ホーム >> 政策・仕事 >> 国土計画 >> 国会等の移転ホームページ >> 各種情報提供サービス >> 各種パンフレット紹介 >> ITを活用した首都機能都市の在り方(最終提言) >> 4.長期的観点に立った戦略的なIT国土形成への提案

国会等の移転ホームページ

IT(情報技術)を活用した首都機能都市の在り方(最終提言)

4.長期的観点に立った戦略的なIT国土形成への提案

長期的観点に立った首都機能移転を契機とした戦略的なIT国土*注9の形成に向けて、以下の提案を行う。

注9: ここでは21世紀の国土のグランドデザイン*注10に示された考えを踏まえ、「全国において情報の受発信の機会均等が実現されるとともに、各都市・地域間の構造が「中枢」とそれへの「依存」という関係に基づく階層構造ではなく、情報の受発信の機会均等がもたらす「自立」と「相互補完」に基づく水平なネットワーク構造に移行し、それぞれの特性に応じて地域が成長を遂げる国土」と定義する。
注10: 国土総合開発法第7条第1項に基づき平成10年3月に策定された全国総合開発計画

長期的観点に立った首都機能移転を契機とした戦略的なIT国土*注9の形成に向けて、以下の提案を行う。

(1)IT国土の形成にあたって配慮すべき事項

1) 人材の集積と活動を支えるソーシャルアメニティ*注11の整備
IT産業をはじめとする我が国経済の牽引役としての役割が強く期待される分野を強化し、世界における競争力を維持するためには、国内だけではなく世界各国の優れた人材を集めることが必要である。そのためには、国内や世界のIT関連の人材や最先端技術の技術者・研究者等(ネット関連のコンテンツ制作者を含む。)が、自らの活動に求めるソーシャルアメニティを整え、彼らがより高度な研究・開発・事業活動を展開できる魅力的な条件整備を推進すべきである。
現在、我が国、特に東京圏は携帯電話や家庭用ゲーム機器等コンシューマー系情報端末*注12の世界最大の実験場であり、事業環境としては優れているとの評価が高い。しかし、国際社会においてはトータルなソーシャルアメニティの評価が低いことから、多様なライフスタイルを展開するための環境や、高度な研究開発の成果の蓄積・活用が進む仕組みを整える等、IT関連の人材等のグローバルな求心力を高める取り組みが求められている。

注11: 事業環境、特定分野の人々との交流の場、多様なライフスタイルを展開する環境等
注12: 情報を個人使用することを主たる目的とした端末

2) ITユーザーの社会生活環境の向上
都市的なサービスとゆとりある居住環境や豊かな自然を併せて享受できる地域において生活したい、というニーズは依然として高い。さらに、IT化により、場所や時間に拘束されないワークスタイルやライフスタイルが可能になり、諸機能の配置、居住地の選択の自由度が高まることから、このような地域への企業や人口の分散が促進される可能性が以前よりも高まっている。
このことは、地域の視点から見れば、それぞれの地域特性を活かし、潜在的な力を発揮する絶好の機会として捉えられるべきものである。
このため、ITの活用により、生活や経済活動に欠かせない情報の受発信の機会均等を確保するとともに、分散の障壁となる様々な問題の解決に努める必要がある。

(2)国家戦略的観点からの首都機能移転構想の構築

我が国では現在、将来の財政に対する不安から、大きな支出を伴う公共事業に対する批判が高まっているが、その一方で、我が国の活力を高め、潜在的な能力を引き出す、次世代のための戦略が求められている。

これらは、一過性の経済対策や単なる公共事業として捉えられるべきものではなく、この国に蔓延している閉塞感を打破し、キャッチアップ指向からの離脱を図るパラダイムシフトを果たし、自らの進むべき方向を示すとともに、我が国固有のITや文化等、あらゆる分野における優れた能力を総合化し、世界に発信する事業として構想されるものでなくてはならない。

このような我が国の将来を切り拓く国民の総意に基づく国家戦略として、また期待されるIT国土の形成を促進するものとして、移転先となる首都機能都市とともに、移転後の国土、とりわけ東京圏の在り方を構想してはどうだろうか。

すなわち、東京圏においては、首都機能移転の跡地の活用等を通じて促進される都市のリノベーション13の一環として、世界のIT関連の人材や最先端技術の技術者・研究者等にとっての高度な研究・開発・事業活動を展開できる魅力的な条件を整え、グローバルな求心力をより一層高めるための戦略を構想することを提案する。

また、首都機能都市においては、環境問題に果敢に取り組む等の先導的なワークスタイル・ライフスタイルをITを活用しながら実現し、グローバル時代における我が国の役割を充分に果たし得る国際政治活動の中心地を形成するとともに、我が国の幅広い分野における優れた能力を総合化し、さらに、水平なネットワーク構造の実現に資する次世代のための戦略を構想することを提案する。

注13: 都市空間を修復、更新し、有効活用すること

前ページへ

ページの先頭へ