債券市場)
|
○ |
広く我が国の証券市場そのものが高い流動性を持つものとなり、マーケットとして相応の深さと広さを持つものとなること、さらには金融市場がより成熟することは、証券に化体させた不動産証券化商品への需要を高めるものと思われる。その関係では、社債、CP等といった既存の証券の流動性の向上に向けた関係者の努力が期待されるところである。
|
○ |
また、国債は多くの国で債券市場の中核をなすものであるが、我が国の場合、従来、ベンチマーク商品の少なさ、発行年限の偏り、商品の多様化の遅さ等が指摘されてきたところである。近年、発行年限の多様化(平成12年度には新たに15年変動利付債及び3年割引債が発行される)、入札スケジュールの事前公表、リオープン方式の導入等、市場の整備に向けた施策が講じられている。これらの国債市場の整備は、我が国の債券市場の活性化や進化を通じ、我が国債券市場全体の成熟をもたらすことになろう。
|
(一般投資家への配慮)
|
○ |
従来、不動産証券化商品の組成者が機関投資家に重点を置いて、証券化商品を組成し販売してきたことから、高額な商品が中心となっていたが、今後、一般投資家の潜在的需要に十分応えるためには、商品に関する情報をより広く知らせたり、一般投資家をより意識した販売方法についての十分な配慮が必要となろう。
|