(a)金利及び年金に係る利払い負担等
清算事業団は、国鉄長期債務等から毎年発生する金利及び年金に係る利払い負担等(以下「金利等」という。)の支払額以上の収入を上げなければ、その不足分だけ債務残高が累増するという、まさに金利等との競争状態にあるという問題を抱えている。
毎年度発生する金利等は、年1.3兆円ないし1.5兆円にのぼっており、この金利等の支払額を超える収入額を上げ、債務残高が減少したのは、営団出資持分の一括譲渡と引換えに0.9兆円の債務を国が承継する措置等が講じられた2年度及びJR東日本株式を200万株売却し、1.1兆円の売却収入を上げた5年度の2回のみであり、その他の年度は、いずれも債務残高が増加する結果となっている〔1−5−4図〕。
債務のうち確定債務の残高及び平均利率は〔1−5−5図〕のとおりである。8年度首において、清算事業団の有利子債務は18.4兆円であり、その平均利率は4.95%となっている。
(b)共済年金による負担
昭和62年度以降の新たな負担として、日本鉄道共済年金特別負担がある。これは、極めて厳しい財政状況にある鉄道共済年金は、平成2年度より厚生年金をはじめとする他の年金制度からの支援を仰ぐこととなったが、その際、鉄道共済側の自助努力の一つとして、鉄道共済年全の過去の保険料率が十分でなかったことに伴う旧国鉄時代の事業主の負担不足分について、旧国鉄の事業主としての地位を引き継いだ清算事業団が、2年度から8年度まで年1,000億円(総計7,000億円)負担しているものである(JRも年220億円、総計1,540億円を負担)。
A統合に伴う移換金負担
8年6月7日に「厚生年金保険法等の一部を改正する法律」が成立し、被用者年金制度の再編成の第1段階として、鉄道共済年金を含む旧3公社共済年金が9年4月に厚生年金に統合されることとなった。
統合に当たっては、妥当な水準の積立金の移換が必要とされ、鉄道共済組合の現有積立金では、足りない部分については、事業主が負担することが必要とされ、鉄道共済の現有積立金で充当できない約1兆円のうち、旧国鉄の事業主としての地位を引き継いだ清算事業団が、9年度首において、新たに約0.8兆円の移換金債務を負うことが予定されている。