第1節 豊かな住生活の実現 

2 既存住宅・リフォーム市場の活性化

 我が国の既存住宅・リフォーム市場規模をみると、リフォーム市場については年間約6兆円と推計されており、住宅投資に占める割合(2008年(平成20年))をみると、欧米諸国が約50〜80%であるのに比べ、我が国は約30%にとどまっている。既存住宅の流通については年間約17万戸であり、住宅流通全体に占める割合は、欧米諸国が70%前後であるのに比べ、約13.5%にとどまっている。
 
図表II-4-1-2 住宅リフォーム市場規模の推移(推計)
図表II-4-1-2 住宅リフォーム市場規模の推移(推計)
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 政府の「新成長戦略」では、ストック重視の住宅政策への転換を図ることとし、2020年(平成32年)までに「中古住宅流通市場・リフォーム市場の規模を20兆円まで倍増」させるという目標を定め、既存ストックの有効活用のための施策の充実を図っている。
 
図表II-4-1-3 住宅投資に占めるリフォームの割合の国際比較
図表II-4-1-3 住宅投資に占めるリフォームの割合の国際比較
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図表II-4-1-4 既存住宅流通シェアの国際比較
図表II-4-1-4 既存住宅流通シェアの国際比較
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(1)消費者が安心してリフォームができる市場環境の整備
1)消費者の相談体制の整備
 住宅リフォームを検討する消費者は、費用や事業者選びに関して不安を有しており、これを取り除くことが住宅リフォーム市場の拡大には必要である。
 このため、具体的な見積書についての相談を行う「リフォーム無料見積チェック制度」や各地の弁護士会における「無料専門家相談制度」の創設、相談員の拡充等による電話相談体制の強化等の取組みを進めている。平成22年度はリフォーム見積チェックが351件、リフォーム工事に関する無料専門家相談が420件(23年3月末現在)となっている。
 
図表II-4-1-5 不足している情報の種類と内容
図表II-4-1-5 不足している情報の種類と内容
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2)リフォームかし保険の創設等
 消費者が安心してリフォームができるよう、施工中の検査と欠陥への保証がセットになったリフォームかし保険制度を平成22年3月に創設した。22年度の加入申込件数は11,104件(23年3月末現在)となっている。また、マンション大規模修繕工事を対象とした大規模修繕かし保険制度も21年12月に創設しており、22年度の加入申込件数は209棟(23年3月末現在)となっている。
 なお、事業者が保険に加入するには、建設業許可の有無や実績等の条件を満たした上で、各住宅瑕疵担保責任保険法人に事業者登録をする必要があり、登録された事業者は一般社団法人住宅瑕疵担保責任保険協会のホームページで公開されるため、消費者は事業者選びの参考とすることができる。
 さらに、国土交通省では、住宅履歴情報の整備・普及を推進しているほか、インターネットを利用した消費者がアクセスしやすいリフォーム事業者の選択支援サイトの整備にも取り組んでいる。

(2)消費者ニーズに対応した魅力あるリフォーム市場の整備
 リフォーム市場を活性化するためには、多様な業種による魅力あるリフォーム市場の形成を図っていく必要がある。このため、ホームセンター、家電量販店、ドラッグストア、百貨店等と連携した消費者イベントを全国で91回実施し、6,099名(平成23年3月末現在)の参加者にリフォームの魅力や気を付けるべきポイントを直接説明した。
 さらに、リフォーム工事の際、保険法人による検査を受け、リフォームかし保険に加入し、住宅の履歴情報を登録又は蓄積した場合に、検査等の費用やリフォーム工事費用に対して補助を行う既存住宅流通活性化等事業を実施した。
 このほか、住宅エコポイント制度により、エコリフォーム(窓の断熱改修又は外壁、屋根・天井若しくは床の断熱改修)の推進等に取り組んでいる。

(3)消費者が安心して既存住宅を取得できる市場環境の整備
 既存住宅の取得を検討する消費者は、欠陥への不安を有していることから、専門の建築士による現場検査と欠陥への保証がセットになった既存住宅売買かし保険制度を平成21年12月に創設しており、22年度の加入申込件数は、2,663件(23年3月末現在)となっている。
 なお、消費者は、リフォームかし保険と同様に登録事業者をホームページで検索し、事業者選びの参考とすることができる。
 また、質の高い既存住宅を安心して売買できる市場環境整備のため、既存住宅の性能表示制度の普及や、不動産取引価格等の情報提供及びその内容の充実等を推進している。

(4)消費者ニーズに対応した魅力ある既存住宅市場の整備
 既存住宅の売買の際にも、既存住宅売買かし保険に加入し、住宅の履歴情報を登録又は蓄積した場合には、検査等の費用やリフォーム工事費用に対して補助を行う既存住宅流通活性化等事業を実施し、既存住宅市場を刺激するとともに、既存住宅売買かし保険や住宅履歴の周知普及を図った。


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