(2)JR北海道等及びJR貨物の完全民営化に向けた経営基盤の強化


 1に述べたように、旅客部門の分割を行うに当たっては、各会社の安定的な経営基盤の確保については収益調整措置によって担保することとされ、これを受けてJR北海道等については経営安定基金が設けられ、その運用益によって営業損益における赤字を補填し、経営の維持を図ることとされた。しかし、昨今の低金利情勢の影響により、この運用益の額が年々低下し、収益調整措置として充分機能しない状況となってきている。また、JR貨物については、旅客会社からの線路使用料を追加費用分だけにする(いわゆるアボイダブルコスト原則)等の調整が図られているが、貨物輸送は旅客輸送以上に景気動向に左石されやすく、JR北海道等にも増して経営基盤が不安定な現状にある。
 上記事情に加え、国鉄改革時に創設されたJR7社を対象とする@承継特例(国鉄からの承継資産について固定資産税等の課税標準の1/2)、JR北海道等3社を対象とするAJR北海道、JR四国及びJR九州の特例(3社の所有又は借受資産について固定資産税等の課税標準の1/2)の他、JR貨物を対象とするB買換特例(土地等を譲渡してコンテナ貨車を取得した場合の圧縮記帳)等の税制特例措置が8年度末で期限切れを迎えることとなる。
 国鉄改革の最終的な目標である完全民営化を本州3社に引き続いて果たすためには、各社の徹底した営業努力、以下の課題への取り組み等を通じて上記の状況に対処が必要である。