航空

1-2.羽田空港再拡張による船舶航行への影響に関する検討状況

(1)東京国際空港再拡張による船舶航行影響調査検討会

<目的>
 羽田空港の再拡張(B滑走路平行案による)が船舶の航行環境等に与える影響について、操船及び船舶航行の安全面等に関する技術的観点からの影響を把握、課題の整理を行う。

(2)開催

第1回:平成13年  7月 6日(金)
第2回:平成13年  8月 3日(金)
第3回:平成13年 10月30日(火)
第4回:平成13年 11月26日(月)
(3)委員
:学識経験者(5名)
岩井(座長) 東京商船大学名誉教授  他 4名
:海事関係者(11団体)
日本船主協会、日本内航海運組合総連合会、日本旅客船協会、
日本船長総会、外国船舶協会、東京水先区水先人会、
横須賀水先区水先人会、東京湾水先区水先人会、東京湾海難防止協会、<
全国内航タンカー海運組合関東支部、関東小型船舶安全協会
:行政
国土交通省
海事局、港湾局、航空局、関東地方整備局、関東運輸局、東京航空局
海上保安庁、第三管区海上保安本部、東京海上保安部
東京都、川崎市

(4)数値操船シミュレーション

  1. 目的
     第一航路への入出港大型船にとって、操船水域の制約とこれに伴う大変針並びに複数回の変針を余儀なくされることから、当該水域における船舶航行に及ぼす影響と操船困難度について当該航路での受入最大船型コンテナ船を対象に数値操船シミュレーションを実施し、単独航行による第一航路入港並びに航路航行時の操船挙動について調査検討した。
  2. シミュレーション条件
    対象船型;約77,000GT、全長 約300m、
       6,200TEU※(現在東京港に入港する最大級船型)
    コンテナ;On Deck6段積み満載
    風速  ;平均風速15m/s,12m/s
    水深  ;-15m
    ※)TEU;20フィートコンテナ換算によるコンテナの本数
数値操船シミュレーション結果

(5)海上交通流シミュレーション

<目的>
 B滑走路平行案による羽田空港再拡張計画に伴う航行水域の減少と制約、船舶航行の輻輳が、B’滑走路周辺、アクアラインから東京港中央防波堤の間の水域を航行する船舶の航行の困難度・危険度に及ぼす影響を検討するため、いくつかのケースを設定し、海上交通流シミュレーションを行い、航跡密度、出会い頻度、環境ストレス値※を求めて比較検討した。
 また、C滑走路平行案についての検討は、東京都においてシミュレーションを実施し、第4回検討会で報告された。
※)環境ストレス値について
船舶が運航される環境が操船者に及ぼす負荷(環境負荷=環境ストレス)を定量化したもの。
○操船者に負荷を与える環境
・操船環境;
 陸岸や防波堤等の地形により操船水域が制約され操船上の行動が制約される環境
・交通環境;
 他船交通流によって自船の行動が制約される環境

<シミュレーションケース>

航跡図

環境ストレス出現頻度分布図 (Critical以上) (10,000GT以上)

第1航路入港船の環境ストレス値 (大型船) (東水路経由)


東京国際空港再拡張による船舶航行影響調査
調査結果の概要

 

  1. 羽田再拡張B滑走路平行案が船舶航行に及ぼす影響について、数値操船シミュレーションと海上交通流シミュレーションを実施し、また海事関係者、学識経験者などから成る検討会で意見を聞き、課題について検討整理し、まとめた。
  2. 数値操船シミュレーションの結果では、航路屈曲角15度、20度、25度のいずれの場合も第一航路に沿って入港できるとの結果が得られたが、操船上は第一航路の屈曲角度については小さい方が望ましく、今回の検討範囲に限れば、より角度が小さい15度が望ましいと考えられる。
  3. 小型船舶等多数の船舶が輻輳する状況での船舶航行への影響を調査するため、海上交通流シミュレーション解析を行ったところ、操船者が感じる環境ストレス(航行上の困難)は東京港の港湾計画と比較するとほぼ同程度であった。
  4. 一方、操船実務者からは、実際の海域では、より厳しい自然状況・操船局面があるため、屈曲角を小さく、また、航行水域を広く確保するべき等の意見も多数あった。
  5. シミュレーションで検証できない以下の事項については、供用開始までの適切な時期に、航行安全対策の検討の一環として、具体的検討・調整を行うこととする。
    a 騒音による影響
    b 航空灯火等による影響
    c 電波障害による影響   など
  6. 第一航路出入口付近の進入灯と東京灯標に挟まれた水域においては、船舶交通流が収斂し進路が錯綜する複雑な見合い関係が発生することが予測されること等から、当該水域における航行水域の確保について検討の上、適切に対応するとともに航法、支援体制の構築、及び具体的な航行安全対策の検討・設定が必要である。
     その検討に際しては、計画段階とその熟度に応じて、学識経験者、海事関係者及び海上保安庁等の協力を得て、海上交通流シミュレーションによる検討結果を加味しながら、さらにビジュアル操船シミュレータ実験等の解析手法等により、航路のあり方と通航方法等との関係を含め、アクアライン以北の海域、第一航路周辺海域及び多摩川河口水域周辺等の海域における船舶の航行安全について検証し、適切な対応を図っていく必要がある。


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