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第6回 工法評価選定会議 別紙1 主要論点についての検討結果

6.その他

(1)工事中の海上交通及び東京湾各港の機能への影響
東京湾内その他の輻輳海域において、工事の実施が船舶航行に与える影響はどの程度か
 桟橋工法及び埋立・桟橋組合せ工法においては、あらかじめ入港スケジュールに余裕を持たせ、かつジャケット等の仮置場を設置するとの説明であったが、工事実施による可航水域の減少、曳航船団の航行等により、一般船舶の航行に影響することから、実施にあたっては、影響を最小限にするための具体的な安全対策を関係者の協力を得つつ検討する必要がある。
 一方、浮体工法においては、メガフロートフェーズIIで実施したものと同様の安全対策をとるとの説明であったが、桟橋工法及び埋立・桟橋組合せ工法と同様、一般船舶の航行に影響することから、実施にあたっては、影響を最小限にするための具体的な安全対策を関係者の協力を得つつ検討する必要がある。
 また、今回提案された浮体は、メガフロートフェーズIIと比較してユニットの形状、曳航回数等が異なることから、曳航時の安全対策はより安全サイドに考えておく必要がある。さらに、浮体ユニット曳航時に通航する各狭水道は、船舶の通航実態、潮流、風、漁業実態等が各海域ごとに異なるため、各海域ごとに十分な航行安全対策の検討が必要である。

(2)多摩川への影響
多摩川の河川管理上支障を生じさせないか(施工時及び完成時)
 各工法とも、河川管理施設等構造令「橋」に準拠して、構造断面についての検討を行ったが、構造令に適合していると認められる。

(3)技術面での波及効果
世界に発信し、貢献できる技術であるか、日本の技術ストックに波及する効果はあるか
 桟橋工法においては、地震国における空港建設にジャケット工法を適用すること、ジャケットの大量急速生産方式の確立につながる、等の効果があるとの説明があった。
 また、埋立・桟橋組合せ工法においては、日本発の技術として、軽量盛土の大規模使用による合理的埋立工法の確立、航路浚渫土の有効利用による資源の循環、等の効果があるとの説明があった。
 一方、浮体工法においては、日本発の先端技術として、自然環境と人類の利便性の両立を図る世界初のコンセプト、超大型浮体設計技術等の確立により新たな海洋空間の創出につながる、等の効果があるとの説明があった。

(4)リスクの負担
工費・工期の変動リスクをどう負担させるか(契約・発注方式を含む)
 提案されている工費・工期を実現するための入札・契約方式については、各工法とも現在の制度で実行可能との説明があった。
 また、工費・工期変動のリスク負担について、桟橋工法及び埋立・桟橋組合せ工法においては、これまでの公共工事で適用されている方式を前提としているとの説明があった。
 一方、浮体工法においては、民間の船舶、海洋構造物等を建造する場合、不可抗力の場合を除き、当初契約どおり実行する契約義務があり、今般のプロジェクトにおいても同様である、との説明があった。
 いずれにしても、工費(維持管理費を含む)及び工期の確実性を担保するための契約・発注方式の検討を含め、リスク負担に関する検討を深める必要がある。
 これまで事務局において、検討を進めてきた結果、本事業については、いずれの工法によることとしても、施工方法によって設計内容が大きく変わることなど施工技術に特に精通した者の技術力を得て設計することが必要な工事であること、したがって施工方法は設計と密接不可分の関係にあることから、設計・施工一括方式が適している工事であるということができる。この方式による場合、受注者が設計と施工を一括して行うことから、予測できないリスク以外は受注者の負担とすることになるが、その旨を入札説明書等の上で明らかにし、適切なリスク負担を行うことが考えられる。
 また、いずれの工法も大量の金属が長期間にわたり、海水中に存置されることになること等から、維持管理費も含めたライフサイクルコストを考慮することが必要である。このため、引渡し後一定期間の維持管理費を工費の一部に含め、受注者を決定するとともに、工事完成後の維持管理費の変動リスクについても、一定期間受注者に保証させる方式の導入の検討を行っていく必要がある。
 これらにより、羽田再拡張事業においては、工費(引渡し後一定期間内の維持管理費を含む)及び工期の変動リスクの適切な分担が可能となるものと考えられる。


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