北海道

アイヌ関連施策

◆アイヌの人々について

アイヌ民族舞踊(静内民族文化保存会)
アイヌ民族舞踊(静内民族文化保存会)

 

 アイヌの人々は、少なくとも中世末期以降の歴史の中でみると、当時の「和人」との関係において北海道に先住していたと考えられており、独自の伝統を有し、 アイヌ語等を始めとする固有の文化を発展させてきた民族です。しかしながら、アイヌの人々の民族としての誇りの源泉であるその伝統や文化は、松前藩による支配や、明治以降、我が国が近代国家として出発し「北海道開拓」を進める中での、いわゆる同化政策などにより決定的な打撃を受け、今日では十分な保存や伝承が図られているとは言い難い状況にあります。


 

 

◆アイヌ文化の振興等

 
 1 アイヌ文化振興法の成立

 北海道知事や北海道アイヌ協会などの、北海道旧土人保護法等の廃止と新たな法律の制定についての要望を受け、平成7年3月、官房長官の私的懇談会として「ウタリ対策のあり方に関する有識者懇談会」が設置されました。

 約1年間の審議を経て、平成8年4月、 ウタリ対策のあり方に関する有識者懇談会報告書が提出されます。

 この報告書を受け、アイヌ文化の振興等を図るための施策を推進することにより、アイヌの人々の民族としての誇りが尊重される社会の実現と我が国の多様な文化の発展を目的とした 「アイヌ文化の振興並びにアイヌの伝統等に関する知識の普及及び啓発に関する法律(アイヌ文化振興法)」が平成9年7月に施行されました。これに伴い、旧土人保護法等は廃止されています。


 

2 アイヌ施策推進法の成立

 平成20年、衆参両院の本会議において「アイヌ民族を先住民族とすることを求める決議」が行われ、その前年には、国際連合において「先住民族の権利に関する国際連合宣言」が採択されるなど、国内外において、先住民族への配慮を求める要請が高まっています。
 また、アイヌの人々からは、従来の文化振興や福祉政策に加え、地域振興、産業振興、観光振興等を含めた様々な課題を早急に解決することが求められており、アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策を総合的に推進していく必要があります。
 このような趣旨から、従来のアイヌ文化振興法に基づいた文化振興に加えて、地域振興、産業振興、観光振興等を含む多岐にわたる施策を総合的に推進するための「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律(アイヌ施策推進法)」が令和元年5月24日に施行されました。これに伴い、アイヌ文化振興法は廃止されています。

 

3 指定法人の指定
  アイヌ施策推進法の施行を受け、国土交通大臣及び文部科学大臣から委託を受けて民族共生象徴空間(ウポポイ)を管理し、また、アイヌ文化振興法に由来するアイヌ文化の振興等に係る業務を行う指定法人として、令和元年5月24日に 公益財団法人アイヌ民族文化財団が指定されています。
 同財団では、アイヌ語を含むアイヌ文化の振興やアイヌの伝統・文化に関する知識の普及啓発を着実に進めるため、様々な事業を実施しており、このうち、1/2を国土交通省及び文部科学省が補助しています(残りの経費は、北海道が補助しています。)。

  ※指定書交付式の様子はこちら

 
4 アイヌの伝統・文化に関する知識の普及啓発

 国土交通省北海道局では、アイヌの伝統・文化に関する知識の普及啓発に係る施策を所掌しており、アイヌ民族文化財団への補助金等により施策を推進しています。
 

~多様な主体によるアイヌ文化等の普及啓発活動のあり方検討業務(平成24年度実施)~
 平成24年7月の「アイヌ政策推進会議政策推進作業部会報告」(本文概要)を踏まえ、多様な主体との連携によるアイヌ文化等に関する国民理解を促進するための普及啓発活動のあり方について検討するとともに、民間企業等における普及啓発活動の参考となるガイドブックを作成しました。 

   業務の概要

   「企業・団体のためのアイヌ文化ガイドブック」
    ~多様性への気付きが生む事業活動の新たな展開~
        
      
※ファイル容量が大きいため2つに分けております。

 
 ~「イランカラテ」キャンペーンの展開~

 アイヌ文化等の普及啓発をより一層推進するため、平成25年度から、民間企業や行政機関等の連携により、アイヌ語のあいさつ「イランカラテ」(「こんにちは」の意)を、「北海道のおもてなし」のキーワードとして普及させるキャンペーンを展開します。 

   
重点実施期間: 平成25年~27年度の3か年間

            (一過性で終わらぬよう持続的・段階的に実施)


5 アイヌの伝統的生活空間(イオル)の再生事業
 イオルの再生事業は、森林や水辺等において、アイヌ文化の保存・継承・発展に必要な樹木、草本等の自然素材が確保でき、その素材を使って、アイヌ文化の伝承活動等が行われるような空間を形成する事業です。 平成17年7月に、アイヌの伝統的生活空間の再生に関する基本構想を取りまとめ、平成18年度から、アイヌ民族文化財団を中心にアイヌの人々が主体となり、イオルの再生事業を行っていましたが、令和元年5月のアイヌ施策推進法の施行に伴い創設されたアイヌ政策推進交付金(内閣府所管)の対象事業に移行しております。



 

◆「民族共生象徴空間(ウポポイ)」

 

 アイヌ文化の復興等に関するナショナルセンターとして、アイヌの歴史、文化等に関する国民各層の幅広い理解の促進の拠点並びに将来へ向けてアイヌ文化の継承及び新たなアイヌ文化の創造発展につなげるための拠点となるよう、令和2年7月12日、北海道白老町に民族共生象徴空間(愛称:ウポポイ)がオープンしました。
 ウポポイは、「国立アイヌ民族博物館」、「国立民族共生公園」、「慰霊施設」などの施設で構成され、アイヌの文化や世界観、自然観等を体験していただき、理解を深めていただけるよう、園内の各所で様々なプログラムを用意しています。
 
   ・国立アイヌ民族博物館・・・文部科学省所管
   ・国立民族共生公園、慰霊施設・・・国土交通省所管

ウポポイ全景
ウポポイ(民族共生象徴空間)

 ウポポイへの誘客促進に関する有識者検討会について
 年間来場者数100万人を目指した「ウポポイ誘客促進戦略」(仮称)の策定に向けた助言を得るため、「ウポポイへの誘客促進に関する有識者検討会」を開催しております。


 ◇慰霊施設において管理するアイヌ遺骨等の返還について

 過去に発掘・集約され、大学が保管してきたアイヌの人々の御遺骨等については、令和元年10月まで、各大学及び文部科学省において、それぞれ個人が特定された御遺骨及び出土地域が特定された御遺骨の返還申請を受け付けてきましたが、返還申請がなかった御遺骨等については、尊厳ある慰霊の実現を図るとともに、アイヌの人々による受入体制が整うまでの間の適切な管理を行うため、同年11月から12月にかけて、北海道白老郡白老町に整備した民族共生象徴空間(ウポポイ)内の慰霊施設に納められました。
これに伴い、国土交通省において「大学の保管するアイヌ遺骨等の出土地域への返還手続に関するガイドライン」(平成30年12月)等に基づき、返還手続を行っています。
 
慰霊施設において管理するアイヌ遺骨等の返還手続について
 
 
 【アイヌ遺骨等の返還に関する資料等】
個人が特定されたアイヌ遺骨等の出土地域への返還等の手続に関する指針(平成31年4月)(内閣官房アイヌ総合政策室HPへリンク)
大学の保管するアイヌ遺骨等の出土地域への返還手続に関するガイドライン(平成30年12月)(内閣官房アイヌ総合政策室HPへリンク)
個人が特定されたアイヌ遺骨等の返還手続に関するガイドライン(平成26年6月)(内閣官房アイヌ総合政策室HPへリンク)
慰霊施設に集約された大学が保管するアイヌの人々の御遺骨の数について(文部科学省研究振興局HPへリンク)

◆北海道アイヌ生活向上関連施策の推進

 

 平成29年に北海道が実施した 「北海道アイヌ生活実態調査」によると、北海道内の市町村が調査対象者として把握しているアイヌの人々は、13,118人でした。
 北海道は昭和47年に初めてこの調査を実施しましたが、その結果、アイヌの人々の生活環境や子弟教育等の状況は、アイヌの人々が居住する地域の他の人々と比較して大きな格差があることが分かりました。そこで、北海道は昭和49年度からアイヌの人々の社会的・経済的地位の向上を図ることを目的に北海道ウタリ福祉対策(平成13年度終了)を実施してきました。現在、北海道では「北海道アイヌ政策推進方策(令和3年3月)」に基づき、アイヌの人たちの生活向上等に関する施策を推進しています。
(なお、アイヌ語で「アイヌ」とは「人間」を、「ウタリ」とは「同胞」を意味します。)
 
 この北海道の生活向上関連施策を支援するため、政府は関係省庁で構成する「北海道アイヌ生活向上関連施策関係省庁連絡会議」を設置し、関係行政機関の事務の緊密な連携を図っています。
 

◆北海道外のアイヌの人々への施策

 

 北海道の区域外に居住するアイヌの人々を対象とする施策の対象となる者を認定する業務についての実施方針(平成26年2月26日アイヌ政策関係省庁連絡会議申合せ)に基づき、北海道の区域外に居住するアイヌの人々を対象とする施策の対象となる者を認定する業務に係る準則を定めました。

   準則



 

◆関連リンク

 

 

 


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