(3)JR各社の評価〜経営基盤の確立が共通課題


 国鉄事業の再生の観点からは、JR各社が健全な経営を維持し、さらに経営基盤の強化を図ることによって、最終的な完全民営化を図ることが大きな課題である。ここでは、この面から見たJR各社ごとの評価について述べる。
 会社発足以降の経営状況を概観してみると、大別して、本州3社については、三大都市圏及び新幹線を有し経営環境力が比較的良好であり、JR北海道等については、発足当初より厳しい経営環境が予想され、長期債務等を承継しないこと及び経営安定基金の設置等の特別の措置が講じられたものの、昨今の金利低下による経営安定基金の運用益の減少などにより経営が厳しい状況にあり、また、JR貨物については、トラック、海運等と激しい競争関係にあり、厳しい経営状況となっている。
 このように経営状況の相違はあるものの、各社に共通した今後の課題は、国鉄改革の目標である早期の完全民営化の実現に向けて、その経営の中心である鉄道事業について更なる増収努力と経営効率化による経費節減に努めるとともに、関連事業の充実を通じて経営の多角化を図ることにより、その経営基盤のより一層の強化を図ることである。各社別の評価は、以下の通りである。