第3章 裁決における海難原因 6/9
2 貨物船が関連した事件の海難原因
 貨物船関連事件の裁決216件中、対象船舶242隻の事件種類の内訳は右図のとおりです。
(1) 衝突事件
 衝突事件の裁決における、対象船舶162隻の海難原因は右図のとおりです。
(2) 乗揚事件
 乗揚事件の裁決における、対象船舶48隻の海難原因は右図のとおりです。
〜貨物船K丸貨物船S丸衝突事件〜
 8月8日夜間、K丸(462トン)は、船長ほか2人が乗り組んで航行中、左舷前方に衝突のおそれがある態勢で接近するS丸の灯火を視認できる状況であったが、そのことに気付かずに続航し、また、S丸(2,402トン[韓国])は、船長ほか12人が乗り組んで航行中、右舷前方に衝突のおそれがある態勢で接近するS丸の灯火を視認できる状況であったがそのことに気付かず続航して衝突した。
 衝突の結果、K丸は船首部に破口を生じ、S丸は沈没し、S丸乗組員5人が死亡、1人が行方不明となった。

・S丸船長が、前路を左方に横切るK丸の進路を避けなかったこと。
・K丸船長が、右舷方の見張りに気をとられ、左舷方の見張りを十分に行わなかったのでS丸の接近に気付かず、衝突を避けるための協力動作をとらなかったこと。
〜貨物船F丸乗揚事件〜
 1月10日、F丸(499トン)は、船長ほか4人が乗り組み、砂1,350トンを満載し、出港する際、低潮時で、出口となる防波堤間の余裕水深が40cmであり、高いうねりにより船体が上下動することが予想されたが、過去の出港時に何事もなかったことから、高潮時を待つことなく出港して防波堤間で乗り揚げた。
 乗揚の結果、船尾船底の破口により機関室に浸水して着底し、のち廃船となった。

・船長が、満船状態であるからうねりの影響は少ないと思い、うねりによる船体の上下動が予想される状況下、十分な余裕水深を確保できるよう、高潮時を待たなかったこと。

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       表紙     海難レポート2003概要版
メッセージ-CONTENTS-外国船の海難-最近の海難審判庁の動き-海難審判庁のしごと-裁決における海難原因-海難分析-資料編
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