資料20.最近の不動産の証券化・小口化に関する動向について(1) 「特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律」(SPC法)の改正 1998年9月に施行されたSPC法については、不動産をはじめとする資産の証券化に向けた法的な枠組みを整備するものとして評価される一方、投資家保護が重視されたことなどによる使い勝手の悪さも指摘され、不動産の証券化事例については、SPC法に基づき設立された特定目的会社(以下「国内SPC」という)を活用したものよりも、海外(租税回避地)に設立される特別目的会社(以下「海外SPC」という)を活用するなど、SPC法のスキームによらないものが多いといわれる。 こうした状況を踏まえて、今般、法律名を「資産の流動化に関する法律」と改め、流動化対象資産を財産権一般に拡大するとともに、国内SPCについての手続きの合理化を行い、また、新たに「特定目的信託」制度を創設することなどを内容とする改正法案が国会に提出されたところである。 (2) 不動産投資信託の解禁 1998年12月に施行された「証券投資信託及び証券投資法人に関する法律」(以下「投信法」という)で導入された証券投資法人(いわゆる「会社型投資信託」)については、かねてから、活用の仕方によっては実質的にアメリカのREITに近い不動産証券化の器となり得るポテンシャルを備えており、本格的に不動産投資信託を導入するには、会社型投資信託について運用対象資産の範囲を不動産も含み得るように広げるべきであると指摘されてきたところである。 こうしたことなどを踏まえ、今般、法律名を「投資信託及び投資法人に関する法律」と改め、運用対象資産を財産権一般に拡大する内容の改正法案が国会に提出されたところである。これにより、投資信託のスキームにおいて不動産を運用対象資産に組み入れることができるようになり、本格的な不動産投資信託が解禁されることになると指摘されている。 (3) 不動産特定共同事業における規制緩和 不動産の小口化の代表商品である不動産特定共同事業は、1995年4月に施行された不動産特定共同事業法に基づき行われるが、この法律については、現在、当初の投資家を保護するための規制法から、より規制色を薄め、投資家にとって投資しやすい制度への改善を目指し、1999年までに、最低出資額の制限緩和や投資家の契約上の地位の第三者への譲渡の解禁、投資対象となる不動産の選定・変更も含めた不動産による資金運用を専門家に一任する投資ファンド型事業の創設といった取り組みがなされたところである。 今後も、不動産の投資判断を専門的に行う不動産投資顧問業の登録制度の創設や出資持分の売買情報を交換する共同売買市場の創設などが予定されているところである。 | 国土庁ホームページへ | 土地総合情報ライブラリへ | 目次へ | 次ページへ | |