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第5回 工法評価選定会議 資料1 防食対策について【有識者ヒアリング結果】〔資料1-2〕

3.有識者の見解

(1) <共通>厚膜塗装について設計供用年数、補修の考え方は十分であるか。
  • 適切に施工し、点検し、維持管理(補修を含む)することが重要。そうすれば、100年持つ。
  • それぞれの現地の環境があるので、適切な点検頻度は一概に言えない。このことから、供用後、様子を見ながらフレキシブルに点検頻度を見直す必要がある。
  • 損傷が生じた場合、次の点検までにどのくらいの損傷の進行を許容するかという方針を立て、それに基づいた点検頻度とすることが適当。
  • 海上の点検は容易ではないが、きちんと点検する必要がある。

(2) <桟橋工法>飛沫部における耐海水ステンレス鋼による防食は100年の長期安定性が確保されるか。
  • (1)と同様
  • 腐食については、全く腐食を許容しないとする設計思想もあれば、ある程度の腐食を許すという設計思想もある。まず全体方針を決めることが重要。
  • 目視点検の際に貝殻を取るかどうかは点検が有効に行なえるかどうかによる。
  • ステンレス鋼被覆の場合、干満帯より水中部の方が局部腐食の進行が早いので気をつけるべき。
  • 腐食により部材を交換すべき際の溶接については、特に困難ということはない。

(参考)耐海水ステンレス鋼ライニングについて
耐海水ステンレス鋼とは、
 約12%以上のクロムを含む鉄-クロム合金であるステンレス鋼に、十分な量のクロム(Cr)、ニッケル(Ni)、モリブデン(Mo)等を加え、不動態皮膜を強化させることにより、耐食性を強化したもの。

図 各種ステンレス鋼の合金成分含有率

(3) <桟橋工法>点検と補修計画は妥当か。
  • 50年のマニュアルをベースに100年の維持管理計画を作っているが、きちんと維持管理していれば問題はない。
  • 少人数で長期間かけて点検するか、多人数で集中して点検するか、について方針を立てる必要がある。
  • なお、基本計画段階の点検頻度の考え方としては問題がない。

(4) <浮体工法>水中部における塗装と電気防食の複合防食についての設計上の考え方及び維持管理計画は妥当か。
  • 考え方として理解はできる。
  • 外部電源を使った方が初期投資は高いがコントロール(管理)は容易。
  • まだ実績が短いので、塗膜損傷率の経年変化曲線が妥当か否かは誰も分からないが、何らかの式を適用して想定することが必要。仮に、予想より速く劣化が進んでも防食は維持できる設計となっているが、陽極の取り替えが必要になる。

(5) <浮体工法>飛沫部におけるチタンクラッド鋼被覆による防食は100年の長期安定性が確保されるか。
  • (1)と同じ
  • チタンは素材としては100年十分持つほど腐食耐久性が高いが、衝撃に弱いので点検を十分行い、施工不良にも気をつける必要がある。

(6) 大規模内部空間における、塗装と湿度管理の併用による防食の考え方は妥当か。
  • 内部空間の湿度管理(50~60%以下)は塗装の寿命をかなり延ばすこととなり、防食の基本的な考え方としては妥当である。

(7) まとめ(両防食法について)
  • 適切に施工し、点検し、維持管理(補修を含む)することが重要。そうすれば、どちらの工法でも100年間は持つ。
  • 今後、より詳細な点検手法、維持管理(補修を含む)計画に関する調査研究を行い、供用開始後の適切なメンテナンス計画を策定する必要がある。
  • 点検の簡略化、有効化のために、今後、総合的に防食状態をモニターし、中央集中管理が行なえるシステムを開発することが望ましい。
 


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