ホーム >> 政策・仕事 >> 国土計画 >> 国会等の移転ホームページ >> 各種情報提供サービス >> 各種パンフレット紹介 >> ITを活用した首都機能都市の在り方(最終提言) >> 5.首都機能都市に関するIT関連施策の在り方についての提案

国会等の移転ホームページ

IT(情報技術)を活用した首都機能都市の在り方(最終提言)

5.首都機能都市に関するIT関連施策の在り方についての提案

首都機能都市においては、新しいタイプの国政の創造、環境問題と向き合う先導的な都市や国際政治都市、文化創造の実験都市の在り方等、次世代のための事業に相応しい目標を掲げ、我が国のあらゆる分野における能力等を総合化して取り入れることを期待するが、特に、ITに関連して首都機能都市において積極的に取り入れるべきと考える施策は以下の通りである。

なお、移転先の首都機能都市は、我が国の姿を国の内外に示す象徴となるべきものであり、また、21世紀に生きる若者に参画のチャンスを与え、自らの手で未来を築き上げるモデルとして準備されるべきものである。そして、首都機能都市の在り方が、全国各地のワークスタイル・ライフスタイルを、そして地域づくりにおける既存の問題を改めて見つめ直すものでなくてはならない。首都機能都市の計画にあたっては、IT国土の形成に向けた先導的な取り組みとしてふさわしいものになるよう、現実空間における対面コミュニケーションやフットワークと、情報空間におけるコミュニケーション等の活動との調和について積極的に議論されることを期待する。

(1)徹底した情報公開(well-informed public)を前提とした民主主義の新しいシステムの実現

将来においては、国民一人一人やその集まりがインターネット等を通じて行政情報や政策に関連する情報を十分に熟知した上で、多角的に検討し、組織等に依存することなく自らの意見を持ち、政策等に意思を反映させたいというニーズが今以上に高まることが予想される。

また、政策を実行するための全ての過程(調査・研究、立案、実施、評価等)において、国民の声をスピーディに集め、適切に反映すべきであるという要求のレベルは、ITの高度化とともに一層高くなることも予想される。

首都機能都市においては、これらを実現する徹底した情報公開を可能とすべく首都機能を再構築し、閉鎖的な慣行を打破し、国民の意見をより一層把握するシステムの導入を行い、民主主義の新しい姿の実現を促進することが必要である。

なお、民主主義の新しいシステムの構築にあたっては、ITを活用した情報公開やインターネット上の意見交換だけではなく、情報空間と現実空間が一致するface to faceでの議論や討論を適宜組み込み、議論を積み上げていく仕組みと最終意思決定の仕組みとを、NPOやNGO等との連携の下に総合的に設計する必要がある。
参考資料(1)へ

(2)国民参加型の首都機能都市の形成・維持システムの構築

首都機能移転は国家事業として行われることから、首都機能都市の構想・計画・維持という各段階において、積極的な国民参加を進める必要があり、特に我が国の次世代を担う人々の柔らかく豊かな才能を最大限に引き出すシステムを大胆に導入することが有効である。このことにより、我が国のパラダイムシフトを促進する社会運動を加速させる効果が期待できる。

一方で、首都機能都市の形成等を都市づくりという側面から見た場合、周辺地域との調和や地域住民の合意形成は欠かせない。このため、積極的な国民参加と地域住民の参加との調和及び首都機能都市の周辺地域との調和の双方を併せて図る必要がある。
参考資料(2)へ

(3)知的基盤型首都機能(knowledge-based government)の実現

激しい時代変化に行政等が的確に対応するためには、各種制度や組織の創設・改正・撤廃、人材の流動化をスピーディに行う必要がある。この際、人が入れ替わり組織が変化しても、貴重な経験や知識が行政機関等の中に蓄積し、多くの人々がそれを利用することが出来るアーカイブ機能*注14等の仕組みを整備することにより、政策立案・実行能力の向上を図る必要がある。

注14: 原意は公文書保管所、記録保存所のことで、様々なデータをデジタル技術等で蓄積していく機能
参考資料(3)へ

(4)危機管理の観点からの情報中枢機能の分散(情報のバックアップ機能の強化)

我が国の情報中枢機能は現在、東京圏に過度に集中しており、その結果、東京圏において災害等のトラブルが発生した場合、その影響が国内のみならず、世界に広く及ぶことが予想される。首都機能においては、不測の事態にも対処し得るようなリダンダンシー*注15を確保するとともに、首都機能都市以外にも情報中枢機能(情報の受発信拠点及び情報伝達手段)を適度に分散させ、それらをITにより効率的に機能させる体制を構築する必要がある。

注15: 情報伝達の代替手段、経路等
参考資料(4)へ

(5)情報通信のネットワークインフラの強靱性、耐久性、安全性の確保

首都機能は全国、さらには世界に対して情報通信ネットワークを通して常に開かれている必要があり、特に大規模自然災害やサイバーテロ等の非常事態発生時においては、情報が錯綜することなく、秩序ある正確な情報が円滑に受発信される必要がある。そのため、基幹的ネットワークインフラを多重ループ状に整備することやその他様々な対策をとることにより、全国各地や世界との繋がりをいかなる場合においても確保する情報通信のネットワークインフラの強靱性、耐久性、安全性を確保する必要がある。
参考資料(5)へ

(6)コンテンツ発信力を支えるIT通信基盤(プラットホーム)の構築

将来においても首都機能が生み出す情報コンテンツは人々の生活に深く関係し、首都機能に関わる情報の受発信量は一定のシェアを占めることとなる。このような情報の受発信を円滑に処理するため、首都機能都市等において形成される国及び地方公共団体等の横断的な情報通信ネットワークにおいては、そのネットワークで繋がれることの効果を最大限に発揮するよう、IT通信基盤(プラットホーム)の構築及び運用の在り方についても十分配慮する必要がある。
参考資料(6)へ

(7)全国の情報の受発信の機会均等を実現するユニバーサルなネットワークの構築

高度情報化時代において、各都市・地域相互の自立した関係に基づく水平なネットワーク構造の形成と各都市・地域のさらなる成長・発展を促すためには、全国の情報の受発信の機会均等を実現するユニバーサルなネットワークの構築が求められている。

このため、今後普及が予想されている、公衆回線や基幹回線よりも広帯域の無線や放送を含む、より進んだユビキタス・情報ネットワーク*注16を首都機能都市に先行的に構築するとともに、全国のあらゆる地域においてもまたユビキタス・情報ネットワークが構築されるよう、情報機器の普及や通信環境の整備を促進する必要がある。

注16: ユビキタス・情報ネットワーク
現在のインターネットのベースとなっている公衆回線(ISDN)や基幹回線よりも広帯域の無線や放送を含むネットワークのことを指す。パソコン、サーバーはもとより、携帯電話や携帯情報端末、ビデオゲーム機やカーナビゲーション端末などあらゆるIT機器が接続可能であり、動画や音楽を自由にストレス無くやり取りできるネットワーク
参考資料(7)へ

前ページへ

ページの先頭へ