(オ)本格的処理策の確立の必要性


 清算事業団の債務等については、昭和63年の閣議決定において、「土地処分収入等の自主財源を充ててもなお残る事業団の債務等については最終的には国において処理する」こととなっており、その「本格的な処理のために必要な「新たな財源・措置」については、雇用対策、土地の処分等の見通しのおおよそつくと考えられる段階で、歳入・歳出の全般的見直しとあわせて検討、決定する」こととされている。雇用対策については、前述のとおり既に終了しており、また、土地の処分については、平成元年の閣議決定において、「事業団の土地の処分については、平成9年度までにその実質的な処分を終了する」こととされている。
 また、現在の長期債務残高に比べて、土地・JR株式等の清算事業団の資産は、残りわずかであり、今後大幅な債務の減少は期待できない上に、このまま推移すれば金利等により最終的に残る債務額はますます増加していくと見込まれる。
 こうした中で、国鉄長期債務の本格的処理策については、連立与党の財政構造改革ワーキングチームが9月18日に検討を開始し、この場で国が責任をもって債務処理に当たることについて是認するものとされた。また、10月の衆議院議員選挙後の11月15日には、新たに自民党に国鉄長期債務問題特別委員会が発足し、この問題についての本格的検討が開始された。
 債務の本格的な処理の遅れは、益々国民負担額を増加させることになることから、これを防止するためにも、債務の本格的な処理策の確立が急務である。このため、国民の納得が得られるような、具体的処理方策について鋭意検討を進めることとしている。